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また、乙女ゲームですか
第十七話 攻略者リスト
しおりを挟む私を手伝うと宣言されたジーナ様から渡された名簿は完璧でした。二度言います。それはそれは完璧でした。
研究者魂というか……地道な観察の結果ですね。心底、ジーナ様を味方に出来てよかったと思いますわ。
それでは、詳しく見ていきましょうか。
……う~~ん。やっぱり、想像していた面々の名前がズラリと並んでますわね。あっ、よく見知った名前が入ってます。
「…………リーファ。貴女の義理の息子と弟も入ってますよ」
そう教えてあげたら、リーファはげんなりとした表情で溜め息を吐いてます。その気持ち分かりますわ。
声を掛けるだろうと予想はしてましたが、やっぱり声を掛けてますね。それも何度も。学年が違うとはいえ、第三王子様と公爵令息ですからね。予想は裏切りませんでしたわ。まぁ、あの二人がコロッといくとは思いませんけど。御守を渡す前に接触されたとしてもね。
「あれでも、一応第三王子と次期公爵だからね。声掛けるでしょ。といっても、二人とも今は避難してるけどね。
ユリウスは、今研究室に籠もって魔法具の開発に躍起になってるわよ。レイファも魔法の研究のために塔に籠もってるわね」
まぁそれが一番の対抗策ですね。
近頃教室でユリウス殿下とレイファ様の姿を見ませんでしたが、そんな場所に逃げ込んでるとは。私も人のことはあまり言えませんけどね。
それにしても、このレポート通りなら、シスターは大概の高位貴族に声を掛けてることになりますわね。見境ないんですか。そういう商売をなさる方よりも酷いですわね。全く。これが神に遣える者とは……世も末ですよね。私は信仰していませんが。
そうそう、ケルヴァン殿下にも声を掛けていますわね。渡しといて正解でしたわ。……一年の高位貴族以外は、あまり上手くいってはいないようですけどね。取り敢えず一安心ですわ。
ん………?
高位貴族の中にそうでない方も入ってますね。前回も入って方です。平民枠で必ず入るみたいですね。さすがですわ、クラン君。期待を裏切りませんね。自然と口元に笑みが浮かびます。
視界の端で、クラン君が身を竦めていますわ。
それにしても……よく出来ていますわ。他学年のこともここまで調べ上げるとは……何かしらの魔法具かスキルを使ってますね。もしくは、併用か。スキルの事を訊くのは無粋ですから訊けませんが、とても気になるスキルですね。使い方によっては、最強のスキルですわね。
「……ものは相談なんですが。ジーナ様、研究室を持たれたらどうですか?」
「研究室ですか……?」
首を傾げる姿はとても可愛らしいですわ。
「ええ。ジーナ様はSクラスですし、他とは違う観点をお持ちですわ。ですから、それをレポートにして提出されたらどうですか?
私もユリウス殿下もそうですが、合格すれば学園から部屋を割り振られ、魔獣の研究を好きなだけ出来ますよ。定期的に発表しないといけませんが。
大変だと思いますが、これから先、ジーナ様の大きな武器になると思いますの。どうかしら?」
「やります!!!! やらせて下さい!!」
ジーナ様、飛び付いて来ましたわ。前のめりになってますわよ。
「なら、まずは魔獣の観察ですね。早速、次の休みご一緒致しましょう」
ジーナ様がここまで協力してくれるなら、私も協力したいですわ。打算抜きで。
さて……続きを……ん…………? 見間違いではありませんよね?
「どうかしたの? セリア」
リーファが手元を覗き込みます。
「えっ?」
小さな呟き声が隣からしました。
「…………ジーナ様? 一番下に書かれている名は?」
珍しく、私も戸惑いを隠せませんでしたわ。
どうして、この名が……?
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