126 / 342
また、乙女ゲームですか
第十四話 懐かれてしまいましたわ
しおりを挟む「昨日は、申し訳ありませんでした」
深々と頭を下げているのはジーナ様です。リーファに呼ばれ教室を出た途端、ジーナ様に謝罪されましたの。
「謝る必要はありませんわ、ジーナ様。私も知らず知らずのうちに、ジーナ様を傷付けることを言ってしまったのでしょう。私の方こそゴメンなさいね」
「いえっ、違います。セリアお姉様は少しも悪くはありませんわ」
そう……ならいいのですが。ん……? 今、変な単語が聞こえてきたような……きっと、聞き間違いですよね。
「…………聞き間違いじゃないわよ、セリア」
リーファがなんとも言えない顔をしながら訂正します。聞き間違いってことにしておきたかったのに。私、ジーナ様に懐かれるような事言ったかしら。全く、記憶にないんですが。
「…………お姉様……?」
口元を引き攣らせながら尋ねます。ほんとは尋ねたくなかったのですが、そうはいきませんよね。
「泣いたのは、感動したからだって」
感動ですか……尚更、分かりませんね。
「初めてだったんです。私の考えを頭から馬鹿にせず、真剣に答え、変わらぬ態度で聞いて下さったから……」
だから、感動して泣いてしまったと。
「真剣な人間に対して、真剣に答えるのは当たり前のことですわ」
「セリア……また、泣かそうとしてる」
リーファはジーナ様を抱き締めヨシヨシとあやす。
それは完全に濡衣ですわ。
という訳で、仕切り直してお茶会開始です。今日は泣かないで下さいね。
「……いつも私は異端者と言われてきました。家族は私の考えを馬鹿にはしません。認めてはくれませんが……。
魔物は殺すモノ。殺して当たり前のモノと。セリアお姉様もそうだと思っていたのです。でも、違いました。
あんな風に言われたのは初めてでした」
もう泣きそうですね。なし崩し的に、私の呼び名はお姉様になってますね。まぁ構いませんが。だってここで否定したら、泣かれますからね。
それに、正直言えば、その呼び名嫌いではありませんわ。私をお姉様って呼ぶ方っていませんもの。なんか、新鮮ですわ。
「まぁ、私の考えも少数派ですからね」
自分でもよく分かってますわ。なので、あまり口にはしません。どこで誰が聞いてるか分かりませんもの。この会話も聞かれたら困るので、防音壁を張ってますし。
「確かにそうよね。魔物は殺して当たり前が通説だからね。例えそれが幼獣でも」
リーファの台詞に私は頷く。
「人を害する可能性がある以上、可哀想ですが仕方ありませんわ。ただ平気でやるか、そうでないかの差ですけどね」
「その差が大きいのよ」
「そうかもしれませんわね。
……それで、シスターの件ですけど、お引き受け下さるかしら?」
話が進まないので、多少強引ですが軌道修正致しましたわ。
「…………その件でしたら、すみませんが協力は出来ませんわ。したいのは山々なんですけど」
あら、この反応は意外でしたね。断られましたわ。てっきりお姉様と慕ってこられるから、受けて下さると考えていましたのに。
「理由をお伺いして宜しいかしら?」
「私の夢は、田舎の領地で思いっきり魔獣の研究をしたいのです。白い結婚になったとしても。寧ろ、それを狙っています」
白い結婚ね……まさか、まだ成人していない方から、その単語が出てくるとは思いもしませんでしたわ。そこまで思い悩んでいたということですか。
「ジーン様。詳しく教えて下さらないかしら」
他国の者が口を挟むことではないと思ったのですが、ジーン様を見ているとほっとけなくなりましたわ。
リーファを伺えば、彼女も驚いていました。どうやら知らなかったようですね。尚更気になりますわ。
23
お気に入りに追加
7,461
あなたにおすすめの小説
願いの代償
らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。
公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。
唐突に思う。
どうして頑張っているのか。
どうして生きていたいのか。
もう、いいのではないだろうか。
メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。
*ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。
離縁してくださいと言ったら、大騒ぎになったのですが?
ネコ
恋愛
子爵令嬢レイラは北の領主グレアムと政略結婚をするも、彼が愛しているのは幼い頃から世話してきた従姉妹らしい。夫婦生活らしい交流すらなく、仕事と家事を押し付けられるばかり。ある日、従姉妹とグレアムの微妙な関係を目撃し、全てを諦める。
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか
鳳ナナ
恋愛
第二王子カイルの婚約者、公爵令嬢スカーレットは舞踏会の最中突然婚約破棄を言い渡される。
王子が溺愛する見知らぬ男爵令嬢テレネッツァに嫌がらせをしたと言いがかりを付けられた上、
大勢の取り巻きに糾弾され、すべての罪を被れとまで言われた彼女は、ついに我慢することをやめた。
「この場を去る前に、最後に一つだけお願いしてもよろしいでしょうか」
乱れ飛ぶ罵声、弾け飛ぶイケメン──
手のひらはドリルのように回転し、舞踏会は血に染まった。
義妹が私に毒を盛ったので、飲んだふりをして周りの反応を見て見る事にしました
新野乃花(大舟)
恋愛
義姉であるラナーと義妹であるレベッカは、ラナーの婚約者であるロッドを隔ててぎくしゃくとした関係にあった。というのも、義妹であるレベッカが一方的にラナーの事を敵対視し、関係を悪化させていたのだ。ある日、ラナーの事が気に入らないレベッカは、ラナーに渡すワインの中にちょっとした仕掛けを施した…。その結果、2人を巻き込む関係は思わぬ方向に進んでいくこととなるのだった…。
母の中で私の価値はゼロのまま、家の恥にしかならないと養子に出され、それを鵜呑みにした父に縁を切られたおかげで幸せになれました
珠宮さくら
恋愛
伯爵家に生まれたケイトリン・オールドリッチ。跡継ぎの兄と母に似ている妹。その2人が何をしても母は怒ることをしなかった。
なのに母に似ていないという理由で、ケイトリンは理不尽な目にあい続けていた。そんな日々に嫌気がさしたケイトリンは、兄妹を超えるために頑張るようになっていくのだが……。
離れた途端に「戻ってこい」と言われても困ります
ネコ
恋愛
田舎貴族の令嬢エミリーは名門伯爵家に嫁ぎ、必死に家を切り盛りしてきた。だが夫は領外の華やかな令嬢に夢中で「お前は暗くて重荷だ」と追い出し同然に離縁。辛さに耐えかね故郷へ帰ると、なぜかしばらくしてから「助けてくれ」「戻ってくれ」と必死の嘆願が届く。すみませんが、そちらの都合に付き合うつもりはもうありません。
今、目の前で娘が婚約破棄されていますが、夫が盛大にブチ切れているようです
シアノ
恋愛
「アンナレーナ・エリアルト公爵令嬢、僕は君との婚約を破棄する!」
卒業パーティーで王太子ソルタンからそう告げられたのは──わたくしの娘!?
娘のアンナレーナはとてもいい子で、婚約破棄されるような非などないはずだ。
しかし、ソルタンの意味ありげな視線が、何故かわたくしに向けられていて……。
婚約破棄されている令嬢のお母様視点。
サクッと読める短編です。細かいことは気にしない人向け。
過激なざまぁ描写はありません。因果応報レベルです。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。