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二年生になりました

第二十話 暫くは針のむしろでしょうね

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 おそらく、Bランク。Aではありませんね。だってAランクなら、これくらいの殺気耐えれるでしょうから。まぁでも、その年齢でそのランクは優秀の部類に入りますね。とはいえ、かなり格上相手に喧嘩を売るなんて、底がしれてますけどね。

「あらあら。これくらいの殺気で腰を抜かし掛けるなんて、情けないですわね」

 ニコッと微笑みながらそう言うと、苛ついたのか、無理矢理気迫で持ちなおそうとしています。

 その根性は褒めてあげますが、体は精神よりも正直なこともあるのですよ。この場合は、逆らえないといった方が正確かもしれませんが。特に、生存本能に関しては。ここを精神力で抑えれるようになったら、更に一段とレベルアップするんですけどね。

 とうとう、腰を抜かしてしまいましたわ。

「私よりランクが高いって断言されていたのに、腰抜かしているのですか?」

 悔しそうに唇を噛み締めている女に、私は更にいい笑みを浮かべます。

「ところで、貴女のランクはSSSですか? 勿論、私の上ですから、当然SSSですよね。
 でも、おかしいですよね。
 Sランクのハンターは数が非常に少ないので、皆顔見知りだったのですけど……貴女のことは知りませんね。新しく昇格したのですか? 飛び級とは凄いですね。お名前をお聞かせ頂けると嬉しいのですが」

 畳み掛けてやりました。

「…………SSS……?」

 女は呆然としながらポツリと呟きます。

「ええ。だって、SSランクですから私。で、貴女は?」

「……嘘でしょう」 

「嘘? おかしなことを言いますね。ギルマスの前でそんな嘘いいませんよ。何でしたら、ハンターカードお見せしましょうか? 勿論、貴女のカードも見せてくれるのでしょ」

 そう言いながら、私は女にハンターカードを見せた。

「どうして、あんたみたいな子供が……」

 あら、私は見せたのに見せてくれないんですか? 不公平ですね。そろそろ現実を直視したらどうですか?

「セリア様がSSランクに上がったのは四年前だ。例の魔物の異常増加の討伐で、単身盾となり、民を護った功績で昇格した。自分の実力でな」

 代わりに答えたのはギルマスでした。

 私が登録したのは、このギルドではありませんが、今はこのギルドを中心に動いていますからね、それなりに情報を共有しているのでしょう。

 女はマジマジと私を見ています。そして、震える声で言いました。

「…………黒い髪……黒い目…………まさか……黒の英雄……」

「その呼び名、恥ずかしいんですけどね。いつしか、そう呼ばれるようになっていて」

 はにかみながらニコッと笑うと、女は絶句してしまいました。さて、いよいよ止めを刺してあげましょうか。

「シオン様。いえ、隊長。これからは、婚約しているとはいえ、公私混同は避けるべきですわ。自分たちは分けているように思っていても、傍はそう捉えられていないことに気付きましたの」

 そう悲しげに、微笑みながら告げました。悲しげがポイントです。そしたら、格段とシオン様の殺気が漏れました。ギルマスがさり気に距離をとっていますね。

 反対に、いつしか増えたギャラリーは顔を真っ青にしていました。先日、犠牲になったばかりですものね。

 その日、私は砦にいる間シオン様と距離をとり、隊長と呼び続けました。

 すると次の日から、女は完全に私を避け、シオン様から名前も呼ばれないようになったとか。

 追い出されずにすんでよかったですね。あっでも、暫くは針のむしろでしょうね。



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