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二年生になりました
第十七話 皆で楽しみましょう
しおりを挟むエルヴァン王国の同盟の件をお父様に報告してから二週間後、お父様に呼ばれました。
「……ゲスい国はどこまでもゲスいな。そう思わんか? 宰相」
その第一声がこれです。
心底不快に感じてらっしゃるんでしょうね。国名を口にしませんもの。それに、空気が震えてますわ。ピリピリとしています。
「親書の書き方も知らない国に対し、何を言っても無駄だと思いますが」
なかなか、宰相様も辛辣な言葉を口にしてます。口元は笑ってますが、目は全く笑っていませんね。
「今更何を言ってるのです。前からゲスかったではありませんか。皇帝陛下。で、来たようですわね? 親書」
その親書がお父様と宰相をここまで怒らせたのでしょう。
そう思いながらも尋ねると、お父様はピラピラと紙を振って見せます。
あーそれ、親書だったんですね。もはや、親書の扱いではありませんね。只の書き損じた書類だと思いましたわ。
にしても、ちゃんと、ケルヴァン殿下はエルヴァン王国に意見したようですわね。まぁ受け取る側がまともとは限りませんけど。
「何て書いてあったのです?」
「読んでみるか。ほら」
手渡されたので読んでみました。
前文は省きますが、
『我がエルヴァン王国は貴国コンフォート皇国と同盟を結ぶこととする。
親交を深める証として、我が子ケルヴァンをセリア皇女殿下に進呈する。
末永く関係が円滑に進むことを我は強く望む』
うん。これ、親書じゃないわ。こんなものを送ってくるなんて、どうにかしてるわ。これで、交渉術が長けてると思っているなんて、余程、貴方方がお相手している国は寛大なのでしょうね。
我が皇国はエルヴァン王国の属国ではありませんのよ!! 舐め切ってますわ!!!! それに、ケルヴァン殿下をまるで物のように!!
怒りで体が震えますわ。ついでに、城も揺れてますわ。咄嗟にお父様が執務室に結界を張ったので、揺れてるのはこの部屋だけですけどね。
「………………燃やして宜しいですか? これ」
こめかみに浮かんだ青筋がピクピクしているのが、自分でも分かりますわ。
「いいぞ。複製だから」
「複製?」
とてもとても低いで尋ねます。
このようなものをこの世に残しておくつもりですか?
「いやぁ~~こんな駄文を送ってくるなんて面白いだろ。だから、この面白さを他の皆にも教えてあげたくなってな」
だから、複製なのですね。
他の皆に見せる分ですか……
ニンマリと笑います。
「それは、是非とも皆様の話の種になりますね。ならば、私にも二部下さいな」
「二部でいいのか? もっと持っていけ」
結局、封筒パンパンの枚数分をもらいましたわ。
☆☆☆
第四回ホラー・ミステリー小説大賞にエントリーしています。
タイトルは【人喰い遊園地】です。
本編は完結済みです。
恐怖をお楽しみ下さいませm(_ _)m
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