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貴方の傍らで
第十五話 覚悟して下さいね
しおりを挟むシオン様が眼を覚まして、二日後ーー。
ベッドで上半身を起こし、渋々座っているシオン様の隣で、同じように座っています。
シオン様は安静中ですわ。
そして私は、当面の間見張り番をすることになりました。
何故、私が見張り番をするようになったのか。
それは、目を覚ました次の日でした。
まさか、剣の素振りをしだすとは思いませんでしたわ。さすがに駄目でしょ。なのに、目を覚ました途端動こうとするんだもの、慌てて止めましたよ。だって、半年間も眠り続けたのですよ。体の状態は維持されていても、危ないですわ。最低一週間はジッとして体を慣らして頂かないと。というか、慣らしてもらいますけどね。
なので、私はシオン様の監視役をしているわけです。
とはいえ、見張り番だからといって、完全に仕事を休む訳にはいきませんわ。側近の皆は休んでもいいって言ってくれましたけどね。残念ながら、そうはいきませんの。私がサインしなければならない書類がありますからね。なので、書類をここに持ち込んで対応してますわ。後は側近たちに任せていますが。本当に優秀で助かります。
あっ、学園は休んでますよ。一応単位はとれてますし。出席日数もギリギリ大丈夫でしょう。まぁ、領主の仕事をしていることを加味して、少しは融通してくれそうですが。それに甘える訳にはいきませんわ。
ずっとテーブルに向かって書類の処理をしていましたが、今は休憩中です。
仕事の時以外、私はシオン様に引っついていますの。今も、シオン様の肩に頭を添えて私はただ座っているだけです。口元に笑みを浮かべながらね。会話もなにもありませんよ。だからといって、怒ってはいませんよ。寧ろ反対です。
ただ……
噛み締めているだけです。シオン様がいる幸せを。
「休ませてくれてよかったな。隈が少しでも消えたらいいんだが……」
沈んだ声が耳を、指が隈を撫でます。くすぐったいですわ。
「なら、このまま肩を貸して下さいませ」
そう甘えながら、私は目を閉じます。
「ああ。いくらでも貸してやる」
その声は私にとって、どんな子守唄よりも効きました。
「……こんなになるまで追い詰めて、俺は自分が許せない。すまない、セリア。もう二度と、俺はお前に寂しい想いはさせない。誓う。だから、今はゆっくり休め。……俺の心も体も、全て、セリアお前のものだ」
遠くで聞こえるシオン様の声に反応して、私の顔はだらしない程緩んでいることでしょう。
ええ。当然ですわ。シオン様の全ては私のものです。そして、私の全てはシオン様のものです。この心も。体も。
愛なんて言葉で表せない程、私は貴方を愛しています。もう、どこにも逃しませんわ。覚悟して下さいね。
☆☆☆
残すところ、後二日になりましたね。
第四回キャラ文芸大賞にエントリーしてます。
タイトルは【護国神社の隣にある本屋はあやかし書店】です。
完結してます。
気楽に読めますので、是非(。•̀ᴗ-)✧
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