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貴方の傍らで
第七話 喉から手が出るほど欲しいでしょうね
しおりを挟む「あんたまた何か企んでない?」
慌てて帰って行ったロバートは夜には現れず、厳しい顔をしたシアが代わりに食事を届けに来た。今すぐにでも会いたいのに、思うように会えない。連絡だってとれない。モヤモヤとした気持ちが心の中に渦巻いているからか、シアの問いかけに答える事が億劫になり、ついフイっと顔を背けてしまった。
「反省してるわけじゃなさそうだね」
私に無視されてムカついたのか、シアの口調が刺々しくなった。
「謝ればだしてくれるわけ?」
「何を謝るっていうの?」
「反省しろって言ったのは貴方なんだから貴方に聞けば?『ごめんなさい、私が可愛いばっかりに貴女の愛する人を奪ってしまったのね!!』とでも言って欲しいの?」
もっと怒らせてやろうかと思って煽ってみたが表情は変わる事なく、可哀想なものでも見るかのような目でこちらをみてきた。
「ここみが奪ったものは、それだけじゃないって、まだ気が付かないの?ユウリの代わりに聖女になりたかったのなら何で、苦しんでる人を救わなかったの?他の人が整えた環境を壊してなぜ邪魔をしたの?そのせいで…何人の人たちがなくなったとおもっているの?そういうことに気がつけって言ってるんだよ!!人の男を奪う事しか頭に無いのか?」
「私のせいじゃ無いじゃん!!病気を広げたのは私?汚い水を流したのは私?違うでしょ!オーラリアだって、医者じゃ無いくせにでしゃばらなければ苦労しなくて済んだじゃない!!人に責任なすり付けないでよ」
うまくいかないことは全部私のせい。昔からそうだった。私を好きになったせいで離婚したんだから慰謝料よこせとか、婚約破棄したんだから婚約しろだとか。彼女の代わりに家賃半分払えとか。みんな私には関係ないことなのに。今回だって、浄化しないでほったらかしにしたのはユウリ。川に汚い水を流して生活してたのは街のみんなじゃない。本当に自分勝手な人ばっかり!腹が立ってお昼が乗っていたお盆を思いっきりシアに向かって投げつける。もちろん鉄格子と電流に弾かれてお盆は黒く焦げ床に叩き落とされる。
バチバチバチン!!!
という思っていた以上の大きな音に一瞬ビックリしたがほんの少しだけ胸がスッとした。
シアは、もともと大きな目を見開いて鉄格子を見つめている。
「ローランドか?」
「知らない。私だって最近気が付いたんだから。知らずに出ようとしてたら死んでるよ。酷すぎる」
「…いや、酷すぎることはないよあんたにはこの牢獄がお似合いだよ。ここで反省もせずにご自慢の美貌が朽ちていくのを嘆いていれば良い。」
「は?」
「お手入れしていない髪は艶がなくなる」
その言葉に、無意識に自分の髪に手をやるとサラッと指が抜けるはずが直ぐにつっかえる。
「潤いが足りなければ肌は荒れる」
次に頬に手を当てれば、カサカサなのにベタベタな何とも言えない手触りを感じた。
そう言えばこの部屋には鏡がない。ロバートにこんなみっともない姿で会っていたなんて。そう思うと恥ずかしくて涙が出てきた。
「早く消えて!!もう会いたくない!!」
腕を組んだまま呆れた顔をしているシアにそう叫ぶと私はベットに突っ伏して思い切り泣いた。
いつの間にか眠ってしまっていたようで、目を覚ますとあたりは暗くシンと静まり返っていた。
塔の下からザクザクと微かに足音が聞こえ、何の気無しに窓から外を覗くとロバートが見回りでもしているのか歩いていた。それだけだったらよかったのに、若いメイドが並んで歩いていた。
モヤモヤとした嫌な気持ちが一気に湧き出してきた。
何か話をしているのか、時々顔を見合って笑っている。
腕に触れて語りかけている。
どうしよう、とられてしまう。その人は私のモノなのに!!
そう思った瞬間に胸の奥がズキンと痛んだ。
他人に好きな人を取られるって…こう言う気持ちになるんだ。
私は本当に初めて、そう思った。悲しくて悔しくて本当に嫌だ。
取らないで!!って腹の底から叫びたい。
取ってなんかないよ、勝手に私を好きになっただけでしょ。
過去の私が、鉄格子の向こうで、そう言って嘲笑った。
慌てて帰って行ったロバートは夜には現れず、厳しい顔をしたシアが代わりに食事を届けに来た。今すぐにでも会いたいのに、思うように会えない。連絡だってとれない。モヤモヤとした気持ちが心の中に渦巻いているからか、シアの問いかけに答える事が億劫になり、ついフイっと顔を背けてしまった。
「反省してるわけじゃなさそうだね」
私に無視されてムカついたのか、シアの口調が刺々しくなった。
「謝ればだしてくれるわけ?」
「何を謝るっていうの?」
「反省しろって言ったのは貴方なんだから貴方に聞けば?『ごめんなさい、私が可愛いばっかりに貴女の愛する人を奪ってしまったのね!!』とでも言って欲しいの?」
もっと怒らせてやろうかと思って煽ってみたが表情は変わる事なく、可哀想なものでも見るかのような目でこちらをみてきた。
「ここみが奪ったものは、それだけじゃないって、まだ気が付かないの?ユウリの代わりに聖女になりたかったのなら何で、苦しんでる人を救わなかったの?他の人が整えた環境を壊してなぜ邪魔をしたの?そのせいで…何人の人たちがなくなったとおもっているの?そういうことに気がつけって言ってるんだよ!!人の男を奪う事しか頭に無いのか?」
「私のせいじゃ無いじゃん!!病気を広げたのは私?汚い水を流したのは私?違うでしょ!オーラリアだって、医者じゃ無いくせにでしゃばらなければ苦労しなくて済んだじゃない!!人に責任なすり付けないでよ」
うまくいかないことは全部私のせい。昔からそうだった。私を好きになったせいで離婚したんだから慰謝料よこせとか、婚約破棄したんだから婚約しろだとか。彼女の代わりに家賃半分払えとか。みんな私には関係ないことなのに。今回だって、浄化しないでほったらかしにしたのはユウリ。川に汚い水を流して生活してたのは街のみんなじゃない。本当に自分勝手な人ばっかり!腹が立ってお昼が乗っていたお盆を思いっきりシアに向かって投げつける。もちろん鉄格子と電流に弾かれてお盆は黒く焦げ床に叩き落とされる。
バチバチバチン!!!
という思っていた以上の大きな音に一瞬ビックリしたがほんの少しだけ胸がスッとした。
シアは、もともと大きな目を見開いて鉄格子を見つめている。
「ローランドか?」
「知らない。私だって最近気が付いたんだから。知らずに出ようとしてたら死んでるよ。酷すぎる」
「…いや、酷すぎることはないよあんたにはこの牢獄がお似合いだよ。ここで反省もせずにご自慢の美貌が朽ちていくのを嘆いていれば良い。」
「は?」
「お手入れしていない髪は艶がなくなる」
その言葉に、無意識に自分の髪に手をやるとサラッと指が抜けるはずが直ぐにつっかえる。
「潤いが足りなければ肌は荒れる」
次に頬に手を当てれば、カサカサなのにベタベタな何とも言えない手触りを感じた。
そう言えばこの部屋には鏡がない。ロバートにこんなみっともない姿で会っていたなんて。そう思うと恥ずかしくて涙が出てきた。
「早く消えて!!もう会いたくない!!」
腕を組んだまま呆れた顔をしているシアにそう叫ぶと私はベットに突っ伏して思い切り泣いた。
いつの間にか眠ってしまっていたようで、目を覚ますとあたりは暗くシンと静まり返っていた。
塔の下からザクザクと微かに足音が聞こえ、何の気無しに窓から外を覗くとロバートが見回りでもしているのか歩いていた。それだけだったらよかったのに、若いメイドが並んで歩いていた。
モヤモヤとした嫌な気持ちが一気に湧き出してきた。
何か話をしているのか、時々顔を見合って笑っている。
腕に触れて語りかけている。
どうしよう、とられてしまう。その人は私のモノなのに!!
そう思った瞬間に胸の奥がズキンと痛んだ。
他人に好きな人を取られるって…こう言う気持ちになるんだ。
私は本当に初めて、そう思った。悲しくて悔しくて本当に嫌だ。
取らないで!!って腹の底から叫びたい。
取ってなんかないよ、勝手に私を好きになっただけでしょ。
過去の私が、鉄格子の向こうで、そう言って嘲笑った。
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