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学園は勉強するところです
私の親友は中々腹黒い
しおりを挟む「リーファ。お前の親友、中々過激な性格しているな」
転移門を通りセフィーロ王国に戻って来た国王とリーファ。二人して執務室に戻る途中、国王がリーファに話し掛けてきた。
「そうですね。……でもまさか、あそこまでとは思いもしませんでしたわ。叔父様」
正直な感想だった。
失禁し、死に掛けるまでの尋問を何度も繰り返し行った親友の姿を思い出す。
セリアは顔色一つ変えなかった。でも私には分かる。セリアは結構楽しんでいたって。まぁ、あそこまで暴言を吐かれて、命も狙われていたんだから仕方ないけど。私もセリアの立場なら同じことをしたしね。
だとしても、一つだけ腑に落ちない点があるの。
「それに、噂には聞いてたが、かなり頭も切れるようだ」
それって、もしかして……?
「コニック領を手に入れたことですか?」
「コニック領だけを手に入れたことな」
微妙に訂正された。
実は私も、その点はとても気になっていたのよね。上手くやれば、グリフィード王国そのものを手に入れることも出来た筈。それも簡単にね。てっきり、私もそうするとばかり思ってたのに。蓋を開ければ、コニック領だけで皇帝陛下もセリアも引いた。
まぁ確かに、コニック領はとても魅力的な領土よ。魔の森に隣接しているからね。因みに、学園があるのもコニック領だし。
魔物の討伐は、常に命を掛ける程大変危険な仕事よ。だけどね。その分、得るものがとても大きいの。
まず、魔物は金になるのよ。皮、牙、内臓、肉。全ての部位がね。ましてや、魔法具を作る際に必ずいる魔石も魔物から獲れるし。それに、魔の森で栽培した薬草はかなり質がいいものになるのよね。時には、突然変異することもあるし。魔の森の奥に進まなければ、全然平気なのよ。
グリフィード王国そのものを手に入れたら、自ずとコニック領も手に入ったのに、どうしてコニック領だけで引いたの?
「……腑に落ちないって顔をしてるな。リーファ。グリフィード王国そのものを手に入れればコニック領も手に入るのに、何故コニック領だけで引いたのか。気になるのはそこだろ? 理由は簡単だ。面倒だからだ」
「面倒だからですか……?」
まさに気になっていた点を指摘されたけど、その理由がそれとは意外だった。
「ボラン領もコニック領も、魔の森に接してるだろ。そこがみそだ。魔物は金になるだろ」
「まぁ、かなりのお金になりますね」
「外貨を得るには、魔物討伐が一番簡単で、一番効率がいい」
確かにそうですわ。
「グリフィード王国は、セフィーロやコンフォートのような、輸出出来るものが何一つない。ほぼ輸入に頼っている国だ。それがどういう意味か分かるか?」
そこまで言われて気が付きましたわ。
「つまり……グリフィード王国は、外貨を手に入れる手段を失った」
「そうだ。本来は輸出する物が何もない貧相な国だ。だが、その生活水準はどの国よりも高い。それに慣れきった奴らばかりだ。荒れるぞ」
確かに、グリフィード王国は成金の匂いがプンプンしてましたわ。無駄に綺羅びやかだったわね。そんな生活に慣れきった人間が、急に慎ましい生活をしろって言っても、まず無理ね。叔父様の言う通り、荒れるわ。
国民は他国に逃げ出し、貴族たちの不満は跳ね上がる。それは、王族に対する不満に繋がるわ。そもそも、その王族の一人のせいでこんなことになったんだから、当然よね。アルベルト王太子殿下がどんなに優秀でも、それを抑えることは正直難しいわね。
結果、国は立ち行かなくなる。
つまり、セリアも皇帝陛下もそれを見越した上で、敢えてコニック領だけで手を引いたのね。やること、えげつないわ。
「とことん、追い詰めるつもりですね」
それが、あの屑王子を育てた者たちへの意趣返し。セリアと皇帝陛下の罰ってわけね。
「だから言っただろ、中々過激な性格をしてるなって。それに頭がいい。本当、あの親子よく似てるぞ。容姿もだが、中身が特に。今頃、三年とか五年とか、言い合ってるに違いない」
聞いたことがある。皇帝陛下と叔父様は同級生だったって。
「三年とか五年って、国が崩壊するまでの期間ですよね」
「そうだ。それから、親切を装って手に入れるつもりだろうな」
あ~~だから、叔父様は面倒だと言ったのね。完全に貴族たちの精神をボキッと折ってからの方が、割く労力は明らかに少ないわね。前から思ってたけど、セリアって結構腹黒いのよね。そこが魅力的なんだけどね。
「…………ところで、リーファ」
珍しく、叔父様にしては言葉に切れがない気がする。
「何です?」
なんか、嫌な予感がするわ。
「実は、うちの三男がセリア皇女殿下に興味を抱いてな……。正確に言えば、彼女が制作した魔法具なんだが……」
的中したわ。よりにもよって、
「あ!? あの引き籠もりがですか?」
「言葉遣いが悪いぞ」
「事実でしょう」
迂闊だったわ。あの魔法具馬鹿が、セリアが作った魔法具に興味を持つに決まってるじゃない。
「まぁいい。でな。学園に編入したいと言ってきた。親としては喜ばしいことだ。それでな。出来れば、フォローを頼みたいんだが……」
「えっ!? 嫌です」
勿論、即答で答えたわ。だって、
「実は、私の弟がセリアに興味を抱いたようで……編入するので力になれません」
第三王子と双子の弟。当然、弟を応援するに決まってるじゃない。だって上手くいったら、私とセリアは義姉妹になれるのよ。フフフ。
「……あの魔法馬鹿もか」
叔父様の落ち込んだ声など、当然無視に決まってるじゃない。
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