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成り立てほやほや王女殿下の初外交

13 どこにでもあるんですね

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「ほぉ~まだ、まともな奴がいたんだな」

 お父様の間延びした声。

 突撃された件について、ちゃんと報告しなきゃいけないでしょ。した後の感想がこれ。

「あいつ、妹の件知らなかったのか?」

 ラリーお兄様がふと疑問を口にする。

「う~ん? 知らなかったっていうよりは、きちんと処罰すると信じていたような口振りでしたけど」

 私が真実を伝えたら、ショックを受けてたもの。あれは、演技をしているようには見えなかった。

「……あくまでこれは私の想像ですが、エンドキサン国王が処罰を口にした直後に、王太子殿下は王都を出発したのでは? 口にするのと、実際に処罰を下すのには時間差がありますからね」

 黙って聞いていたダラキューロ様が考えを述べた。

「私もそう思いますわ。だとしたら、王太子殿下って微妙な立場にいることになりますわね」

 少なくとも、次代を継ぐ者の扱いじゃないわね。

 だって、下手したら、切り捨てられてもおかしくはないわよ。まぁ、我が国はそこまで好戦的ではないけど、好戦的な国が相手なら、今頃王太子殿下は捕虜として捕まっていてもおかしくはない。

 国家間で嘘を吐いたのよ。

 そこに、何も知らない王太子殿下がのこのことやって来た。最悪……

「王太子殿下は先代の影響をかなり受けていると耳にしていますから、現王にとって、目の上のたんこぶのような存在かもしれませんね」

 ダラキューロ様が答える。

「と、いうと?」

「実は、エンドキサン国王は一度やらかしてるんですよ。王太子時代に」

 なんとなく、映像が頭に浮かんだのは私だけかな。隣に立つラリーお兄様を見れば、苦虫を噛み潰したような表情をしてるし、イシリス様も似たような表情をしているわ。お父様も。うん、皆私と同じ映像が浮かんでるんだね。

「……それって、婚約破棄ですか? まさか、真実の愛とか、虐めがあったとか、お花畑の言葉をぬかしたのですか?」

「はい。学園の卒業パーティーの場で」

 マジか……あるんだね。そんなことが、別の国にでも。いやぁ~驚きだわ。

「当時、現国王しか息子はいなかったので、謹慎処分と再教育を徹底して行った後、あとを継がしたそうですよ。かなり、厳しくされた聞いています」

「それも、どこかで聞いたような話ですね」

 どことは、言わないけど。そういえば、あれからどうなったのかな? ちょっと気になるわ。

「先代が優秀過ぎて、次代が馬鹿な国はすぐ傍にありましたからね。まぁ違う点は、先代が現存しているか、していないかの点ですね。後、王太子殿下の教育を現国王に任せなくて、先代自身が行った点も違いますね」

 それ大正解だったわね。

「あ~~だから、目の上のたんこぶなのか」

 納得するラリーお兄様。

「今も影響力がある先代に対して、いい気持ちを抱いてないのに、それに似た息子が近くで目を光らせていたら嫌よね~。機会があれば、排除したいって考えてもおかしくはないわよね」

 とても短絡的で、親子としての愛情の有無に関してはかなり問題があるけどね。なんとなく想像できるわ。第一王女殿下って、お花畑王族たちに似てるんじゃないかな。

「おいおい、物騒なことを言うな」

 お父様に叱られたわ。

「それで、その先代って今どこに?」

 気になったので訊いてみた。

「まさか、口を挟むつもりはないよな」

「そんな面倒くさいことはしませんよ。こちらに利益もありませんし。他国のことですしね。ただ……ちょっと気になっただけですわ。だってそうでしょ。ベルケイド王国とこんなに揉めていて、姿を現さないんですもの。気になりませんか?」

 そんなに優秀な先代なら、とうに出てきてもおかしくはないよね。

「だとしても、他国のことに口を出すことは許さんぞ」

 お父様に念を押されちゃった。わかってるって。そこまで、暇じゃないもの。

「しませんので、ご安心を。あっでも、屑王族たちが今どうなってるかは、確認してもよろしいですか? 王城の周囲を、今一度結界を張り直さないといけませんから」

 イシリス様の怒りで、死なない体になっているのだから。そこだけは、生きた屍は消えないでしょ。



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