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成り立てほやほや王女殿下の初外交

01 エンドキサン王国からの書簡

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 あれから、私はほんの少し、拳分二個分ぐらいだけどイシリス様から離れて座るようにしているの。だって……下手にこれ以上近付いて、また煽ったりしちゃったら、間違いなく寝室に連れ込まれてしまうわ。

 前にも言ったけど、私にも夢があるの!! 

 こんなお転婆で口が悪い私でも、乙女思考っていうか……これでも年頃なんだからね。なし崩し的なものは絶対嫌!! それに、お風呂を入った後がいいし……

 後、王国にいる屑たちのことだけど、イシリス様が創世神様たちと相談して、死なない加護と異常状態無効の加護を授けたらしいわ。なかなかエグいよね。加護を授けられた本人は知らないけど。知った時、どんな顔をするんだろ? 今から楽しみよね。

「ーー聞いてるか? ミネリア」

 お父様の声で現実に引き戻される。考え事はしてたけど、ちゃんと聞いてたわよ。

「……留学ですか?」

 面倒くさそうに答える。

 実際、面倒くさいもの。

 王国に神罰がくだってあんな風になったからね。当然、通っていた学園自体なくなったわ。まだ学生である私と、ベルケイド王国と繋がりを持とうと考える周辺諸国にとって、この提案はいい機会よね。

 ちなみに、私に留学をしないかって言ってきたのは、エンドキサン王国。周辺諸国の中で一番の大国よ。政治、経済、教育、全ての面においても、一番充実しているわね。

 なので当然、私が通っていた学園よりもかなり大きくて、専門的分の研究にも力を入れてるそうよ。学園のレベルは雲泥の差よね。確かに、魅力的ではあるわ。これが、二年前なら留学していたかもしれない。だけどね……

「どうする? 俺はどっちでもいいぞ。ミネリアの好きにすればいい」

 ある程度の国交は周辺諸国と結ぶけど、特定の国とは仲良くしない。一線を引いた付き合いをする。これは、家族みんなで決めたこと。

 だって、それこそ面倒くさいでしょ。特定の国と仲良くしたら、他の国もうちもって言ってくるのが目に見えてるからね。

 留学の件もそう。

 番である私を取り込んで、聖獣様であるイシリス様の恩恵にあずかろうって考える国は、かなり多いのよ。当然よね。まぁそれは仕方ないわ。自国の民が一番大切だもの。私もそうだし。

 ただ……あからさま過ぎて、嫌なんだよね。我儘かもしれないけど、私個人を見てくれないっていうのが嫌なの。学園に通っている時は隠してたし、屑たちも率先して隠してくれたから自由に通えた。

 でも、今回は違うわ。

 もし私が、【聖なる乙女】であることを内緒に通うことをエンドキサン大国に頼んだとしても、内緒にできるわけない。屑王子がリアス様に婚約破棄を宣言したパーティーには、周辺諸国の関係者が大勢出席してたからね。

 私が【聖なる乙女】であることは周知されている。

「留学する必要性はありませんね。そもそも、私はすでに学園での単位を修学中に全て取ってますが」

 本当は、いつでも卒業できてたのに、屑たちのせいで王都に留め置かれていたのよ。卒業できる実力があるんだから、当然、学年一位だよね。その単位が、公の場で通用するかはわかんないけど。

「そうだよな。なら、断るか」

 お父様の隣で控えているダラキューロ様は何も言わない。ということは、賛成でいいのね。

 そもそも、留学を了承したら、特定の国と仲良くなるってことだからね。

 他国の方々が出席するパーティーなら、出席することもあるかもしれないけど。できれば、出席したくないわね。リアス様に仕込まれたマナーを見せる機会は極端に少なくなるけど。

「それでお願いしますわ」

 それに、私にはやるべきことがたくさんあるの。

 ラリーお兄様と私が使用した分のポーションの作製と研究。使用する薬草の品種改良もしなきゃ。もちろん土壌もね。

 お父様はさっそく書簡を用意して魔鷲で送った。

 それで終わりなのに、エンドキサン王国はまた書簡を送ってきたのよね……


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