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神罰が一回だけとは限らない
06 たまには私も堪能したいんです
しおりを挟む「イシリス様、少し相談があるのですが……」
「相談?」
「リアス様のことです。リアス様って、自己評価低過ぎませんか?」
リアス様と交わした会話を思い出しながら、私はイシリス様に相談する。
「あの女の自己評価が低いからといって、ミネリアになんの問題があるんだ?」
ブラッシングが終わった後も、私の膝に顎を乗せたままイシリス様が答えた。
「問題はありませんが、気にはなるのです。あれほど優秀なのに、根本的なところで自信がないなんて」
今は、マナーの先生をしてくれてるけど、いずれは私の専属侍女として、常に傍にいて欲しいと考えていたの。護衛侍女のジュリアと一緒にね。
そして、ゆくゆくは幸せな結婚をして子供を産んでほしい。このベルケイド王国で幸せを掴んでほしいの。
「まぁ、あの王国では、あの女のような奴らは使い勝手のいい駒でしかないだろうな」
「確かに、そうですわね……」
あの屑たちが王国の仕事などしないわね。特にあの元第一王子は、下半身に脳味噌が付いてるから絶対無理ね。リアス様に丸投げなのが丸わかりだわ。実際、学園内では生徒会の仕事丸投げしてたわ。
「そんなに気になるなら、一度、ダラキューロに訊いてみたらどうだ?」
「そうですね。親に訊くのが一番早いかも。ダラキューロ様に一度訊いてみますわ。ありがとうございます、イシリス様」
私はイシリス様の頭を撫でる。
「ミネリア、あの女のことはもういいだろ。もっと、俺を撫でてくれ」
焦れたイシリス様がそんなことを言ってきた。
「はい、イシリス様」
私はクスリと笑うと、イシリス様の頭を撫で続けた。
ほんとは一緒に寝て、そのお腹に顔を埋めたいんだけどね。なのに、どうしても、イシリス様は許してくれないんだよ。番になった頃はまだ小さくて、その時は許してくれてたのに。子供が産めるようになったら許してくれなくなった。自分はいつも私の匂いを嗅ぐのにね。不公平だと思わない。
「結婚したら、いくらでも許してやる。今は駄目だ」
いつもそれ。
我慢ができなくなるからって。
私も、イシリス様の匂いを嗅ぎたいの!! 二人っきりなんだから、恥ずかしくないでしょ。
「その二人っきりが問題なんだ!!」
イシリス様の口調が厳しくなる。
「二人っきりじゃなかったら、いいのですか!?」
私も自然と声が大きくなった。
「なおさら、悪い!!」
「イシリス様は我儘ですわ!!」
たまには、私もイシリス様を堪能したいのに。ずっと我慢なんて……ブラッシングは楽しいし幸せだけど、昔はフワフワなお腹の上で昼寝できたのに。
「……ほんと、結婚したら覚えていろよ」
イシリス様は小さく低くい声でポツリと呟くと、腹を向けて寝っ転がる。
「はい!!」
私は満面な笑みを浮かべると、イシリス様のお腹に飛び込んだ。
顎下に顔を埋めてスリスリする。
あ~~最高!! これよこれ!! 良い匂い。日向と美容液の匂いの中にイシリス様の匂いもする。とっても安心する匂い。そして、大好きな匂い。
堪能する私に対して、大型犬よりやや大きくなったイシリス様の溜息が頭を擽る。
「マジで覚えていろよ……」
悔しいのか、うめき声に近い声でイシリス様はボソッと呟いた。
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