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成り立てほやほや王女殿下の初仕事
03 神罰
しおりを挟む「わかりましたわ。イシリス様、お願いしたします」
見せるって簡単に言っても、私にはそんな高等な魔法は使えない。
なので、ここはイシリス様の出番。
なんでも、自分の眷族を王国に残しているらしい。イシリス様いわく、その眷族の目を通して知ることができるらしいわ。感覚共有ってやつね。さすがだわ。距離なんて完全無視だもの。凄いけど、使いようによっては怖いわね。
「そう思うミネリアが、私はとても愛しく思うよ」
そう告げながら、イシリス様はリアス様の前で頭にキスをする。ついでに、首筋の匂いを嗅ぐのを忘れない。
そんなイシリス様と私のやり取りを、リアス様は顔を赤らめながら目を逸らす。私にとっては軽いスキンシップなんだけど、リアス様にとったらそうじゃないみたい。
刺激が強過ぎるのかな?
でも早く慣れてもらわないと。私だけじゃないからね。お父様とお母様もそうだからね。ちなみに、お兄様と婚約者のサーヤ様もそう。
なぜか、ベルケイド王国は恋人や夫婦間の距離が近いのよね~。王国で暮らして、まずそのことに驚いたわ。もう、懐かしい思い出だけどね。まぁそれは、とりあえず横に置いといて、王国の様子よね。
イシリス様は片腕を上げ、空中をサッと撫でるように左右に振る。すると、靄が表れ直ぐに瓦礫の山を映し出した。
リアス様は口を押さえ、悲鳴を抑え込む。
「……これは、神殿ですね」
瓦礫の中に夫婦神である創世神の像が映し出されてるからね、直ぐにどこかわかった。
「当然だな。人如きが創世神の名を語り、神の理を否定したのだ。創世神の加護などいらぬと宣言したのだから、壊されて当然だな」
「去り際に落ちた雷は、神殿だったのね」
これで、国民にも不審に思うはず。一夜で王都にある全ての神殿が破壊されたのだから。薄々、加護が失ったと気付く者も現れるわね。
「まぁ、ここだけじゃないだろうな」
ポツリとイシリス様が呟く。
「ということは、ベルケイド王国を除く、全ての神殿或いは教会が破壊されたと?」
「ああ、間違いなく破壊されたな」
完全に加護を解いたということね……まぁ、当然だけど。
「……王城はどうなってますの?」
私がイシリス様に尋ねると、先程と同じように片手を上げ左右に撫でる。
映し出されたのは、変わらぬ王城の姿。
リアス様は食い入るように映像を見詰めている。
「あら? 王城は破壊されてませんね」
「簡単に破壊したら面白くないだろ?」
「なるほど、そういうことですか? 創世神様はかなりお怒りのようですね」
「そりゃあそうだろ。見てみろ、王都を護っていた結界が壊れたぞ」
イシリス様の台詞と同時に変わる映像。
一気に魔物が王都に侵入して来る。その様子が淡々と映し出されていた。
王都に響き渡る悲鳴。
あちこちで上がる火の手。
国民は必死で王城に向かうわね。そこには、魔物討伐できる聖騎士がいるのだから。
命からがらで辿り着いた国民はどう思うかしら。王城の周囲に張られた結界が無事なのを見て。
私はチラリとリアス様に視線を向ける。口元を押さえながら青い顔で震えていた。でも、目を逸らすことなく凝視している。
「ここまででいいですわ、イシリス様。ここから先は、リアス様には酷ですから」
私がそう言うと、イシリス様は映像を消した。
イシリス様は全ての神殿、教会は破壊されたと言った。眷族たちは王都の様子しか映していないけど、たぶん……いや、間違いなく、王都以外の町や村の結界も壊れたはず。
だとしたらーー平和に慣れきった町や村には、兵士や冒険者はいても、聖騎士は駐在していない。そもそも、聖騎士がいたとしても、その力が使えるかどうかは疑問だけどね。その力を授けていたのは、創世神様ですもの。
難民が押し寄せて来るかもしれないと思ったけど、その数は案外少ないかもしれないわね。馬鹿な王族たちの犠牲になったのは、正直可哀想だとは思う。
でも、彼らの中に、創世神様やイシリス様に対する感謝の気持ちがあったかは謎ね。もしあるのなら、その方たちは生き残ることができるでしょう。突き放すようで冷たいけど。口には出さないわよ。リアス様の前ではね。誤解されたくないから。
この後の映像は、私たち家族と元宰相様だけで見ることにしましょうか。元宰相様は最後まで見る責任があるからね。元王国の中枢にいた方なのだから。
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