ヤンデレ狼の英雄様に無理矢理、番にされました。さて、それではデスゲームを始めましょうか

井藤 美樹

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満場一致で即決定しました

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 公開裁判、満場一致で即決定しました。

 一週間後に行われるそうです。 

 コーマン国王夫妻は参加できないわ。その頃には、もう王都からかなり離れた場所にいるはずだから。

 パーティー終了後、国王陛下は宰相様と義お父様を同席させ、友好国の凍結、関税の引き上げ、賠償金などを取り決め、魔法紙による正式な書面を二部作成した。それが終わると、速攻、王都から叩き出したからね。一応、変なことを考える危険性が拭えないから、リアお姉様の配下が国境まで監視しているらしいよ。あのユベラーヌの親だからね……

 当の本人はドレスをはぎ取られて、紋様がないか体中調べられたそうよ。それだけで、かなり打ちのめされたと思う。

 そして今は、地下牢に収監されているわ。完全に平民の扱いだね。

 コーマン国王陛下が、ユベラーヌの王族の地位を剥奪するまでは、礼儀を通して、きちんと貴人牢に収監してたけどね。宣言してからは、即引っ越したそうよ。今はドレスじゃなくて、囚人服なんだって。

 まぁ剥奪しないと、ゼシール王国とコーマン王国は戦争になる。なら、溺愛していた可愛い娘でも売るわね。戦争になれば、国がなくなるのは確定だもの。軍事国家といっても、我が王国とは天と地の差があるのよ。

 そもそも、悪いのはそっちだし、仕掛けてきたのもそっち。今回の件とは別に、限りなく黒に近いグレーの案件もあるからね。実際その件で、私は誘拐され殺されかけた。同情なんて一切してないよ。私が不憫に思うのはコーマン王国の民だけ。力がない国は他国に食われて、搾取されるしかないからね。

 ユベラーヌはそこまで考えて行動したの……

 そんな考えが頭をよぎる。私なら絶対できない。どんなに、カイナル様を愛していても。

「……公開裁判をするまでもなく、極刑はまぬがれないでしょうね」

 ランチを食べたあと、ほっこりとお茶をいただきながら、ポツリと私は呟く。禁術を使っただけでもアウトだからね。それプラス、余罪はゴロゴロ。

「我がゼシール王国は法治国家だからね、どんな案件でも、ちゃんと裁判をしないといけないよ」

 とても良い笑顔でアジル殿下が言う。

「完全にデキレースでも必要ですわ」

 これは、スノア王女殿下。それ言ってもいいのかな。事実だけど。

「まぁ、あれだけの、確固たる証拠があれば、くつがえすことはまず不可能ですね」

「確かにな……そもそも、そんな素振りさえ許さないと思うよ」

 誰がとは、言わないアジル殿下。含みもたせなくても誰かわかるよ。

「当然、その中に、私たちも入ってはいますけどね」

 さっきのデキレースもだけど、王宮外で言っていいのかな。防音などの結界を何重にも張ってはいるけど、ここ生徒会室だからね。私たち以外にも生徒いるからね。

 さっきから、無表情の生徒会長と副会長が、差し出されたお弁当無心で食べてるし。なんか……可哀想になってきたな。後日、胃薬とハーブでも贈ろうかな。

「一週間後ってところが、思惑の深さを感じますね」

 思惑というより私怨。

「調べることが多いから仕方ないよ」

「そうよ、ユリシア。あの女、ずいぶんこの王国で好き勝手してくれたのだから、調べることも多いのよ。それに、私の可愛い妹に手を出したのだから、そう簡単な取り調べですまさないから、安心して」

 アジル殿下もスノア王女殿下もとっても良い笑顔だわ。これは逆らえない。本能がそう言ってる。私はコクリと小さく頷き、「ありがとうございます」とお礼を言った。

 法に基づいての尋問だろうけど、かなり精神殺られる系じゃない。自尊心とかベキベキに折るわね。壊れないように、魔法も掛けてそう。公開裁判が行われる日を待ちわびるようになるんじゃない。

 でも、そう簡単に極刑を言い渡さないような気がするのは、私の思い過ごしかな……

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