ヤンデレ狼の英雄様に無理矢理、番にされました。さて、それではデスゲームを始めましょうか

井藤 美樹

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リアお姉様、無双してます

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「コーマン王国第二王女である私が、なぜ入国できないのでしょうか!?」

 何度も入国を拒否されて、とうとう御本人が出てきたよ。

 実はこれ、リアお姉様が身に付けている魔法具からの映像を、王宮の謁見室でそのまま家族全員で鑑賞しているんだよね。因みに私は定番の位置に座ってね。

 いや~生ぬるい目で見られるのも嫌だけど、平然と何事もないように見られるのも、結構ダメージ受けるよね。そんな葛藤をしてるとも気付かずに、カイナル様はずっと私の頭を撫でてるし……撫でられるのは嬉しいけど、いい加減禿げるって。それに、せっかく綺麗にセットしてもらったのに……もう!!

「シア、不快なら別に見なくてもいいぞ」

 カイナル様が頓珍漢なことを言ってきた。カイナル様って、微妙な女心がわかんないから困るよ。自分で説明するのも恥ずかしいし……ほんと、悩むよ。

「……別に、不快ではないので、大丈夫です」

 こう答えるしかないんだよね……

 こんなことを考えている間も、リアお姉様とユーベラとの駆け引きは続いている。リアお姉様が圧倒的に有利な駆け引きがね。

「何度も申し上げてますよ、コーマン王国ユーベラ王女殿下、入国許可書をお持ちではないからです」

 リアお姉様視点から見ているから、表情がわからないけど、たぶん、すっごくいい笑顔で対応してると思う。めっちゃ、声が高揚してるよ。

「失礼ですわ!! 私は留学しに来たのですよ!! その旨の書簡は届いているはずですわ!!」

 コーマン王国が書簡を出す前に出発するくらいだから、まさか自分が入国拒否されるとは考えてなかったでしょうね。

 眉間に皺を寄せて声を荒げる様は、かなり矜持をズタズタにしているように見えるわ。

「確かに届きはしましたが、断る旨を記した書簡を、我が国はすでにしたためて飛ばしております。ゆえに、コーマン王国ユーベラ王女殿下の留学は取り消しとなり、同時に入国許可書も発行されていません。例え王族の方とはいえ、入国許可書をお持ちでないと、我が国には入国できません」

 リアお姉様は当然のことを言ってるだけ。ユーベラはかなり悔しそう。持っていた扇で自分の手のひらをバンバンと叩いてる。それだけで、怒り具合がわかるわ……

 今まで、なあなあになってたんだろうな……そうでなければ、入国許可書を持ってなくて入国しようとしないわ。友好国だから許されたんだね。それはそれで、かなりの問題よね。それにしても、リアお姉様とても楽しいそうだわ。

「留学の取り消しですって!! 理由を伺ってもよろしいかしら?」

 あっ、持ち直した。でも、それ訊く? 訊かなければ、傷はまだ浅かったのに……馬鹿だね。悪いことをしている気はまったくなかったのが、よくわかるわ。自分が偉くて優遇されてると信じて疑わない。

「それは、ご自身が一番よくわかっておられると思いますが」

 すぐに教えないリアお姉様、大好きです。

「思い当たる節がないから訊いているのです!!」

 本当に思い当たる節がないかもね。あっても問題になるとは考えていなかった。簡単に揉み消せると考えていたのね。それは使者も同じ。だから、私が手紙を持ち帰ったことを咎めなかった。

 相手が平民である私だから――

「そうですか……貴女は我が国第二王女ユリシア様に対し、脅迫行為をおこなった。その事実により、我が国はコーマン王国との友好関係を白紙に戻しました。それが、貴女の留学を認めなかった理由です」

 真顔で答えるリアお姉様に、ユーベラは嘘ではないことを理解し言葉を失う。

「……ユリシア嬢が第二王女?」

 さっきまでの勢いと威勢はどこにいったのかな? あまりにも声が小さいよ。まぁ、ショックなのはわかるけどね。

「知らなかったのですか? 表立っての公表はしておりませんが、貴女がユリシア王女殿下を脅迫した時点で、すでに王族として登録されておりました。つまり、貴女は我が国の王族を脅迫したのです。当然、物的証拠は多数あります」

「……物的証拠?」

「はい。一番の物的証拠は貴女の直筆の手紙ですね。当然、神殿にて魔力鑑定を依頼し、貴女の直筆だと確認がとれております。かなり、過激な内容でしたね、コーマン王女殿下」

 リアお姉様の無双状態、ずっと続いてるよ。このまま最後までいっちゃえ!!

「…………」

 あ~完全に、黙っちゃった。でも、心は折れてないわよね。すっごい、タフ。でも、それだけカイナル様が欲しいってことだよね。

「ユリシア王女殿下はお優しい方です。だからといって、それを当然のように受け取るとは……我が国を舐めていらっしゃるのですか、コーマン王女殿下。今は、貴女の罪を表立てにはしないのだから、さっさとお引取りください。あと……これは私一個人の考えですが、貴女は亜人族ですか? 少なくとも、見た目は人族ではありませんよね。亜人族ならば、番をいかに大事にしているかご存知のはず。それも、相手は狼人族。ましてや、互いに自分の魔力を込めたピアスを交換している婚約者同士。なのに横恋慕し、権力をかさにきて番を脅迫し排除しようとは……コーマン王女殿下、コーマン王国を滅ぼすおつもりですか? 狼人族の群れの怖さをご存知ないのですか? ユリシア王女殿下はカイナルの大事な番、大事な家族の一員。ウズウズしている我らをこれ以上刺激しないでもらえますか、コーマン王女殿下」

 淡々ととんでないことを話しているけど、声の冷たさと怒り具合が画面越しでも伝わってきて突っ込めない。

 リアお姉様、無双するのはいいけど、コーマン王国の王女に対して堂々と宣戦布告をしてるよ!! そんでもって、私の周りにいる人全員、普通に受け止めてる~!! ゴンディー公爵家の皆は小さく頷いてるし……亜人族、怖っ!!

 番関係で破滅する人がいるって意味、あらためて実感したわ……身分、国、関係ないんだね、

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