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普段のカイナル様
しおりを挟む普段のカイナル様ね……
まず、私を歩かせまいとするよね。
確実に、屋敷内で私が歩いて移動するのは、トイレとお風呂場までかな。それも散々抗議してね。当初、当然のようにトイレやお風呂場の中まで運ばれた時は、顔が真っ赤になって怒ったよ。怒られた本人は、なぜ怒られたのか全然わかってないし、ほんと、人族の恥ずかしさを説くのに苦労したな。
カイナル様が執務室で仕事している場合は、執務室まで歩くのは半分くらい。残り半分は、エントランスで私を出迎えてくれている。普通は反対だよね。まぁ私も屋敷にいる時は出迎えているけど、それでも、断然カイナル様の方が多い。とにかく、そのまま抱っこされて部屋に運ばれて、着替とかが終わるとまた抱っこされて執務室に。
そして、常に膝に乗せたがる。
ついでに、やけに餌付けをしてくる。
スリスリされてクンクンされるのも、日常的なものになっているね。
人族なら完全アウトだわ……前世でもね。他の亜人族が番にどう接しているのかわからないから比べようもないけど、スノア王女殿下やアジル殿下を見れば、若干いきすぎている程度みたい。常識の許容範囲なのかな。範囲を越えていても、相手がカイナル様ならなにも言えないよね。
あとは……私がカイナル様以外の人と接するのを、もの凄く嫌う。特に、匂いに敏感かな。他人の匂いが付くのを一番に嫌うみたい。もちろん、話すことも嫌うけどね。常に、警戒感アリアリだよ。なので追求もすごい。狂気をはらんでいる時もあるよ。そういう時って、言葉数が異常に凄い。噛みもせず数分巻くしたて続ける。同じ意味のようなフレーズを聞かされ続ける。そんな状態での尋問は、確実に私の精神にダメージを与えまくる。ついでに、デスゲームの駒を進めてる。
それから……私の居場所は常時把握されているわ。盗撮も盗聴も、当然のようにされているわね。敢えて言わないけど、隠そうともしていない。私が気付いても続けている。現在進行系でね。
これ……前世では、立派なストーカーだよ。ここが日本なら立件されて塀の中だわ。隠れてないけどね。
困ったことに、プレゼントも贈りたがる。記念日でもなんでもないのに。勿体ないからそれを断れば、子犬のようにシュンとなる。もしくは、気に入らないと思ってさらに高価なものを買おうとするわね。なので、私はカイナル様にお花にしてもらうよう頼んだ。束ではなく一輪だけでとお願いしたよ。それなら、お金もさほどかからないでしょ。それに、部屋を花で占領されたくないし。
通して考えてみると、カイナル様って天井がない公認ストーカー。言動はメンヘラとヤンデレ混合。確実に詰んでる。かなりへこむな。でも、たまにだけど、そんなカイナル様が可愛いって思う時があるのが嫌なんだよね。
そう考えると……いつもより帰りが遅いと……あ~ヤバいわね。スノア王女殿下が言った一時間は、ギリギリ交渉可の時間だったのね……言動も気を付けないと、また駒を進めたくないし。
う~ん、どうしよう。どう切り出したらいいかな? 盗聴されてるから知っているはずだけど、私の口からお願いしないと絶対怒るよね。
胃がキリキリ痛むよ……
考えても答えが出ないのなら、そのまま言うしかないよね……私の胃がもたないかも。
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