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第八章 今度こそ絶対逃げ切ってやる
就職してないんだけど
しおりを挟むそれからの私は、自分で決めた道を歩いてる。
時間はいっぱいあるからね。
とりあえず今は、魔王様のところに顔を出してから、グリーンエルフの森に。光魔草の研究と、グリーンエルフが所有している書物を読みあさっているの。
新しいことを知るのは楽しいよね。それと、未知なる挑戦も。未だ誰も成功していない、光魔草の栽培ができればすごいよね。
とはいえ、できたとしても、どこにも発表するつもりはないけどね。そもそもできないし。場所、魔国だよ。新たな勇者誕生ってことにもなりかねない。間違いなく、新たな戦争の火種になるわね。
でもまぁ、カイン以外に攻めて来れる人はいないだろうけど。っていうか、入口がまで辿り着けないよね。入口も認識阻害の魔法でわからないようになってるし。勇者モドキには絶対無理。
それこそ、馬鹿が馬鹿のように使わなきゃ、足はつかないわよ。それと欲をかかなきゃね。
「へぇ~、商会から、また光魔草の注文がきてるんですか?」
光魔草の貴重性を知っていながら、間をさほど置かずに注文ね……それも、うちを名指しでって。
「めちゃくちゃ、怪しくありませんか?」
完全に目を付けられてるよね。明らかに罠だよね。作業の手を止め答える。
「そうだよね。マリエールちゃんも、そう思うよね」
彼は行商人のラックさん。一応、魔国の騎士だよ。魔国産の品を行商しに行ったり、反対に人国の情報と品を魔国に持ち帰っているのが仕事。影っていうか、スパイ的なものかな。
そんな立場の人から相談されてる。いいのかな? 私一応人族だし。魔国に就職してないんだけどな……
「おろしすぎましたね。足切ったらどうですか? 別に切っても困りませんよね」
この場合の足は商会のことね。特に切ったとしても、外貨に困りはしないでしょ。
「だよね。切ろうっと。それにしても、マリエールちゃんの護衛君たちは個性あるね」
護衛ね……
それ、殺気ふりまきながらするもんじゃないでしょ。あの二人の殺気に平然としているラックさんって、口調は軽いけど、かなり強いのがわかる。だから、そんな軽口が叩けてるんだよね。
「個性? ほぼほぼ黒いですけどね。ラックさんもそうですけど、皆さん姿を変えれるので、暫く鳴りを潜めてから再開したらどうですか?」
「俺もそう思う。でも、欲しかったんだよね、あの国の情報っていうか、王女様の情報」
ラックさんの口からその単語がでるとは思わなかったよ。
「……私、一言も話してないんですけどね。まぁいいですけど」
苦笑しかでないわ。そういう仕事だからね……ラックさんに文句を言っても仕方ないけど。
「その反応、俺好きだな。それで、気にならない?」
本当に、口調が軽すぎる。これで奥さんいるんだから、よほど奥さんできた人なんだろうね。止めていた手を動かす。
「気にならないといえば嘘になりますね。でも、わざわざ知りに行きたいとは思いませんけどね」
「そうなの?」
やけに、こだわってるわね。何かあるの? だとしても、
「私にとって、どうなろうと構わない人間ですから」
それこそ、生きようが死のうが関係ない。
「マリエールちゃんのいた国に戦争を仕掛けようとしてても?」
ラックさんの口から出た言葉は、私の想像斜め上をいくものだった。
「「「はぁ!?」」」
思わず、大きな声が出ちゃったよ。当然、反応したのは私一人だけじゃなかった。
☆☆☆
最後まで読んで頂きありがとうございます。
少しでも楽しんで頂けたら、とても嬉しいです。励みにもなります。
知っている方もいると思いますが、〈第一回きずな児童書大賞〉にエントリーしてます。
タイトルは【こうなったら、頑張るしかないでしょ~両親大好きっ子平民聖女様とモフモフ聖獣様との出稼ぎライフ~】です。初の児童書ですね。
是非時間があれば、読んでもらえると嬉しいです。
これからも頑張って書いていきますので、宜しくお願い致します。
応援ありがとうございます!
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