309 / 354
第六章 友人からお使いを頼まれました
子供扱いしないでください
しおりを挟む私が十四歳だってことがわかってから、ライさんとジョルジュさんの態度が激変したの。過保護の方にね。
私を護るように二人の間に挟まれての移動だし、マジで、そういうのいらないんだけど。二人は好意でしてくれてるのがわかってるだけに言い難いけど、ここははっきりと言わないとね。だって、私はフリードさんの護衛のために、この旅に同行してるのよ。真ん中はおかしいでしょ。そこ、本来はフリードさんの場所よね。
そりゃあ、フリードさんが、他人に護ってもらわなきゃいけないくらい弱いわけでもないし、一人で旅をしても全然平気なのはわかってるけど、これとそれとは話が違うでしょ。
なので、ここははっきりと言わしてもらいます。
「ライさん、ジョルジュさん、そこに座ってください」
私を座らせて、休憩時間もせかせかと動いている二人に私はやや厳しい声で言った。
「ん? どうした? 疲れたのか?」
「だったら、ここからは抱っこしてやろうな」
ライさんとジョルジュさんは私を心配する。
「いやいや、抱っこって、小さい時に数回しかしてもらってませんよ。まぁ親って言っても、義父親ですけど」
つい、ポロッと溢してしまったら、すっごく同情されてしまったよ。
「そうか。辛い想いしてきたんだな。頑張ったな」
「数回って……マリエールは偉いな」
ライさんもジョルジュさんも私の頭を撫でてくる。涙ぐみながら。二人とも、人良すぎでしょ。
それにしても、これ、さらに拍車が掛かってない!? 私の馬鹿!! 余計なこと言っちゃったわ~~。
頭を抱え込みたくなる私を、フリードさんは肩を震わせながら見ている。絶対、笑ってるよね。楽しんでるよね。
頼みの綱の神獣様を伺えば、「マリエールは頑張り屋だからな。これくらい甘やかされても罪はない。たがな、触り過ぎは許さんぞ」と呟いてるし、これ、絶対駄目じゃん。
「ライさん、ジョルジュさん、私を子供扱いしないでください!! 私はフリードさんの護衛として、旅に同行してるんですから!!」
気を奮い立たし、私は断固として抗議する。
そんな私を、「「うんうん」」と頷きながら聞く、ジョルジュさんとライさん。
「マリエールは偉いな。ちゃんと、仕事をしようとしてる。責任感もあるな」
おい、お前は私の父親か。
突っ込む代わりに、ジョルジュさんに蹴りをいれてしまったわ。
「いい蹴りだな。元気があっていいぞ」
なぜか、とても嬉しそう。
「子供はこれくらい元気があって当然だな」
そっか……二人の目には、私は子供としか映んないだね。わかりましたよ。
「マリエールさん、早々に諦めた方がいいですよ。ライとジョルジュの種族は、特に子供を大事にしている種族だからね。一族全員が親みたいに子育てしているんですよ。あっ、ちなみに、僕の所もそうなので、覚悟してくださいね」
ニコッと微笑みながら、フリードさんは言った。
呆然とする私に、ライさんが「これも食べるか?」と、自分のオヤツを私の皿にのせた。もちろん、ジョルジュさんもフリードさんも。
食べれますけど!!
ニコニコしながら、私が食べるのを待ってるようで、食べなければ余計にややこしくなりそうなので食べたわよ。注目されながら!!
26
お気に入りに追加
5,474
あなたにおすすめの小説
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……

目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです
MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。
しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。
フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。
クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。
ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。
番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。
ご感想ありがとうございます!!
誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。
小説家になろう様に掲載済みです。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。
たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。
しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。
そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。
ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。
というか、甘やかされてません?
これって、どういうことでしょう?
※後日談は激甘です。
激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。
※小説家になろう様にも公開させて頂いております。
ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。
タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~


【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください
ゆうき
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。
義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。
外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。
彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。
「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」
――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。
⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎

王太子に婚約破棄されてから一年、今更何の用ですか?
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しいます。
ゴードン公爵家の長女ノヴァは、辺境の冒険者街で薬屋を開業していた。ちょうど一年前、婚約者だった王太子が平民娘相手に恋の熱病にかかり、婚約を破棄されてしまっていた。王太子の恋愛問題が王位継承問題に発展するくらいの大問題となり、平民娘に負けて社交界に残れないほどの大恥をかかされ、理不尽にも公爵家を追放されてしまったのだ。ようやく傷心が癒えたノヴァのところに、やつれた王太子が現れた。

悪役令嬢は処刑されないように家出しました。
克全
恋愛
「アルファポリス」と「小説家になろう」にも投稿しています。
サンディランズ公爵家令嬢ルシアは毎夜悪夢にうなされた。婚約者のダニエル王太子に裏切られて処刑される夢。実の兄ディビッドが聖女マルティナを愛するあまり、歓心を買うために自分を処刑する夢。兄の友人である次期左将軍マルティンや次期右将軍ディエゴまでが、聖女マルティナを巡って私を陥れて処刑する。どれほど努力し、どれほど正直に生き、どれほど関係を断とうとしても処刑されるのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる