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第三章 超ハードモードの人生に終止符を

行き着く先

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「そりゃあ、困るわね」

 はっきりとした口調で断る。

 糞女神に体をやるつもりなんてもうとうないわ。考えただけでも気持ち悪くて鳥肌がたったわよ。でもまぁ、そう考える可能性を考えなかったと言えば嘘になるわ。糞女神は、私がそこまで考えていたとは思ってなかったようだけどね。

 糞女神の体がビクッと震え止まった。

 確かに、毒は全身に回っていた。普通なら、口がきける状態じゃない。でも、私の体は動くーー

 だから、ソフィア糞女神の腕を強い力で掴むことができた。

「ーーな、何故動けるのよ!?」

 焦る、糞女神。必死で私の腕を振り払おうと身を捩る。また蛇に咬まれた。激痛が私を襲う。肩を咬まれた時とは比べものにならないほどだ。私の体を手に入れようとすることは諦めたみたい。確実に、即死させるほどの毒だ。

 口から血が溢れ落ちる。目の前が真っ赤に染まった。

 それでも、私は掴んだ手を放さなかった。

 ここで踏ん張らないと、いつ踏ん張るのよ!! ここで手を放したら一生後悔する。自己嫌悪で立ち直れないわ。私の今までが途端に色褪せるものになってしまう。だから私は、

「……神の奇跡ですわ」

 血を吐き出しながら告げる。

「ゼリアスか!! だが、神の奇跡は一度だけ。二度目はないわ!!」

 糞女神が叫ぶ。

 あ……なんて、いい声音なの。

「……そんなこと……わかっていますわ。言ったでしょ。糞女神…………私は……貴女を…絶対に……許さないって……」

 ゼイゼイと、荒い息をしながらも、私はその手を離さずに言い放つ。そして、ニヤリと笑う。

「……お姉様、私を殺すのですか」

 糞女神は、ソフィアの口調と表情で私に揺さぶりをかけてきた。だから、何? 当然私はこう答える。

「殺せるわよ。でも、殺すのは私じゃない」

 そう告げると、私は顔を上げる。直ぐに気付くだろう。私が見ているのは糞女神ではなく、その後ろだとーー

 でも、気付いた時には遅い。

 だって、殿下の剣先が腹を貫いているのだから。

 ゴホッと血を吐くソフィア。後ろに視線を向けたあと、私に視線を移した。憎しみと増悪の目で、私を睨み付ける。

「諮りおったな、アリエラ。だが、我を殺しはできぬ。人間と同化したから殺せると思ったか。残念だったな」

 糞女神が願ってるのは、私たちの絶望した顔。あいにくだけど、見せることはできないわ。

「…………殺し……はしないわよ。……私は…そんなに……優しくないわ……」

 言い終わらないうちに、糞女神のその足元が光だす。

 その光は、瞬く間に糞女神と私を包み込んだ。殿下は弾かれた。

「い、嫌っ!! 嫌!! 離しなさいよ!! 離せーーーー!!」

 この光が何なのか悟った糞女神は、必死の形相で叫ぶ。

 光が消えた先、糞女神が行き着く場所は創世神ゼリアス様の御前。私や殿下、人間を傷付けることができても、最高位の神からは逃げられないでしょ。


 その後は、永遠に続く刑罰が糞女神を待っている。
私と殿下が希望した地獄がね。

 誰が離すもんか!! 

「……寂しいでしょ。一緒に逝ってあげるわ」

 私って親切でしょ。

「嫌っ!! 嫌ーーーー!!」

 糞女神が叫ぶ。

 いくら叫んでも、もう遅いわよ。

「マリエール!! 逝くな!! 逝かないでくれ!!」

「マリエール様!!」

 光の壁の向こうから、殿下とインディー様の悲痛な声が聞こえた。

「最後まで我儘でごめんなさい。貴方は生きて……」

 残酷なことを言ってるとは思うわ。でも私は、殿下に生きていて欲しかった。どうしても……

 

 
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