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第二章 超ハードモードの人生を終わらせるために頑張ります
精々頑張って泳いでね
しおりを挟む微妙な空気の中、捕まえた誘拐犯さんたちは一番厳重な王宮の牢屋にそのまま連行された。
そして、私たちも王宮に。
王都に戻ったら、真っ先にグリード家に戻らなきゃいけないって思ってた。そう考えてた。だって、オルガ義兄様のためにって言っても、私がやったのは立派な家出だからね。
すっごく怒られるかな? 絶対怒られるよね。殴られるかな。怖いな。それとも、謹慎させられるのかな。それだけで済めば、まだマシな方だよね。
ほんと、ずっと心づもりしてたのにな……先に、王宮に行かなきゃいけないなんて。どっちにしても、気が重いよ。
グリード家に帰る前に、王宮に顔を出すようにって命令があったから仕方ないけどね。誰にも気付かれないように、小さな溜息を吐く。
しょうがない。命令だからね。無視なんてしたら不敬罪ものだよ。表向き、王妃教育のために王宮に滞在していることになってたから仕方ないんだけどね。
そうそう、これは余談だけど、どうやら誘拐犯さんたちは知らなかったらしい。自分たちが誘拐した小汚い青年がグリード公爵家の次男(偽)だってことに。
まぁ見た目は、そこら辺にいるハンターとたいして変わんなかったからね。勘違いしても仕方ないかな。それに、安宿に泊まってたし。そこら辺はキチンとしてるからね。お父様もお母様も。
誘拐犯さんたちは、今回の誘拐も、貴族のお嬢様の我儘だと思ってたらしい。
もってことは、今までにも、同じような犯罪をしていたってことだよね。つまりそれだけ、被害者がいるってことだ。それについても、キチンと話してもらわないとね。
誘拐犯さんたちはそんなに悪いことをしているとは思ってなかったみたい。だけど、誘拐は誘拐だし、犯罪は犯罪だよ。貴族だからって、決して許されることじゃない。オルガ義兄様が平民だったとしてもね。貴族だからこそ、些細な行動にも注意しなくちゃいけないと私は思う。
少し話が逸れたけど、事実を聞かされた時の誘拐犯さんたちの顔ったら、凄かった。人間の顔色って、あんなにもはっきりと変化するなんて思わなかったよ。赤から青に。ほんと吃驚。
彼らの罪はおそらく死罪だろう。
殺し屋さんに殺されなかったけど、代わりに罪人として処刑される。素直に証言したなら、痛くない死に方が出来るくらいの情状はあるだろう。同情はしない。自業自得。因果応報だから。
まぁこれで、物的証拠がまた一つ揃った。それもかなり有効な物的証拠がね。
もう完全に詰んでいるのにね。どんだけ証拠を私たちにプレゼントしてくれるんだろ。ほんと親切よね。
結局、私たちの掌の上でポーター公爵たちはコロコロと転がっている。間抜けよね。早く、絶望して崩れ落ちる瞬間が見たいわ。たぶん、もう少しで見れるだろうけど。
ポーター公爵家に元から逃げ場などない。勿論、司祭たちもだ。教会も潰す。絶対にね。
後はいつ明らかにするかだけだけど……
「それは、俺に仕掛けてきた時が一番いいんじゃないか」
だね。殿下の案に大賛成!!
それまでは泳がせる。精々頑張って泳いでね。
☆☆☆
【第四回ホラー・ミステリー小説大賞】に参加しています。
少し古い作品ですか、完結済み。
恐怖をお楽しみ頂ければ嬉しいですm(_ _)m
応援ありがとうございます!
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