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第二章 超ハードモードの人生を終わらせるために頑張ります

自己満足の極み

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 荷馬車はボラン村を通り抜け、向かう先はボランの森。

 ……ん?

 アレ……?

 通り過ぎちゃった。

 やっぱり、報告通り王都の屋敷に向かうつもりね。

 ということは、ポーター公爵とディア様は既に王都に戻って誘拐犯さんたちをわけか。そりゃあそうか。休学届けも出さずに休んでるもの、別荘で偽オルガ義兄様を待てる訳いかないか。私と殿下、そしてインディー様は公休扱いになってるけどね。
 
「ねぇ、カイン殿下。このまま、荷馬車で入ることは出来ませんよね」

 王都の出入口は厳重に警備されている。勿論、許可証と積荷は検査される。それも一箇所じゃない。全部で三箇所。それを全部突破するのは難しい。例え、ポーター公爵家の印が入っていてもね。

「そうだな。兵士を買収したとしても無理だな」

「まぁそうでしょうね。少なくとも、三人は買収しなければいけませんもの」

 買収する人数を増やせば、それだけ足が付きやすくなる。リスクが高過ぎるわ。ましてや、仕出かしていることを考えると、リスクは低い方が成功率が上がる。言っちゃあ悪いけど、オルガ義兄様を誘拐するのは、計画の始まりに過ぎないしね。

「ああ、絶対途中で乗り換えるな」

 どこでかは分からないけどね。でも、まず間違いなく乗り換えるわ。

「……ポーター公爵家の紋章が付いた馬車が、一番成功率が高そうですわね」

「そうだな。ヤツのことだ。力技で押し通そうだな」

「確かに。……光景が目に浮かびますわ。
 ほんとはドアを開けて確認しなければなりませんが、怒鳴り付けて、そのまま入りそうですものね。
 となれば、誘拐犯さんを待ち受けているのは、ポーター公爵本人が濃厚ですわね」

「ポーター嬢も一緒に来るかもしれないな」

「十分ありえますわね」

 オルガ義兄様に対するディア様の執着は病的だったからね。本人は悪魔から救い出すって信じているみたいだけど。まぁ、隣にいる殿下に対しての執着とは少し違うみたいね。どっちも傍迷惑でしかないけど。ああ……迷惑じゃすまないか。

 そもそも、自分の兄の友人を奴隷にしたいと思う? 普通の神経じゃ考えられないわ。まだ、ポーター公爵のように利用するためって言った方が納得出来る。許せないけどね。

 そもそも、奴隷の発想自体思い付かないわよ。オルガ義兄様がディア様に好意を抱いていたとしてもね。

 確かに、奴隷って言葉はあの別荘では出てこなかったわ。でも、それに近いことを司祭から言われてた。

 本人の意思を無視して帰依させる。

 その言葉の意味が分かっているの?

 自分勝手な正義感を振り回す。そのためには、どんな手段を使っても許される。だって自分は、貴方を救うためにしているのだから。自己満足の極みよね。

 カイン殿下に対しても、そう。悪魔から愛しい恋人を救うつもりでいる。自分を好きになるようにさせてね。

 絶対にそうはさせない。

 グリード家とカイン殿下に降り掛かる災いは、絶対、振り払ってやるわ!!





☆☆☆

【第四回ホラー・ミステリー小説大賞】に参加しています。

 タイトルは〈人喰い遊園地〉です。

 少し古い作品ですが、本編は完結済み。

 恐怖をお楽しみ頂ければ嬉しいですm(_ _)m

 
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