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第二章 超ハードモードの人生を終わらせるために頑張ります

自分から振ることにした

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 やっぱり、その道のプロは違うわね。

 いやぁ~~どこからどう見ても、オルガ義兄様にしか見えないわ。アレだったら、誘拐犯さんもコロッと騙されるわね。

 まぁ実際、騙されてくれたけど。

 偽オルガ義兄様を誘拐した誘拐犯さんたちは、今、グリード公爵領を出たところ。私たちは、かなり離れて尾行している。これだけ距離が離れたら、まず気付かれないよね。それに万が一見失っても大丈夫なように、誘拐犯さんの荷馬車と偽オルガ義兄様にも、追跡用の魔法具を仕掛けている。師団長様と学園長二人のお手製の超小さいものをね。

「この道、記憶があるわ。やっぱり、ボラン村の方向に進んでますね」

 つい最近通ったばかりだもの、さすがに覚えてるわ。この悪路。身体強化の魔法掛けとこうと。打ち身だらけになるのは嫌だからね。

「マリエール……」

 もうずっとこんな感じ。

 隣にいる殿下が、ずっと何か言いたそうな顔をして私を見ている。

 言いたいことは分かるけどね。騎士団長様も師団長様も訊いてはこない。殿下と同じ様に言いたそうにしてるけど。

 正直、心配してくれてるのは嬉しい。でもね、あ~~もう、この間がやだ。視線がやだ。

 なので、自分から振ることにした。

「…………言いたいことがあるなら、はっきり言って下さいませ」

 すると、殿下は一瞬目を見開き、少しおどおどしながら尋ねてきた。

「……あっ……ろくな挨拶もなしに出てよかったのか?」

 別に怒ってないのに、おどおどしなくてもいいでしょうが。

「構いませんわ。特に話すことなどありませんもの。それよりも、オルガ義兄様の事の方が大事でしょ」

 話をしたのも、謝罪されたっきり。挨拶などは交わしたけどね。まず私が屋敷にいなかったせいもあるけど。ご飯はほぼ外で済ませてたし。そもそも、滞在日にちが三日だったしね。

 正直、屋敷には居づらかった。 

 結局、お母様とアル義兄様が用意してくれた部屋は使わなかったしね。だって、侍女や従者、使用人たちのコソコソ話が耳に入ったら使えないよ。

 さすがに表立っては言わないけど、どうしても噂話は耳に入ってくる。

 あの部屋は本来、義姉様の子供のための部屋らしい。お母様もアル義兄様も違うって言ってたけど。二人以外はそう思ってるみたい。「まだ生まれもしていない子供から取り上げるなんて、やっぱりラング家の子供よね」って影で言われたら、使えないでしょ。

 一緒にいた殿下たちは怒ってくれた。そして、「使用人の噂話なんか気にするな」って皆言ってくれた。だけど、無視なんて出来ないよ。それに、歓迎されてない感アリアリだもの。いくら表面上はちゃんとしててもね。お母様とアル義兄様が私を認めてくれても、積み重なった恨みの連鎖を断ち切るのは難しいわね。

 だからかな、滞在中は距離を置くようになった。出発が慌ただしかったから、元々挨拶に時間はとれなかったけどね。交わした言葉は二言か三言だけ。

 全てが終わって、夏休みに領土に帰るか訊かれたら、たぶん帰りたくないかな。それが、私の正直な気持ち。

 そんなことを考えてると、殿下が頭を撫でてきた。突然のことでビックリしたよ。でも、嫌じゃない。

「カイン殿下……」

「……マリエールはマリエールだ」

 当たり前の台詞だよね。でも、今の私には何よりも嬉しい言葉だった。涙ぐみそうになるくらいにはね。

 


☆☆☆

【第四回ホラー・ミステリー小説大賞】に参加しています。

 タイトルは〈人喰い遊園地〉です。

 少し古い作品です。本編は完結済み。

 恐怖を味わって頂ければ嬉しいですm(_ _)m




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