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第二章 超ハードモードの人生を終わらせるために頑張ります

不可抗力だったらしいです

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「ほんと、偶然だったんだよな……まさか、俺自身、こんな形で別荘に来ることになるとは思わなかったよ」

 まるで不可抗力だったと、体を洗いながら殿下は小声で話し出す。

「そのことは後で。さっさと洗って下さい!!」

 やけに余裕綽々だわ。なんか腹が立ってきた。

 見ないように後ろを向いたまま私は小声で怒鳴る。そもそも、何で私たちも一緒に洗い場にいなきゃいけないのよ。従業員用だから広くてよかったけど。ううん。よくない。仕方ないとはいえ、いたたまれないわ。

「もうちょっと、大きい声でも大丈夫だぞ。声が漏れないよう障壁を張ってるから」

 洗い場内にだけ張られた遮音障壁。そのせいで、私とサクヤは洗い場にいる訳。あまり大きい障壁は、ポーター公爵側に気付かれる可能性があるからね。

 私と違ってやけに楽しそうな声に、マジで殴りそうになった。

 殿下とサクヤは平気そうだけど、私はさっさとこの場から離れたい。

「そう言われたからって、普通の音量で話せますか……で、暫く従者として働くつもりですか?」

「それはアイツら次第だな」

 頭をゴシゴシと洗いながら殿下は答える。

 まぁ私も、ポーター公爵家が何を企んでいるか知りたい。それが、グリード家に関わることなら、なんとしても阻止したい。そのためなら何だってする。

 だから分かるまでは、ここから離れるつもりはないわ。こうなったら、もう根気勝負よね。

「取り敢えず、今は魔法を解いておけ。ずっとは辛いだろ」

 殿下の言葉を聞いてサクヤを見る。すると、サクヤは小さく頷いた。

 私は認識阻害の魔法を解いた。完全じゃないけどね。今までが八ぐらいなら、今は二ぐらいかな。やっぱり、完全に解くのは怖いからね。それに急に人が入って来るかもしれないじゃない。咄嗟に反応が出来なかったら困るでしょ。

 ほら、こんな風に。

「いつまで入ってる!! さっさと出ろ。お嬢様がお待ちだ」

 執事がいきなり入って来て怒鳴る。

「はい。直ぐに出ます」

 殿下はそう答えると急いで泡を流した。そして、乱暴に体をタオルで拭うと用意された服を着る。

 急かされるように歩き連れて行かれる。勿論、私たちもその後ろをついて行く。

 連れて行かれた先は食堂だった。

 そこにいたのは、ポーター公爵とディア様。どうやら、兄は来ていないようだ。その代わりって言っていいのかな、司祭らしき人がいた。

「こやつか? ディアが従者にしたいと言った少年は。……ディア。この平凡な容姿のどこかいいんだ?」

 ポーター公爵は呆れながら、ジロジロと殿下を足元から顔まで見詰めて言った。



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