今度こそ絶対逃げ切ってやる〜今世は婚約破棄されなくても逃げますけどね〜

井藤 美樹

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第二章 超ハードモードの人生を終わらせるために頑張ります

口にするもんじゃなかったわね

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 今日は王妃様とのお茶会の日。つまり、ディア様の誕生日会の日ね。

 王妃様は急遽仕事が入って、残念だけど参加出来なくなった。なので、いつもと変わらない。殿下と二人っきりのお茶会。

 ディア様にはそう言って断ったものの、実際に王妃様とのお茶会が開かれなくても、私的には特に問題はない。あけまで非公式なものだったしね。だから、なくなったらなくったで別に痛くも痒くもない。ちょっと、ううん、かなり残念と思うくらいで。だって、私もグリード公爵家も、ほんの少しもダメージを受けないからね。

 これはあくまで想像だけど、そのことをもしポーター公爵家の方々が言い出したとしたら、色々と都合悪いことになるんじゃないかな。王族を軽視してるとか、裏で囁かれそう。それって、かなりマイナスだよね。直に社交界が始まるのに。

「楽しそうだな、マリエール」

 考えていたことが顔に出てたようだ。

「王妃様が参加されなかったと知ったら、ポーター公爵の方々が色々言いそうだと思いまして。それを聞いた方々はどう思うかと、想像してましたの」

 何せ私に、日にちを変えるように言ってきた強者つわものの親だしね。十分考えられるでしょ。

「そんな風に考えられる頭があるなら、まず招待状なんか送ってこないだろ」

 殿下が呆れながら言った。

 まぁ確かにそうですわね。

「覗き見するのが、一層楽しみになったんじゃないですか? カイン殿下」

「勉強会だ」

 即座に訂正されました。

「それにしても、殿下が何もしないうちに、次々と自分でボロを出していませんか?」

「色々用意していたのに残念だ」

 心底残念そうに殿下は言った。

「……そうですか」

 どんだけ用意してのよ。っていうか、何を用意していたのか知りたいわ。

「知りたいか?」

 ニヤリと笑いながら殿下が訊いてくる。

「いえ、結構です」

 即答で断ったよ。この笑みを浮かべた殿下は絶対近寄るべからず。身に沁みて知ってるから。興味は時として自分に災いをもたらす。くわばらくわばら。

「そうか……残念」

 心底残念そうだわ。ここは話題を変えるのが一番ね。

「それで、結局、どんなプレゼントを贈ったんです?」

 プレゼントって、勿論ディア様のプレゼント。つい、ぽろって口から出たことがほんとになっちゃった。まさか、本当にランス殿下宛に招待状が届くとは思わなかったわ。どうやら、ポーター公爵家はランス殿下に狙いを定めたようね。

「そこらへんに売ってる、ありきたりな既製品だ」

 もはや王子様の顔じゃないわね。嫌悪感丸出し。まぁ気持ち分かるけど。

 でもそうなると……殿下の人身御供が決まったわね。招待状を送ってくるくらいだもの、これから先、ポーター公爵が色々接触を図ってくるのは目に見えてる。御愁傷様です。その分、殿下がウザくなりそうだけど、それは仕方ないわね。

「勿論買いに行ったのは「インディーだ」

 でしょうね。インディー様、苦笑してるもの。仕事を増やして本当にすみません。でも安心したわ。これが殿下なら、とんでもないもの贈りそうだもの。でもこれって、

「だとしたら、次の基礎魔術楽しみですね」

 何を贈ったかは知らないけど、それを私に自慢してくるかどうか見ものだわ。



 

☆☆☆


 明けましておめでとうございますm(__)m

 昨年は、読者の皆様のおかげで頑張れた一年でした。心より感謝の気持ちを込めて、ありがとうございましたm(__)m

 今年も頑張って書いていきますね(。•̀ᴗ-)✧


 追伸。

 第四回キャラ文芸大賞にエントリーしてます。

【護国神社の隣にある本屋はあやかし書店】

 少し前の作品になりますが、読んで頂けたらとても嬉しいです。




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