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第二章 超ハードモードの人生を終わらせるために頑張ります
アーティ伯爵家没落
しおりを挟むーー翌日。
ユズさんは自分から学園長に廊下に水をまいた事、そして廊下と階段に蝋を塗った事を告白し謝罪した。結果、予想していた通り、ユズさんは退学処分となった。
ユズさんが学園からいなくなった事に気付いてる人は少ないと思う。現に、話題になってる場面に出くわさなかったからね。平民だから仕方ないのかもしれない。これが貴族なら、凄い事になるんけどね。
例えば、アーティ様のように。
アーティ様が退学処分になったのは、ユズさんが退学処分になった三日後だった。
ユズさんが廊下や階段に細工をする原因になった事を、包み隠さず全て証言したからね。
家族を人質にとられ脅されていたので、どうしても断ることが出来なかったとーー。重ねて、毎日のようにアーティ様から折檻を受けていた事を、ユズさんは逃げることなく皆の前で証言した。診断書付きでね。偽物って言われたくないから、王家も診ているお医者さんに頼んだよ。
当然、アーティ様はすぐには認めなかった。診断書も偽物って騒いだ。まぁだから、三日後になったんだけどね。
アーティ伯爵も学園に猛然と抗議してきたしね。平民の証言に信憑性はないってね。反対に、ユズさんを攻撃してきた。全ての罪をユズさんに被せる気満々だったようだ。「わざわざ学園に通わせてやったのに、恩を仇で返しおって。この恥知らずが!!」って最後まで罵っていたよ。本当、醜いよね。
まぁ、そう言ってくると思ってたけどね。素直に認めるわけいかないもの。これから先の生活の全てが掛かってるんだから。無理もないわ。
そもそも、義務教育に近いのに退学って……もう、貴族令嬢として終わりじゃない。婚約者も出来ないわよね。下手したら、アーティ様の兄姉の婚約まで解消されてしまうんじゃない。そんな子供を持つアーティ伯爵の地位も、底辺まで落ちるよね。関与してるかしてないか別としてもね。当然今までのように、自由に社交界に出れなくなるでしょうね。絶対認めたくないわ。認めたら最後だもん。
でもね……こっちには、裏付けになる証拠の映像もあるし。どんだけ、嵌められたんだって抗議しても無駄なんだけどね。
アーティ伯爵とアーティ様は散々ユズさんを罵り、逃げおうせると確信していた。その確信が頂点に達したところで、学園長は例の証拠映像を再生した。複製したのをね。なかなかの性格してるよね。殿下も学園長も。
別室でその様子を魔法具越しで見てたけど、いやぁ~~具の根も出ないって、こういうことを言うんだね。参考になったわ。
そうそう、勿論本体は陛下に渡しているよ。その辺は抜かりない。
あくまで学園長は退学処分を決めるだけだからね。後は陛下の仕事だよね。まず間違いなく、裏から殿下が手を回してるだろうけど。
考えていた通り、アーティ様が退学になった二日後、アーティ伯爵家に降格の沙汰がおりた。
伯爵家から男爵家に降格されたのだ。
激震が走ったね~~。
古い歴史があり、伯爵家だが名門貴族とされていたアーティ家は、この瞬間、完全に歴史の幕を閉じたのだった。
結局のところ、ポーター公爵家に繋がるものは見付からなかった。まぁそれは残念だったけど、確実に取り巻きを一つ潰せたのだからいいよね。
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