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第二章 超ハードモードの人生を終わらせるために頑張ります
順風満帆?
しおりを挟む朝の日課になりつつある光景よね……これ。まだ挨拶を交わさないうちに始まっちゃったよ。はぁ……
「マリエール様。このリボンはどうですか? やっぱり銀色の髪に青色ははえますわね。緑色よりも」
席に着くなり、私の髪に青色のリボンを当てながらそう言っているのは、同じSクラスのユーリ様。学年は私より二つ上の三年生。いつも緑色を否定してくる厄介な人だ。
ほら、今日も……否定する度に殿下の機嫌は下がっていくんだよね。仕方ないんけどさ。緑色は殿下の瞳の色だからね。分かっててやってると私は常々思ってる。あっでも、仲が悪い訳じゃないみたい。寧ろ仲がいい方かな。
「それはそうですわ。だって、マリエール様の瞳の色は青色ですもの」
そう答えたのは二年生のレーア様。ユーリ様とレーア様は本当の姉妹。三歳上にお兄様がいるらしいけど、そのお兄様もSクラスだって。ほんと、ノック家の皆様は頭がいいよね。さすが、宰相様のご一家だよ。因みに三つ年上のお兄様、未来の宰相候補なんだって。
そうそう。どうして、三年生と二年生が一緒の教室にいるかって? 疑問に思うよね。
実はSクラス、三学年全員合わせて十人だけしかいないんだよね……
三年生が一番多くて五人。二年生は殿下とインディー様を含め四人。一年は私一人。
人数があたりにも少ないので、三学年合同クラスなんだよね。因みに女子は私を含め三人だけ。
殿下に連れられて初めてクラスに入った時から、何故かユーリ様とレーア様に異様に気に入られてしまったみたいで……それこそ、妹のような扱いかな。まぁ嫌われるよりは全然マシだけど。どこが気に入られたのか、今だに謎だね。
「おはようございます。ユーリ様、レーア様」
普通に朝の挨拶をしただけなのに、とてもショックを受けたかのような表情で私を見る二人。理由は分かってるんだけどね……この呼び方をすると殿下嫌がるんだよね。でも……そんな表情をされると、
「……ユーリお姉様、レーアお姉様、おはようございます」
そう呼ぶしかないでしょ。途端に機嫌が良くなるユーリ様とレーア様。反対に殿下の機嫌が悪くなる。表面上は全く変わんないけどね。
「お姉様の気持ちは嬉しいのですが、私は緑色が好きなのです。似合いませんか?」
まだ小さいので、自然と上目遣いになってしまう。すると、「「可愛い!!」」と言われて抱き付かれてしまった。
せっかく、殿下の機嫌が良くなってたのに……また…………
「どうしたの? マリエール様。何か嬉しいことでもあったの?」
レーア様が私の顔を覗き込んできた。
えっ。私、嬉しそうにしてる!?
思わず口元に手をやってしまう。するとまた、レーア様とユーリ様が抱き付いてきた。これエンドレスなの……
少し心配になったけど、幸いなことにエンドレスじゃなかった。さすがに先生が来たら終わるよね。
「マリエール。この後移動か?」
ホームルームが終わった後、殿下が尋ねてきた。
「はい。魔法学の基礎講座を受けに行って来ますわ」
これは必須科目。免除はされなかった。当然だよね。使いようによっては人を害する武器になるんだから。
でもまさか、入学した次の日に、また試験を受けるなんて思わなかったよ。その試験の結果、大半の基礎科目が免除になったんだけど……魔法学のように、必須の科目は当然免除にはならなかった。
「大丈夫か?」
殿下が心配そうに尋ねてくる。
必須科目は他のクラスで受けるからだ。そのクラスっていうのが、ディア様がいるAクラス。まぁ当然そうなるよね。
そのことを知った時、甦ったのは入学式のディア様の目だった。
正直言えば、直接関わりたくはない。周囲から攻めていくのかベターな相手。だけど仕方ない。こちらから関わらなければいいだけの話。向こうから来た場合は対処させてもらいますけど。私らしく。
「大丈夫ですわ」
私は心配性の殿下に微笑むと、教科書を持って教室を出た。
向かうは敵がいるAクラス。
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