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第二章 超ハードモードの人生を終わらせるために頑張ります
やるべきことはやったわ
しおりを挟むやるべきことはやったわ。まぁ元々基礎は学んでいたから(過去世で)、後は応用編をきっちりこなすだけでよかったけど……これが中々大変だった。学問は日々進化してるのを痛感したわ。
ましてや、Sクラス以外は駄目だと言われたしね。家庭教師のシルキー様から。
殿下は勿論Sクラスだから、仕方ないとは思うけど……
Sクラスは、学園の試験である一定のラインを超えた生徒が入るクラスなの。そのラインはかなり高い。様々な知識を持っていないとまず無理。学年によってはラインに達している生徒が一人もいなくて、Sクラスがない時もあるそうだ。
そんな超難問クラスに入れって……それも一月で。鬼だわ……
自分が言い出したことだけど、気が滅入る。皆応援してくれてるから頑張らないとは思うけどね。
そうそう、お父様には手紙で学園のことを知らせたら飛んで帰って来たよ。手紙にも書いたけど、自分の口で理由を話したら、抱き締められて泣かれたわ。勿論糞女神のことは抜きにしてよ。お父様も二年の空白を危惧してたようね。
実はこれ三人目。
後の二人は、国王陛下と王妃様。二人とも、泣きはしなかったけど、ごめんねって謝られた。子供らしく過ごさせてあげれなくてって。
まぁ確かに、私は普通の子供らしくは過ごせないけど、その分、長い時を生きているしね。それに、糞女神を引きずり出してやるためには多少の犠牲なんてどうってことない。それにこれくらい、犠牲にもはいらない。
「いよいよ、明日ですね。マリエール様」
ついに明日、試験日だ。
この一か月間、私は必死でシルキー様に食らいついていた。吸収出来るものは吸収しようと貪欲にね。
「はい」
でも自信ない。
「声に覇気がありませんね。自信が持てませんか?」
シルキー様が尋ねる。その声は勉強中では聞いたことがないほど、優しい声だった。今までの声よりも少し高い。
私はシルキー様の問いにコクリと頷く。
「正直に申せば、全く自信がありません」
最悪落ちなくても、Sクラスに入れないかもしれない。ディア様がSクラスに入れて、私が次のAクラス。ディア様たちに馬鹿にされ嘲笑われる。そんな嫌な夢を何度も見た。そして目が覚めると、現実でないことに内心ホッとしながらも、正夢でないかと心配してしまう。その繰り返し。意外とプレッシャーに弱いと知ったよ。
「何故ですか?」
重ねてシルキー様は訊いてくる。
「……時間が全然足りませんでした」
「確かに、時間はありませんでしたね。でも……貴女は頑張りました。マリエール様が初めてですよ。この私が出した課題を最後までキチンと仕上げられたのは。……マリエール様。自信をお持ちなさい。貴女は必ず合格しますわ。それもSクラスに」
「シルキー様……」
まさかのシルキー様に太鼓判を押されて、私は戸惑いながらも嬉しかった。
「今日は早めに寝なさい。寝不足は頭の回転を遅くしますわ。もし眠れないのなら、目を閉じて深呼吸を繰り返しなさい。分かりましたね」
その夜は全然眠れなかったけど、目を閉じて何度も深呼吸を繰り返してると、いつの間にか眠りに落ちていた。
不思議なことに、この夜は嫌な夢を見ることはなかった。
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