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第一章 人生、まてしても超ハードモードから始まるようです
新たな一歩を踏み出す
しおりを挟む糞女神を敵認定。
八年の間に手を打たないとね。なんせ相手は、腐っても神だからね。八年は時間がないのか、あるのかは分かんないけど……やるべきことは沢山あると思う。
その前に詳しい話を聞きたいと思ったけど、後日にって殿下に言われた。深夜だったし、それは仕方ないと思うけど……何の進展もないまま、私公爵家に戻って来ちゃったよ。オイ。まぁでも、殿下も「逃げない」って言ったんだから大丈夫だと思うけどね。そこんとこは信頼している。
戻って来たのは私一人。お父様は今、国領地に赴いてるからここにはいない。屑の両親を、そこに押し込めるために行動してるそうだ。もう、平民になった二人だから下手なことは出来ないと思うけど、念には念をいれてってことらしい。屑の考えることって、ぶっ飛んでるからね。
まぁ……私も二度と顔を見たくないから、ちょうどいいけどね。
護衛のジークに支えられ馬車から下りると、見慣れた扉の前には一人の青年と侍女の二人が頭を軽く下げ私を待っていた。
「お帰りなさいませ。マリエール様」
青年はこの屋敷の執事を勤めてくれる人だろう。お父様から聞いて知っていた。親子二代に渡って、お父様に仕えている。確か名前は……
「只今戻りました。クライシス。後……」
クライシスの後ろに控えている侍女に視線を送る。
「ユカと申します」
ポニーテールをしている方が答え顔を上げる。
「ユイと申します」
もう一人は一つに髪をお団子のように纏めていた。
双子! それも中々の美人さんだ。
「「今日から、マリエール様専属として仕えさせて頂きます。どうか、宜しくお願い致します」」
おーーさすが双子。こんな長台詞よくハモったね~~。
「こちらこそ、宜しく頼みますわ。アンナを筆頭に頼みますね」
アンナが筆頭侍女であることを伝えた。これは崩せない。私と共に戦ってくれた一人なのだから。
「「はい」」
「畏まりました」
宜しい。
挨拶が終わり重厚な扉が開くと、玄関ホールに一列に並ぶ侍女たち。そして、コックたち。兵士もいるわ。あ……庭師のおじさんも。従業員全員がお出迎えしてくれたみたい。元幼馴染もおじさんの隣にいるが、すぐに視線を外す。見なかったことにした。出来れば関わりたくないからね。
「全員、マリエール様に一礼を」
クライシスの声に全員頭を下げ、「誠心誠意お仕え致します」と声を揃えて挨拶する。
「マリエールです。宜しくね」
笑みを浮かべ頷く。
さすがに違うわ……正直驚いた。屑一家の使用人たちとあまりにも違うから。一緒にしたら悪いよね。主が変われば使用人も変わるってほんとだわ。私も彼らの主として気を引き締めないとね。
「ところで、クライシス。使用人を一掃したのですね」
私がそう尋ねると、クライシスはニコリと微笑みながら答えた。
「主を主として見れない者は、このグリード公爵家には必要ありませんから」と。
はっきりとものを言う人ね。腹黒そうだけど気に入ったわ。
「そうね。いらないわね」
私も負けずににっこりと微笑んだ。
「はい」
こうして、私はグリード公爵令嬢の一歩を踏み出した。
反対に踏み外した者は……かなり悲惨な運命が待ち構えていた。
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