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第一章 人生、まてしても超ハードモードから始まるようです
またお茶会です
しおりを挟むまたお茶会です。
王妃様に呼ばれました。今日は最初から殿下も一緒です。一応、謹慎中なのにいいんですかね。まぁ、形だけの謹慎だしいいんでしょうね。
「また無茶をしたそうね。マリエール」
開口一番、王妃様に怒られました。たぶん、今回のお茶会はその件だと思ってました。やっぱりです。
「申し訳ありません」
素直に謝罪する。表には出ないように言われていたのを無視したのは事実だから。
「謝ってもらうために、この場を設けた訳ではありませんよ。どうして、わざわざ表に出て来たのです?」
「……只の私の私怨です」
それしかなかった。
「それは、新年のパーティーまで待つように申した筈ですよ」
あの屑と糞女、ソフィアの屑一家は新年のパーティーで、その座から引き摺り下ろされる。これは決定事項。
でもそれは、王妃様が仕掛けた罠に引っ掛かった屑たちの最後を、一等席で見るだけ。
人が与えたものを見るだけ。
ただ……それだけ。
「これは、私の我儘です。私がそうしたかった。ただそれだけです」
それ以外何もない。
見ているだけが耐えられなかった。ただそれだけ。
中身が百歳を有に超えていても、子供に出来ることなんて殆ど無い。ましてや、閉鎖的な貴族社会は特に見動きがとれない。権力を持たない限りね。
殺すだけなら私でも簡単に出来る。でもそれじゃあ、全然足りないじゃない。苦しみも痛みも一瞬だわ。
確かに、後二週間で、屑たちは貴族社会から排除される。罪人としてね。プライドだけ高い人だから、その最後は私にとって理想的だと思う。
でもね……その前に、私の手で苦しめたかった。追い込んでやりたかった。
だから、これは私の我儘なの。
王太子殿下の婚約者。未来の王妃としての立場を利用して仕掛けた。私の我儘だ。
「貴女の仕掛けた罠は、ちゃんと根を這ったみたいですね。……届いているんでしょ。あの女からの手紙が」
さすがですね、王妃様。そのこともご存知だったんですね。
「はい。内容は、私のことが心配で体調を崩してしまったから、帰って来て欲しいと。それだけが書いてありました」
心配してるなら、私を気遣う一文でもありそうだけど、そんなの全くない。我儘言って、国王陛下と王妃様を困らせてはいけない。今すぐ帰って来い。ただそれだけ。
私は持って来ていた手紙を王妃様に見せた。
「罠ね」
読み終えるなり、王妃様は答えた。
「私もそう思います」
だから、手紙が何通も届いても戻らなかった。
絶対、糞女は何かを企んでいる。最悪、殺そうとするか、奴隷として売ろうとするか。どっちにしても、私は特に問題は無いんだけどね。殺されないし、余裕で逃げ出せる。
だとしても、糞女のいいようにはなりなくない。
「その方がいいわ。何でも、幼女好きの男との婚約を企んでいるみたいよ」
どうやら、後者の方だったようね。怒りを通り越して呆れたわ。
王妃様が持っていた扇が、ピキッ、ピキッと軽い音をたてています。
「殿下との婚約を破棄していないのにですか? 本当に愚かな人たちですね」
王家の決定事を真っ向から否定するなんて。
「マリエールを変態にやるだと!? 絶対に俺が許さない」
どうやら、殿下の逆鱗に触れたようね。まず間違いなく、彼らは地獄を見るでしょう。王妃様が用意しているものとは違って。別に。
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