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第一章 人生、まてしても超ハードモードから始まるようです
どこにその要素があるのです
しおりを挟むあーーもーーこうなったら、全て聞くわ。
「その潔いところ変わらないな」
殿下が微笑む。
「いやいや、笑う相手が違うでしょ」
「何で、俺があのガキのために笑わないといけない。冗談でも止めてくれ」
殿下にしては口が悪いわね。でも、アレクじゃない。
「でも、いつも引っ付かれて嬉しそうだったじゃない?」
「おっ、焼き餅か。だったら安心していい。俺は昔からマリエール一筋だ。前世を思い出す前からな」
「焼き餅。ないない。全くない。それより、思い出す前って何歳よ」
そんな甘い顔をされても困るわ。当然、きっぱりと否定する。
「初めて会った時だから、マリエールが一歳の時か」
「怖いわ。滅茶苦茶怖いわ」
全身鳥肌がたったわ。イボイボが出てる~~。
「そうか? 俺にとったら、人生最良の日だけどな」
そんな顔しながら言われても、気味悪いだけだわ。寒イボが引かない。風邪引いてないのに寒気がするわ。
やっぱりアレクだわ。乱暴じゃないけど、根っこは同じ。前世を思い出して、本来の性格が引きずられるって話はよく聞くけど、殿下は元々からおかしい。完全に。
「じゃあ、どうしてソフィアを好きにさせたの? おかしいじゃない?」
「そうしないと、マリエールが殺される可能性があったからだ」
「私が殺される? どういうこと?」
それって今更じゃない? 再婚した時から命狙われ続けてるけど。現在進行形で。
「……あいつらは、自分の娘を俺の婚約者にしたくて、マリエールに毒を盛ろうとしたり、事故や野党に襲わせて殺そうと計画をたてていた。用意された護衛は、あの女の息が掛かった者の配下だった。だから俺は……」
言葉に詰まる殿下。
あの女って糞女のことよね。ということは、罷免になった第四騎士団長は、糞女の嘗ての男だったわけね。あ~~だから、殿下は護衛をソフィアにつけたのね。不慮の事故とか捏造し放題だもん。まぁ素直にヤラれるつもりはないけど。となると、当然、王妃様も知ってたわね。ていうか、一枚噛んでるよね。全ては計画通りだったわけか。
「殿下は私を護るためにソフィアの気を引いてたの?」
思わず首を傾げてしまったよ。
辛そうに告白してるけど、それ大した意味ないよね。護衛の件は別として。
だって、毒を盛られるなんて、しょっちゅうじゃないけど今でもあるし。アンナが来る前は、腐ったものが混じってることも結構あった。鑑定魔法を取得してなかったら、今頃死んでるね。うん。間違いなく。
それに、敷地内を歩いてたら、頭上から物が落ちてくることもある。この前は立て掛けてた梯子が倒れてきた。この件に関しては、暗部から報告が入ってると思うけど。
「ああ。マリエールに不快な思いをさせてしまって悪かった」
神妙な面持ちをされてもなぁ……
「いえ、特にそういう意味では、不快な思いをしてないので気にしないでいいです。それと、ありがとうございます」
ここは一応、お礼を言っとくべきかな。まぁ相手は殿下だし、護ってくれようとしたことは事実だしね。
「不快な思いはしなかったのか……」
何故、ショックを受けたような表情をしてるの?
「ええ。全く、これっぽっちも。もう一度言いますが、殿下に対してそういう気持は全くありませんから」
「ないのか…………」
どうして、殿下が悲しそうな表情をしてるんですか? ほんと、理解に苦しむわ。
「あると思ってるんですか? どこにその要素が? 照れ隠しか何か知らないけど、初めての顔合わせの時に嫌味を言われ、それからは目を合わせそうともせず、来る度に嫌味と罵詈雑言。私を護るためだったから理解しろと言われて、納得出来るとでも? そんな上手い話があるわけないでしょ。アレクのことを抜きにしてもありえませんわ」
ここは敢えて淑女としてお答えしましょう。淑女の武器である微笑みを添えて。
「ご理解頂けましたら、ここから出して下さいませ、殿下。それとも、今この場で私を殺しますか」
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