今度こそ絶対逃げ切ってやる〜今世は婚約破棄されなくても逃げますけどね〜

井藤 美樹

文字の大きさ
上 下
5 / 354
第一章 人生、まてしても超ハードモードから始まるようです

完無視されてます

しおりを挟む


 私がプレゼントをその場で返してから、殿下とは一度も会っていない。もう半年は会ってないかな。完全に避けられてるし、無視されている。

 その間に、殿下の誕生日が来たから、ちゃんとプレゼントを贈ったわ。メッセージカードを添えて。私のポケットマネーでね。あの毒親がくれるわけないでしょ。ソフィアには渡したようだけどね。プレゼントを買いに同伴したそうよ。ほんと、痛かったわ~~。なのに、返事は全く来なかった。プレゼントも捨てられてるんじゃないかな。別に構わないけど。贈ったことが大事だから。

 私と殿下は不仲だけど、この半年間、殿下が公爵家に遊びに来なかった訳じゃないんだよね。事実、めっちゃ遊びに来てる。

 王妃教育のために王宮に来ている時を狙って、殿下はソフィアに会いに行ってるみたい。プレゼント持参で。

 何で知ってるかって?

 わざわざ見せに来るのよ。

 今日は何処に連れて行って貰ったとか、今日はこれを貰ったとか……上から目線でね。マジウザい。

 で最後には、「お姉様、相手にされなくてかわいそう」で終わる。とことん、自分が優位に立ちたいんでしょ。たぶん、食堂でも屑や糞女にも同じことを話してるんでしょうね。それを屑と糞女は楽しそうに聞いてるんだろう。目に浮かぶわ。

 私? 一緒に食べてはないよ。一度も一緒のテーブルについたことはないわね。冷めた食事が更に不味くなるわ。

 何度も言うけどさ、そのお金は勿論王太子妃の諸費から出ている。本来、私に使われるべきお金よね。そもそも、いくら王族とはいえ、十三歳の子供がそんなにお金を持ってる訳ないもん。そこから出すしかないよね。

 護衛付きで、王都に二人で何度も遊びに行っているし。当然、仲良さそうな姿を貴族に目撃されてるでしょうね。まだパーティーに参加出来ないから確かめられないけど、まず間違いなく絶対噂になってるよ。隠そうともしてないんだもん。

 なので、婚約者は私でなくソフィアと噂されてるみたい。正式に発表されてないから仕方ないよね。様子見の貴族も多いんじゃないかな。屑と糞女は当然、その噂を否定しない。反対にこぞって流してるようだけどね。外堀を埋めた気でもいるのかもしれないわね。

 同じ公爵家の娘だから、入れ替わっても特に問題はないって考えてるみたいだけど、そう上手くいくかな。だって、私のお母様は今は亡き亡国の王女だよ。方や、糞女は男爵出だし。男爵といっても養女だからね。正直、簡単には行かないんじゃない。私が退場した後もね。

 それにそもそも、国王陛下に対して不敬だって思わないのかな。だってそうでしょ。この婚約を決めたのは国王陛下だよ。その国王陛下に異義を申してることと同じなのにね。馬鹿な屑と糞女はこれっぽっちも気付かない。当然、ソフィアは論外。三人とも夢の中の住人だからしょうがないか。

 まぁ、あの三人がどうなろうと私には関係ないんだけどね。自分で自分の首を締めてても。自業自得なんだから諦めて。

 ただね……気になることが一つあるんだよね。

 国王陛下と王妃様が、何もこれといって手を打っていないことが、却って不自然に感じるんだよね。

 国王陛下と王妃様が、うちの所の毒親と同じタイプならまだ分かるんだけど、全く違うから気になるんだよ。

 注意ぐらいはしているみたいだけどね。でも、それ以上何もしていない。だけど、相変わらず、私の王妃教育はいつも通り続いている。ソフィアが呼ばれたこともないわ。

 傍観にしては長過ぎるような気がするんだよね。何かを待ってるような、そんな気がしてならない。考え過ぎかもしれないけど。

 胸騒ぎがする。

 ゾワッとするんだよね。鳥肌がたつ前のような感じが近いかな。こういう時の私の勘はよく当たる。よくね……。

 一か月後、新年を祝うパーティーが開催される。

 昼の部は未成年も参加しなくちゃいけない。高位貴族の令息、令嬢は全員参加するでしょうね。

 当然私もソフィアもね……。

 場合によったら、逃亡計画の日取り見直さなきゃいけないかもしれない。いつでも出て行けるように、最低限用意しとかないといけないわね。一応、魔法バックがあるから荷造りはしてるけど。

 あっでも、その前にドレスどうしよう。殿下がくれるとは思わないし、あの毒親がくれるとも思わない。もう二度と着ないんだし、今着ているものをリメイクすればいいかな。もし笑われたら、その時は素直に答えればいいだけよね……素直にね。

 
 

 
しおりを挟む
感想 326

あなたにおすすめの小説

毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。

克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。

そんなに妹が好きなら死んであげます。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』 フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。 それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。 そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。 イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。 異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。 何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……

婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します

けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」  五年間、婚約者として尽くしてきたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。  他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。 だが、彼らは知らなかった――。 ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。 そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。 「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」 逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。 「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」 ブチギレるお兄様。 貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!? 「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!? 果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか? 「私の未来は、私が決めます!」 皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?

シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。 ……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

もう私、好きなようにさせていただきますね? 〜とりあえず、元婚約者はコテンパン〜

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「婚約破棄ですね、はいどうぞ」 婚約者から、婚約破棄を言い渡されたので、そういう対応を致しました。 もう面倒だし、食い下がる事も辞めたのですが、まぁ家族が許してくれたから全ては大団円ですね。 ……え? いまさら何ですか? 殿下。 そんな虫のいいお話に、まさか私が「はい分かりました」と頷くとは思っていませんよね? もう私の、使い潰されるだけの生活からは解放されたのです。 だって私はもう貴方の婚約者ではありませんから。 これはそうやって、自らが得た自由の為に戦う令嬢の物語。 ※本作はそれぞれ違うタイプのざまぁをお届けする、『野菜の夏休みざまぁ』作品、4作の内の1作です。    他作品は検索画面で『野菜の夏休みざまぁ』と打つとヒット致します。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

処理中です...