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第一章 人生、まてしても超ハードモードから始まるようです
邪魔者は消えますからご自由に
しおりを挟む確かに私は言ったよ。
「どうせ妹の物になるのだから、直接妹に渡したらどうか」って。
それに、従者にもかなり詳しく説明してあげた。なのに、どこをどう解釈したらこうなる訳? あれで、伝わってなかったの? あまりにも読解力のなさに、頭を抱えそうになったわ。
テーブルの上にプレゼントが二つあるんだもの。それも同じ箱。
こいつ、何も分かってない。注意しない従者も同じだ。筆頭従者なら、いくらつかえている相手が王太子でも、主が間違いを犯そうとするのなら、身を呈して正さなければならない。それが出来ての筆頭従者ちでしょ。私に対し、的外れの意見は出来るのにね。ほんと、殿下が残念なら従者も残念だわ。国のためなら今すぐ代えるべきじゃない。
そもそもさぁ……どこの世界に、婚約者と同じ物を婚約者の妹に贈る奴がいる?
何回も生まれ変わったりしてるけど聞いたことないわ。妻と愛人に同じものを渡したことがあるって話は聞いたことがあるけどね。さすがに、婚約期間中にそれはないでしょ。ましてや一応姉妹だよ。マジ引くわ~~。
それに、前にも言ったけど、そのプレゼントのお金はどこから出てると思ってるの? 婚約者である私の諸費用からだよね。それ、税金だよ。立派な横領じゃん。ましてや、民から預かった大事なお金だよ。自分が稼いだお金じゃないでしょ。絶対にないわ~~。
なので、当然こうなるわけ。
「これは受け取れません。お持ち帰りを」てね。
因みに、今日も三人でお茶会してます。殿下は勿論咎めませんよ。それにしても、今日はいつもよりグレードアップしてるね。殿下の腕を掴み、妹が耳元で囁いてもの。近っ。
ほんと、私がここにいる理由があるのかな。この光景を、ジッと見とかなきゃいけないの。憂鬱だわ……。まぁでも、これを返したら出て行けるよね。
私は二人の前に、さっき貰ったばかりのプレゼントを置く。すると早速、
「酷いですわ~~お姉様。折角、カイン様が選んでくれたのに~~」
ぽろぽろとわざとらしく涙を流す、妹。
これで九歳って、将来怖いわ。にしても、いつから名前呼びしてるの。公式ではないけれど、相手は王家だよ。幼馴染でもなければ、血が繋がってる訳でもないんだよ。ないわ~~。教育係は何をしてるの。まぁそれを許している殿下も殿下だけどね。
その殿下も、泣く妹の隣で私を睨み付けてるけどね。あーー本当に面倒くさい。表情一つ変わることのない私に苛立つのか、更に殿下の目付きが悪くなってるよ。
「ソフィア。殿下を名前で呼ぶなんて、不敬ですよ」
殿下が呼ぶことを許しても呼んではいけない。これ、常識ね。素直に聞くとは思えないけど、一応注意はするわよ。暗部が見てるもん。それに家の恥だからね。すると、
「お姉様こそ不敬ですわ。カイン様を否定するなんて」
思った通りの反応よね。内心は否定してるけど、表面上はしてませんよ。淑女ですから。
「分かった。そんなに俺の贈り物がいらないのなら、二度とやるもんか!!!!」
殿下は乱暴にテーブルを叩き立ち上がると、私を怒鳴り付ける。そんな殿下に、私は内心大きな溜め息を吐いた。これでも淑女だからね、目の前で吐きたいけど吐かないよ。
「殿下。よくお考え下さい。そのプレゼントの代金が何処から出ているのかを」
ちゃんとヒントをあげましたよ。この言葉の意味が理解出来るかどうかは分かりませんが。まぁ無理だと思うけど。
この国の行く末超心配だわ。世継ぎ問題で昔戦争になったから、長兄が王になるように定められたんだけど、その制度見直さないと、マジでこの国を滅ぶんじゃない。そんな態度とってるとさ……。
「お前はごちゃごちゃ煩いんだよ!! お前といるより、ソフィアと一緒にいる方がよほどマシだ!!」
そうですか。ならばご一緒にどうぞ。邪魔者は消えますから。
「分かりましたわ。では、私は退場致しましょう」
軽く頭を下げてから、殿下とソフィアに背を向けた。時間が空いたので、続きを読もうかな。
そういえば、ソフィア、殿下が見てない所で笑ってたわね。ほんと、九歳児なの。もう立派な女って感じよね。それも最悪なタイプの。
もしかして、あの子も記憶持ち。
だとしても、私には関係ないよね。出て行くし。でもその態度、男に好かれるけど、女には嫌われるタイプよね。ソフィアが嫌われようと好かれようと、私には関係ないけどさ。
勿論、私は心底大嫌いだけどね。
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