今度こそ絶対逃げ切ってやる〜今世は婚約破棄されなくても逃げますけどね〜

井藤 美樹

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第一章 人生、まてしても超ハードモードから始まるようです

これって、もう一種の呪いだよね

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【身分違いの恋】

 悲恋ものの小説によく出てくるやつよね。

 あれってさぁ……小説だからいいんだよ。他人の不幸は蜜の味ってね。昔からよく言うでしょ。

 だけどさ、実際その身で体験したらかなりハードだよ。マジ、肉体も精神もやられるしね。でもね……それでも、真剣だったし幸せだったんだよ。当時の私はね。

 その恋の先が、バッドエンドしかなくてもね。

『生まれ変わったら幸せになろう』

 そう約束して、公爵令嬢の私と平民だったアレクは、手を取り合って湖に入水自殺したの。駆け落ちの末ね。心からそう願いながら。

 これが、全ての発端だったわ……。

 もし過去に戻れるのなら、当時の私を殴り飛ばしてでも、この入水自殺を止めさせるわ。

 だって、それがこれから始まる、私とアレクとの攻防の始まりだったんだから。

 どういう意味かって。

 願い通りに生まれ変わったんだよ。記憶を持ってね。頭がおかしくなったわけじゃないよ。本当に生まれ変わったの。属にいう、輪廻転生ってやつね。

 本当にあるなんて思いもしなかった。いや、当時は信じてたけどね。

 ましてや、アレクも記憶を持って生まれ変わってるなんて、再び巡り会えるなんて、奇跡だと思ったよ。

 でもね……幸せは、長くは続かなかったんだよね。

 原因はアレクの束縛。

 始めはそんなに酷くはなかったんだけどね。段々酷くなって、アレクは私の行動を全て自分の管理下におこうとしたの。もう病的だった。当然喧嘩になったわ。自由がなくなっていって、息が詰まって、とうとう我慢出来なくて逃げ出した。

 だけど、アレクに見付かって逃げてる途中、飛び出して来た荷馬車に轢かれてジ・エンド

 これが一回目。

 二回目は、出会った途端即監禁。

 陽が僅かに入る小窓しかない部屋に監禁された。逃げる暇なんてなかったわ。そのままそこで終わるんだと思ったけど、そうはならなくて、アレクに横恋慕した女に刺されて、これまたジ・エンド。

 三回目は、出会った途端即監禁。

 ここまでは二回目と一緒。ただ、私を殺したのは横恋慕した女じゃなくて、アレク本人だった。出会って一週間後。当然、逃げる暇なんてなかったよ……。

 四回目も五回目もあるんだけど、もう語るのもしんどくなるわ。

 ただ通して言えるのは、アレクのヤンデレ度が生まれかわるごとに酷くなってることかな。もう完全に病気の域を軽く越えてるよ。

 これってもう奇跡じゃなくて……完全に【呪い】だよね。

 私が生まれかわった時点で、【呪い】は発動してる。でもね、アレクに会わなければ万事OK。

 そのためには何だってするわよ。

 見てなさい、アレク。今度こそ、絶対逃げ切ってやる!!
 

 
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