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お題『貴方がいなければ私は救われたのに』
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「貴方がいなければ私は救われたのに」
写真に写った彼を見つめて、私は1人呟く。
「貴方に会うまでは、私はまともだった」
部屋一面に貼られた彼の写真を見渡す。我ながらよくここまで撮り集めたものだ。
「あの日、私が落としたハンカチを渡してくれた彼の顔が、優しさが、脳裏に焼き付いて離れなくなった」
彼の部屋の鍵を握り締め、彼の部屋から貰ったワイシャツを身に纏い、私は胸いっぱいに貴方の香りを蓄える。
「私は今日、彼の部屋で彼を待って、彼に全ての思いをぶつけるつもりだったの。でも、予定が全て狂ってしまった……そう、全て貴方のせいなのよ」
だから、私は。
「貴方を許さないわ……絶対に」
「おかしいなぁ」
明らかに綺麗になった部屋で、僕は首を傾げていた。朝出かけた時には結構散らかしていた筈なのに、帰ってきたら全て片付けてある。
「泥棒か?でも、だとしたら片付けるのはおかしいか……母さんが来たなら連絡あるだろうし」
一応盗られた物が無いかだけ確認するか。そう思って部屋を見渡す。するとどうだろう、ワイシャツが一枚とタンスの中の女が無くなっている。
「うーん、逃がしたか?いやそれは無いだろう。しっかりと鎖で繋いでたしな……」
暫く悩んでみたが、それで答えが得られるわけでもない。後処理の面倒が減ったのだと思って、僕は考えるのを辞めた。
「貴方がどういう理由で彼の部屋に居たのかは聞かないわ。ただ、私と彼の愛の巣(予定)に私以外の女が住み着いてるという事実が問題なのよ」
もはや物言わぬ肉塊となった女を見下ろしながら、私は呟く。
「全て、貴方のせいよ。貴方さえ居なければ、私は普通の恋する乙女だった。貴方のせいで私は、人を殺した。犯罪者になった……なってしまったのよ。絶対に……許さないわ」
写真に写った彼を見つめて、私は1人呟く。
「貴方に会うまでは、私はまともだった」
部屋一面に貼られた彼の写真を見渡す。我ながらよくここまで撮り集めたものだ。
「あの日、私が落としたハンカチを渡してくれた彼の顔が、優しさが、脳裏に焼き付いて離れなくなった」
彼の部屋の鍵を握り締め、彼の部屋から貰ったワイシャツを身に纏い、私は胸いっぱいに貴方の香りを蓄える。
「私は今日、彼の部屋で彼を待って、彼に全ての思いをぶつけるつもりだったの。でも、予定が全て狂ってしまった……そう、全て貴方のせいなのよ」
だから、私は。
「貴方を許さないわ……絶対に」
「おかしいなぁ」
明らかに綺麗になった部屋で、僕は首を傾げていた。朝出かけた時には結構散らかしていた筈なのに、帰ってきたら全て片付けてある。
「泥棒か?でも、だとしたら片付けるのはおかしいか……母さんが来たなら連絡あるだろうし」
一応盗られた物が無いかだけ確認するか。そう思って部屋を見渡す。するとどうだろう、ワイシャツが一枚とタンスの中の女が無くなっている。
「うーん、逃がしたか?いやそれは無いだろう。しっかりと鎖で繋いでたしな……」
暫く悩んでみたが、それで答えが得られるわけでもない。後処理の面倒が減ったのだと思って、僕は考えるのを辞めた。
「貴方がどういう理由で彼の部屋に居たのかは聞かないわ。ただ、私と彼の愛の巣(予定)に私以外の女が住み着いてるという事実が問題なのよ」
もはや物言わぬ肉塊となった女を見下ろしながら、私は呟く。
「全て、貴方のせいよ。貴方さえ居なければ、私は普通の恋する乙女だった。貴方のせいで私は、人を殺した。犯罪者になった……なってしまったのよ。絶対に……許さないわ」
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