徒然短編集

後醍醐(2代目)

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お題『僕の人生は数奇なものだったが、今日ほど平凡な日はないと思う。』

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  僕の人生は数奇なものだったが、今日ほど平凡な日はないと思う。通い慣れたいつもの通学路を一人歩いてもトラックが突っ込んでくる様な事は無かったし、通り魔に襲われる様な事も無かった。最早何かあるのが当たり前になっていたので、何も無い事によって予想外にも早く家に着きそうな事を親に連絡した所、逆に心配されてしまったほどだ。しかし、何故今日に限って何も無いのか。それが逆に少し怖かったが、僕はひとまずこの平和を享受しながらゆっくりと帰路を歩いた。

  とある世界、とある場所。とある神々によるとある議論が、今終わろうとしていた。
「つまり、この神による我が世界への侵略行為とも言える転生テロは甚大な被害を与えており、即刻中止しなければ武力行使も視野に入れた対応するつもりである事をご理解頂きたい!」
「そうは言っても、足りない人材を他の世界からリクルートするのは当然では?」
「限度があるだろう!そんなポンポンとやれトラック転生だの通り魔転生だのを引き起こされてしまっては、そもそも転生で連れていかれた分の魂が減ってしまうというのに更に使い回せない罪人の魂の数は膨れ上がる一方だ!」
「わかったわかった、そこまでにしよう」
  白熱する議論を前に、ややウンザリした表情の高齢な神が口を開いた。恐らくは最も立場の高い神だったのだろう、先程まで声を荒げていた神もその神の言葉に冷静に対応していた神も、黙ってその神の方を向いていた。
「確かに足りない人材を他の世界から求めるのは悪いことでは無いが、お前はやり過ぎだ」
  その言葉に、 声を荒げていた神は喜びの表情を浮かべた。一方で冷静に対応していた方の神は残念そうな顔をしていた。
「故に、お前には彼の世界への干渉を禁ずる。もし今も彼の世界の者に手を出しているならば即刻止めなさい」
「しかし、あと一人何とかなりませんか?」
「ならぬ」
「お願いします、あと一人でいいのです」
「ならぬと言っておろう。……だが気になるな、何故そうも固執する?」
「はい、何度交通事故を引き起こしても、事件に巻き込ませても、無傷で生還する少年が居るのです。何としても彼が欲しいのです」
「ほう、なるほどな」
「最近は既に強くて、神のチートを拒んだ上で無双できる様な者が流行の最先端らしいので、私もそのブランドが欲しいのです」
  すると、高齢な神はにこやかな表情でこう言った。
「まあその気持ちも分からんでもないな。ワシも昔は流行に乗りたくて、軽い口調で『やあ、ゴメン!手違いでキミを死なせてしまったから転生させてあげるよ!欲しい能力を言ってね!』なんて良く言ったものだった……」
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