上 下
46 / 84
第一章

~45~

しおりを挟む


♦ローズ



私には前世の記憶というものがある。
しかもそれだけに留まらず、今世のこの世界は前世の私がプレイした事のある乙女ゲーの世界で、
私はヒロインのポジションに産まれてきたのだった。

なんて、誰にも言えないし言える訳が無いと思っていたのも今や昔の事
同類?と言うべきか、私と同じく転生者であった悪役令嬢ポジションのミーシャと
同類?なのかどうかは不明だが、トリップ者である第二の主人公ヒロインのユキノ


私が言えたものでは無いと重々承知しているが、それでも文句を言わせて欲しい

ユキノ、てめぇ調子に乗ってんじゃねーぞ。


乙女ゲーのヒロインに転生して、安心しきって浮かれて夢見て
結局現実に叩き落とされた身上である。
人の事言えた義理じゃないし、なんだかんだ初代隠れキャラであるリオンとちゃっかり恋仲になった私がユキノに文句を言う事は出来ない
出来ないが、それでも初対面でいきなり
「あんた、レオ様攻略してないでしょうね」
は、無い
無し無しの無しだ。

てめぇ初対面でそれはねぇだろう!
確かに原作ゲームから色々と攻略キャラがキャラ崩壊おこしてるから私を転生者だと当たりをつけて話しかけたのだろう
実際に私は転生者だった訳だし、結果的には無問題だったが
もし私が転生者じゃなかったらどうするつもりだったんだてめぇ、大問題だぞ

そして彼女の性格も、私には到底受け入れがたいものだった。
せっかくヒロインになれたのだから、楽しまなきゃ損だ。
憧れの王子様が目の前にいるのに攻略しない訳がない!
私はこの世界のヒロインなのだから別に良いじゃない
私達は選ばれた存在なのよ?遠慮なんて馬鹿みたい!もっと積極的に生きなきゃ!
と、まぁなんと意欲的で自信満々な事
私だってちゃっかりリオン様を攻略しちゃってる以上彼女を責める事は出来ないのだが
それでも勝気が過ぎる気性は苦手だし、何だったら事ある毎に私に相談と言う愚痴を零しにこないで欲しい。
無駄に疲れるし時間の無駄だ。

居るはずの攻略キャラが見当たらないだの、
攻略キャラの様子がおかしいだの、
悪役令嬢が居ないってどういう事!?だの、
今更戻ってきて何様のつもりだ。だの、

何故わざわざ私に言ってくるんだ。

あれか、リオン様を攻略してるから同類と思われたのか
やめて欲しい。
最近では私と彼女とが仲が良いらしいと言う噂が出てきては全力で否定しまくっている。
煙が出る前に火を消さなくては大火事ものだ。

大体私がリオン様を攻略したのは不可抗力・・・
ごめんなさい、嘘です。
多少は・・うん多少?はね、意識しちゃってた事もあるよ?
だってゲームと同じ展開になっちゃったらねぇ、意識しない訳も無いし
思わず最良の選択を取りたくなっちゃうし、
それに、なんだかんだ言ってもぶっちゃけ私だって青春したかったし(本音)

まぁ色々と思う事もあったし、悩んだり後悔したりもして、今はそれなり
そこそこ楽しく、そこそこ無難に、そこそこ安泰
私にはそんな生活が一番幸せってものを感じるやつなんだろうな、と思う。

彼女達、ユキノとミーシャはどうなんだろう?
彼女達の目指すものがわからない
いや、ユキノはわかりやすい所でレオクリス殿下攻略なんだろうけど、
攻略して、結ばれて、その後は?
どうするんだアイツ

ミーシャは・・・・わからん
無理だあんなんの考えなんぞ知るか
勝手にしろって感じだ。



「ローズ考え事?最近多いね」

「リオン、まぁ・・心配ってか、不安って言うか
なんともねぇ」

「それは、聖女様の事かい?」


軽く首を縦に振れば苦笑しながらも隣に座ってくれる。
彼が私が攻略してしまった初代隠れキャラ
リオン・ハヴェス伯爵令息だ。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】野垂れ死ねと言われ家を追い出されましたが幸せです

kana
恋愛
伯爵令嬢のフローラは10歳の時に母を亡くした。 悲しむ間もなく父親が連れてきたのは後妻と義姉のエリザベスだった。 その日から虐げられ続けていたフローラは12歳で父親から野垂れ死ねと言われ邸から追い出されてしまう。 さらに死亡届まで出されて⋯⋯ 邸を追い出されたフローラには会ったこともない母方の叔父だけだった。 快く受け入れてくれた叔父。 その叔父が連れてきた人が⋯⋯ ※毎度のことながら設定はゆるゆるのご都合主義です。 ※誤字脱字が多い作者ですがよろしくお願いいたします。 ※他サイトにも投稿しています。

目が覚めたら夫と子供がいました

青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。 1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。 「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」 「…あなた誰?」 16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。 シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。 そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。 なろう様でも同時掲載しています。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

転生した元悪役令嬢は地味な人生を望んでいる

花見 有
恋愛
前世、悪役令嬢だったカーラはその罪を償う為、処刑され人生を終えた。転生して中流貴族家の令嬢として生まれ変わったカーラは、今度は地味で穏やかな人生を過ごそうと思っているのに、そんなカーラの元に自国の王子、アーロンのお妃候補の話が来てしまった。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

皇妃は寵愛を求めるのを止めて離宮に引き篭ることにしました。

恋愛
ネルネ皇国の后妃ケイトは、陰謀渦巻く後宮で毒を盛られ生死の境を彷徨った。 そこで思い出した前世の記憶。 進んだ文明の中で自ら働き、 一人暮らししていた前世の自分。 そこには確かに自由があった。 後宮には何人もの側室が暮らし、日々皇帝の寵愛を得ようと水面下で醜い争いを繰り広げていた。 皇帝の寵愛を一身に受けるために。 ケイトはそんな日々にも心を痛めることなく、ただ皇帝陛下を信じて生きてきた。 しかし、前世の記憶を思い出したケイトには耐えられない。命を狙われる生活も、夫が他の女性と閨を共にするのを笑顔で容認する事も。 危険のあるこんな場所で子供を産むのも不安。 療養のため離宮に引き篭るが、皇帝陛下は戻ってきて欲しいようで……? 設定はゆるゆるなので、見逃してください。 ※ヒロインやヒーローのキャラがイライラする方はバックでお願いします。 ※溺愛目指します ※R18は保険です ※本編18話で完結

もうすぐ、お別れの時間です

夕立悠理
恋愛
──期限つきの恋だった。そんなの、わかってた、はずだったのに。  親友の代わりに、王太子の婚約者となった、レオーネ。けれど、親友の病は治り、婚約は解消される。その翌日、なぜか目覚めると、王太子が親友を見初めるパーティーの日まで、時間が巻き戻っていた。けれど、そのパーティーで、親友ではなくレオーネが見初められ──。王太子のことを信じたいけれど、信じられない。そんな想いにゆれるレオーネにずっと幼なじみだと思っていたアルロが告白し──!?

三年目の離縁、「白い結婚」を申し立てます! 幼な妻のたった一度の反撃

紫月 由良
恋愛
【書籍化】5月30日発行されました。イラストは天城望先生です。 【本編】十三歳で政略のために婚姻を結んだエミリアは、夫に顧みられない日々を過ごす。夫の好みは肉感的で色香漂う大人の女性。子供のエミリアはお呼びではなかった。ある日、参加した夜会で、夫が愛人に対して、妻を襲わせた上でそれを浮気とし家から追い出すと、楽しそうに言ってるのを聞いてしまう。エミリアは孤児院への慰問や教会への寄付で培った人脈を味方に、婚姻無効を申し立て、夫の非を詳らかにする。従順(見かけだけ)妻の、夫への最初で最後の反撃に出る。

処理中です...