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第一章
~15~
しおりを挟む私は私の″やりたい事″である旅の為、その資金稼ぎの為にそれはもう色々と手を出した。
品種改良の稼ぎ、国への貢献活動の褒奨金、教職としての給金と、
他にもレストラン経営や出版社経営がある。
私一人ならばこの大陸内ならば充分に見て回れるだろうが、私の狗の餌代等を考えると未だ足りないのが現状だ。
今の所なんの役に経つこともなければ私の貴重な時間を削る手間のかかる駄犬め、餌の量を減らしてやろうか
「あ!ミーシャ!待ってたよ!」
「エドガー・コロネ。出迎えは結構だ。試作品は出来ているのかね」
「これからだよ!ミーシャには出来たてを食べて貰いたいからね!」
「私が店に来る時間は事前に伝えたはずだ、到着時間に合わせて料理を仕上げるくらいの事も出来ないのかね?」
「大丈夫!仕込みは殆ど終わってるからすぐに出来るよ!」
エドガー・コロネ
わずか九歳にしてプロ級の料理の腕前を持つ少年だ。
彼は元々学院の食堂で働いていた親について回って皿洗い等をしていただけの子供だった。
子供らしく色々な事に興味を示し、親の仕事を近くで見ていた事もあり料理には強い感心を向けていた。
私が学院に入学する二年程前、当時六歳の彼を言葉巧みに操り、彼の両親を学院から引き抜き、
転生前の知識と言う名のチートで彼らのレストランの経営者としてこの国の食堂界に新しい風を巻き起こしたのだ。
お陰でレストランは開店当初から客足が途絶える事はなく、まさに順風満帆だ。
そして彼、エドガー・コロネは私の持つ料理の知識にとても貧欲で私としても彼の熱心な姿勢には感心することもあり、多少・・・多少力を入れて教え込んだ事は確かだ。
そのお陰か彼は私の知らぬ所で学院の調理学科に入学をしていただけでなく、どういう訳か王宮から褒賞まで貰い受けていた。
学業とレストラン経営の二足の草鞋状態なのだが、何故か私の元に足繁く通ってくる。
何故私なのだ、調理学科の教師から教われればいいだろうと言っても私でないと嫌だと駄々を捏ねてくる。
本当に相手にするのが面倒くさい
私の苦手な人種を詰め込んだような厄介極まりない存在だ。
思わず顔を顰めたくなるが我慢する。
私の苦手な人種は主に三種類、
本物の考えなしの阿呆と、本物の天然と、脳筋だ。
彼はその全てをオールクリアしている。
こんな存在だとわかっていたなら声をかけていなかっただろうと後悔しかける程には苦手だ。
これもまた修業だ、天が私に与えたもうた試練だと言い聞かせ耐えるしかない
「ほら!これ!ミーシャが前に教えてくれた熟成肉だよ!上手に出来たでしょう!」
「確かに、では頂こうか」
「どうぞ!」
「ふむ、丁度いい柔らかさだ」
「でしょー?えへへ!」
ヘラヘラとだらしのない顔を晒しながら胸を張っている。
本当に単純でおめでたい頭をしている。
料理以外の勉強は全くと言っていいほど出来ない上に他の取り柄は身体を動かす事くらいの彼と関わる事など、料理に関する事か私の組手の相手をして貰う時くらいのものだ。
それ以外の事で彼と関わりあいたいとは思わないしこちらから願い下げだ。
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