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「あー、俺どうしたらいいんだ?」
「知らないよ。」
「かわいいんだよ。本当に。フェロモンもすごいし。葉月が言った通り俺、死んじゃうかも…。」
涼がソファーの上で悶えている。
何故か佑月の実家に涼がいる。悶えて頭を抱える涼を双子と健人が哀れんだ目で見ていた。
「ヤバいくらいかわいいんだよ…。俺、佑月のこと食べちゃうかもしれない。」
「は?そんなことしたら涼さん、殺しちゃうよ。」
葉月が冷たく言い放つ。
「あ、分かります。俺も詩月のこと食べたい。」
健人が至極真面目な顔で言う。
「やめてよ。だから最近噛み付いてくるの?」
「うん。だって、詩月かわいいんだもん。本当に…。今日も食べていい?」
「ダメに決まってるだろ?」
抱きついてくる健人を詩月がぐいぐい押し返す。
「なあ、おまえたち、その…。」
「はい、毎日してます。番いですから。な?」
力尽くで抱きしめた詩月の顔を覗き込み、涼に向かって健人が言う。
「バカじゃないの?そんなこと堂々と言わないでよ。」
「だって本当のことだろ?」
わざと見せつける様に涼に二人の関係を言いふらすのは健人なりの防衛反応だ。涼は見合いの際に詩月を指名している。その時のことを忘れてはいない。
「涼さん、俺は十五年も我慢したんです。」
「え?十五年?」
「はい。三歳の時に初めて詩月を見た時から俺には詩月だけです。涼さんもそのくらいの覚悟で…」
「い、いや無理だそんなに我慢できないっ!十五分だって辛いのに。」
涼はもう一度を抱えてソファーの上で蹲る。
「健人、偉そうに言うなよ。僕は知ってるんだからね。」
葉月がにやにやしながら健人を見る。
「我慢してただって?小六の頃から詩月に変なことしてたろ?」
「えっ⁉︎えっと、いや、その…。最後までは我慢したし…。」
大きな身体を縮めて詩月の影に隠れようとする。詩月は気にしてない様子だ。
「詩月がいっつも健人の匂いをべったり付けてきて誤魔化すのに大変だったよ。匂いで母さんにバレちゃうからね。」
「そ。ダメって言ってもくっついてくるし、キスしてくれなきゃ死んじゃうって暴れるし…。まあそれは今もだけど。」
健人は首まで真っ赤だ。
「でも、でも詩月だって俺の匂い大好きって…んぐっ!」
必死で言い訳しようとする健人の口を詩月が手で塞いだ。耳元で何か囁くと健人は大人しくなり詩月を抱きしめて頬ずりしている。
「詩月…かわいい…俺も大好き…詩月、詩月…」
何を言われたがだいたい想像がつく。
涼は羨ましそうに、葉月は呆れた顔で二人を見ていた。
「こんにちは~!」
部屋のドアが開くと一人の男が入って来た。葉月たちにより歳が上そうだが良く似ている。
「奈緒兄ちゃん!」
「久しぶり!おっ!二人揃ってるね。」
奈緒兄ちゃんと呼ばれた男は詩月と健人を見ると嬉しそうに笑った。
「げっ!」
何故か詩月が嫌そうな顔をする。
「詩月!約束だよ~!ほら、健人くんも。」
嫌そうな顔をする詩月にその男がぐいぐい迫っている。
「わ、分かってるよ…。」
「ふふふ。健人君も、良いね?」
「は、はい…。」
二人は諦めた様な顔で頷いた。それに満足した彼はソファーの端に座る涼に気が付いたようだ。
「こんにちは、えっと君は?」
「あ、奈緒兄は初めてだね?こちらは天沢涼さん。佑月の婚約者だよ。で、こっちは従兄弟の奈緒兄ちゃん。」
「はじめまして。天沢です。」
礼儀正しく立ち上がり頭を下げた。
「君が佑月の?うわーっ!会いたかったよ!従兄弟の藤代奈緒です。R大学でバースの研究をしています。」
興奮したような奈緒は涼の手を握ってぶんぶん振っている。
「涼君、君にも僕の研究に協力してもらいたい!佑月は良いって言ってくれている。どうかな?」
「はぁ、研究ですか…。」
「そう。バースの謎について一緒に解き明かそう!詩月たちにも協力してもらう約束なんだ。ね?詩月。」
「え、あ、まぁ。」
何故が歯切れが悪い返事だ。健人は詩月のうなじに顔を擦り付けるのに夢中で聞いていない。
「佑月は世の中のオメガたちのためになるならって喜んで協力してくれるって言ってた。だから番いの君にも是非協力してもらいたい!」
「分かりました。佑月が良いって言ってるなら…。」
「本当に⁉︎ありがとう!今度二人で僕の研究室に来てくれ!」
「…はい。」
テンションの高い奈緒に圧倒され、涼は協力することを約束してしまった。
涼との約束を取り付けた奈緒は詩月たちの方にくるりと向き直りニコニコしながら迫っている。
観念した詩月が健人を促して三人で部屋を出て行った。
「ふふふ、約束しちゃったね~。」
葉月がニヤニヤしている。この表情の時は碌なことがない。涼は少しビビりながら葉月に研究内容を聞いた。
「運命の番いの研究かな。詳しいことは奈緒兄に聞いてよ。」
「わ、分かった。」
帰ったら佑月に聞いてみよう。もしかして何か知ってるかもしれない。
「そういえば奈緒さんとおまえたちは似てるな。他の親戚も皆似てるのか?」
「うん。まあね。」
「佑月は?佑月だけ似てないのか?」
「そう。言ったろ?佑月が本物の善夜オメガだから。あとは皆んな偽物みたいなもんだよ。」
「本物の善夜オメガ…。」
「知らないよ。」
「かわいいんだよ。本当に。フェロモンもすごいし。葉月が言った通り俺、死んじゃうかも…。」
涼がソファーの上で悶えている。
何故か佑月の実家に涼がいる。悶えて頭を抱える涼を双子と健人が哀れんだ目で見ていた。
「ヤバいくらいかわいいんだよ…。俺、佑月のこと食べちゃうかもしれない。」
「は?そんなことしたら涼さん、殺しちゃうよ。」
葉月が冷たく言い放つ。
「あ、分かります。俺も詩月のこと食べたい。」
健人が至極真面目な顔で言う。
「やめてよ。だから最近噛み付いてくるの?」
「うん。だって、詩月かわいいんだもん。本当に…。今日も食べていい?」
「ダメに決まってるだろ?」
抱きついてくる健人を詩月がぐいぐい押し返す。
「なあ、おまえたち、その…。」
「はい、毎日してます。番いですから。な?」
力尽くで抱きしめた詩月の顔を覗き込み、涼に向かって健人が言う。
「バカじゃないの?そんなこと堂々と言わないでよ。」
「だって本当のことだろ?」
わざと見せつける様に涼に二人の関係を言いふらすのは健人なりの防衛反応だ。涼は見合いの際に詩月を指名している。その時のことを忘れてはいない。
「涼さん、俺は十五年も我慢したんです。」
「え?十五年?」
「はい。三歳の時に初めて詩月を見た時から俺には詩月だけです。涼さんもそのくらいの覚悟で…」
「い、いや無理だそんなに我慢できないっ!十五分だって辛いのに。」
涼はもう一度を抱えてソファーの上で蹲る。
「健人、偉そうに言うなよ。僕は知ってるんだからね。」
葉月がにやにやしながら健人を見る。
「我慢してただって?小六の頃から詩月に変なことしてたろ?」
「えっ⁉︎えっと、いや、その…。最後までは我慢したし…。」
大きな身体を縮めて詩月の影に隠れようとする。詩月は気にしてない様子だ。
「詩月がいっつも健人の匂いをべったり付けてきて誤魔化すのに大変だったよ。匂いで母さんにバレちゃうからね。」
「そ。ダメって言ってもくっついてくるし、キスしてくれなきゃ死んじゃうって暴れるし…。まあそれは今もだけど。」
健人は首まで真っ赤だ。
「でも、でも詩月だって俺の匂い大好きって…んぐっ!」
必死で言い訳しようとする健人の口を詩月が手で塞いだ。耳元で何か囁くと健人は大人しくなり詩月を抱きしめて頬ずりしている。
「詩月…かわいい…俺も大好き…詩月、詩月…」
何を言われたがだいたい想像がつく。
涼は羨ましそうに、葉月は呆れた顔で二人を見ていた。
「こんにちは~!」
部屋のドアが開くと一人の男が入って来た。葉月たちにより歳が上そうだが良く似ている。
「奈緒兄ちゃん!」
「久しぶり!おっ!二人揃ってるね。」
奈緒兄ちゃんと呼ばれた男は詩月と健人を見ると嬉しそうに笑った。
「げっ!」
何故か詩月が嫌そうな顔をする。
「詩月!約束だよ~!ほら、健人くんも。」
嫌そうな顔をする詩月にその男がぐいぐい迫っている。
「わ、分かってるよ…。」
「ふふふ。健人君も、良いね?」
「は、はい…。」
二人は諦めた様な顔で頷いた。それに満足した彼はソファーの端に座る涼に気が付いたようだ。
「こんにちは、えっと君は?」
「あ、奈緒兄は初めてだね?こちらは天沢涼さん。佑月の婚約者だよ。で、こっちは従兄弟の奈緒兄ちゃん。」
「はじめまして。天沢です。」
礼儀正しく立ち上がり頭を下げた。
「君が佑月の?うわーっ!会いたかったよ!従兄弟の藤代奈緒です。R大学でバースの研究をしています。」
興奮したような奈緒は涼の手を握ってぶんぶん振っている。
「涼君、君にも僕の研究に協力してもらいたい!佑月は良いって言ってくれている。どうかな?」
「はぁ、研究ですか…。」
「そう。バースの謎について一緒に解き明かそう!詩月たちにも協力してもらう約束なんだ。ね?詩月。」
「え、あ、まぁ。」
何故が歯切れが悪い返事だ。健人は詩月のうなじに顔を擦り付けるのに夢中で聞いていない。
「佑月は世の中のオメガたちのためになるならって喜んで協力してくれるって言ってた。だから番いの君にも是非協力してもらいたい!」
「分かりました。佑月が良いって言ってるなら…。」
「本当に⁉︎ありがとう!今度二人で僕の研究室に来てくれ!」
「…はい。」
テンションの高い奈緒に圧倒され、涼は協力することを約束してしまった。
涼との約束を取り付けた奈緒は詩月たちの方にくるりと向き直りニコニコしながら迫っている。
観念した詩月が健人を促して三人で部屋を出て行った。
「ふふふ、約束しちゃったね~。」
葉月がニヤニヤしている。この表情の時は碌なことがない。涼は少しビビりながら葉月に研究内容を聞いた。
「運命の番いの研究かな。詳しいことは奈緒兄に聞いてよ。」
「わ、分かった。」
帰ったら佑月に聞いてみよう。もしかして何か知ってるかもしれない。
「そういえば奈緒さんとおまえたちは似てるな。他の親戚も皆似てるのか?」
「うん。まあね。」
「佑月は?佑月だけ似てないのか?」
「そう。言ったろ?佑月が本物の善夜オメガだから。あとは皆んな偽物みたいなもんだよ。」
「本物の善夜オメガ…。」
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