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「ルエ、泣かないで。ね?」
「うっ、えっ、うぅ…」
リチャードはルエを膝の上に座らせて頭や背中を撫でたりしながら宥めている。その顔は嬉しそうだ。
「とにかく記憶が戻って良かったです。頭痛はどうですか?」
医者が診察しながらルエに聞く。
「だ、大丈夫です。それよりもリチャード様、ごめんなさい…。」
「私は平気だよ。ルエの一人や二人受け止めたってなんてことない。私よりもルエが心配だ。」
ルエの顔を心配そうに覗き込み涙を拭いてやる。
「リチャード様…」
「ん?何?どうかしたか?」
リチャードはルエに名前を呼ばれるだけでデレデレしている。
「旦那様、旦那様も診てもらって下さい。」
ノーマンが横から声をかけた。
「私は大丈夫だ。ほら、」
そう言いながらルエを膝に乗せたまま身体を動かそうとする。
「あ、痛っ、」
何ともないと言っていたがやはり受け止めた衝撃は大きく、どこか痛むようで顔を歪めた。
「リチャード様っ!」
「旦那様っ!」
ルエとノーマンが顔を青くしてリチャードを見た。気まずそうな顔をしたリチャードは大人しく医者の診察を受けた。
「ルーエ。大丈夫だから。もう泣き止んで私の顔を見て?医者も大したことないって言ってただろ?」
「は、はい…。ご、ごめん、なさい…」
「謝らなくていいから。ルエにケガがなくて良かった。窓からルエが見えたときは肝が冷えたよ。」
「はい。でもそれだけじゃなくて…僕、忘れてしまって。リチャード様のこと。…ごめんなさい。」
「本当だよ。私のことを忘れるなんて。酷いよ。」
リチャードは態と怒ったような顔をして見せた。しかしすぐに形相を崩してルエの目元にキスをする。
「ウソだよ。生きていてくれただけで十分だ。」
「リチャード様…。」
「それに今は全部思い出してくれたんだろ?」
コクンと頷くとリチャードがまたルエの顔にキスをする。
「ルエが他人行儀で寂しかったよ。」
「ごめんなさい。粗相しないようにするのに精一杯で…。」
「ふふ。私はどんなルエでも大好きなのに。」
うっとりとルエを見つめてキスをする。それはちゅっと軽く触れるだけのキスから徐々に深いものへと変わっていく。
「あ、ん、リチャード様…あ、」
「ルエ…ルエ…はぁ、可愛い。愛してる…ルエ、」
「えー、ちょっとよろしいですか?」
ごほんと咳払いをしたノーマンが思わず声をかけた。このままではもっと激しいことまでしそうだ。
「あっ!」
ルエはまだ居る使用人たちや医者に気付いて顔を赤くしてリチャードの胸に顔を埋めてしまった。
「何だ、まだ居たのか。私たちはもう大丈夫だから、各々の持ち場に戻ってくれ。ルエが恥ずかしがってるだろ。」
ルエ以外に興味がないリチャードにノーマンは呆れたような顔をして皆を促し部屋を出た。
「ルエ、よく顔を見せて。」
ルエはリチャードの胸から顔を上げる。蕩けたような顔のリチャードと目が合った。
「可愛い…。ずっとこうしたかった。二か月も我慢したんだよ?」
「はい。ごめんなさい。」
「ふふふ。ちゃんと責任は取ってもらうからね。」
ちゅうっとルエの唇に吸い付きながらシャツボタンに手をかけた。
「あっ、」
「はぁ、ダメだ。我慢できない…。」
「ダメですっ!リチャード様はケガしてるのに!」
「大丈夫だよ。はぁ、良い匂い…ルエ、大好きだ、愛してる。」
ルエのシャツの中に手を入れてするりと脱がすと感嘆の声を上げた。
「ああ…綺麗だ。夢にまで見たよ。」
「あっ、あぁん、はぁ…」
「我慢してた分までするからね。」
じゅるじゅると音を立ててピンクの突起を吸って可愛がる。
「もう食べちゃうよ…。」
そう言って固くなったそこを甘噛みした。
「あぁん!リチャード様っ!」
「ルエ、ルエ、ルエ…。好きだよ。可愛い…可愛すぎる。」
リチャードがルエをそっとソファーに押し倒した時だ。部屋の扉が勢いよく開いた。
「リチャード!ルエの記憶が戻ったって?」
「うわっ!」
驚いたリチャードがサッとルエを隠した。
「あ、悪い。」
「は、早く扉を閉めろ!」
「へいへい。」
慌てふためく二人と反してギルバートは飄々とした態度で扉を閉めた。
「勝手に開けるなといつも言ってるだろ。」
「だから悪かったって。ルエに記憶が戻ったって聞いて嬉しくなって。」
「全くおまえは…。」
「俺は何とも思わないよ。おまえらのアレはもう見慣れた。」
リチャードがギルバートをキッと睨むと寝室の扉がそーっと開いて身支度を整えたルエが出てきた。
「ルエ!」
ギルバートが立ち上がりルエを抱きしめようとするが、リチャードに横から阻止された。
「私の妻にやたらと触らないでもらいたい。」
「おまえは本当に…まあ、いいさ。ルエ良かったな。俺のことも分かるか?」
リチャードにぎゅーっと抱きしめられたルエは腕の隙間から顔を覗かせにこりと笑った、
「はい。ご心配とご迷惑とおかけしました。」
「さあ、ルエ。お茶にしよう。」
ルエを抱き抱えたままソファーに座り、そのまま膝の上に乗せた。
そのタイミングでノーマンがテーブルに紅茶とケーキを置く。
「ルエ、火傷しないようにね。」
「今日はレモンカートのケーキだ。ほら、あーんして。」
「ああ、こんな所にクリームを付けて…。」
リチャードは周りを全く気にせず、幸せそうにルエの世話を焼いている。
そのうちに口の端に着いたクリームをペロペロと舐め出した。
「甘い…美味しいよ。」
とっくにクリームは綺麗になっているのにリチャードは『まだ着いてる』とか何とか言ってルエの唇を美味しそうに吸ったり舐めたりしている。
そんなリチャードにギルバートとノーマンは顔を見合わせてため息をついた。
「うっ、えっ、うぅ…」
リチャードはルエを膝の上に座らせて頭や背中を撫でたりしながら宥めている。その顔は嬉しそうだ。
「とにかく記憶が戻って良かったです。頭痛はどうですか?」
医者が診察しながらルエに聞く。
「だ、大丈夫です。それよりもリチャード様、ごめんなさい…。」
「私は平気だよ。ルエの一人や二人受け止めたってなんてことない。私よりもルエが心配だ。」
ルエの顔を心配そうに覗き込み涙を拭いてやる。
「リチャード様…」
「ん?何?どうかしたか?」
リチャードはルエに名前を呼ばれるだけでデレデレしている。
「旦那様、旦那様も診てもらって下さい。」
ノーマンが横から声をかけた。
「私は大丈夫だ。ほら、」
そう言いながらルエを膝に乗せたまま身体を動かそうとする。
「あ、痛っ、」
何ともないと言っていたがやはり受け止めた衝撃は大きく、どこか痛むようで顔を歪めた。
「リチャード様っ!」
「旦那様っ!」
ルエとノーマンが顔を青くしてリチャードを見た。気まずそうな顔をしたリチャードは大人しく医者の診察を受けた。
「ルーエ。大丈夫だから。もう泣き止んで私の顔を見て?医者も大したことないって言ってただろ?」
「は、はい…。ご、ごめん、なさい…」
「謝らなくていいから。ルエにケガがなくて良かった。窓からルエが見えたときは肝が冷えたよ。」
「はい。でもそれだけじゃなくて…僕、忘れてしまって。リチャード様のこと。…ごめんなさい。」
「本当だよ。私のことを忘れるなんて。酷いよ。」
リチャードは態と怒ったような顔をして見せた。しかしすぐに形相を崩してルエの目元にキスをする。
「ウソだよ。生きていてくれただけで十分だ。」
「リチャード様…。」
「それに今は全部思い出してくれたんだろ?」
コクンと頷くとリチャードがまたルエの顔にキスをする。
「ルエが他人行儀で寂しかったよ。」
「ごめんなさい。粗相しないようにするのに精一杯で…。」
「ふふ。私はどんなルエでも大好きなのに。」
うっとりとルエを見つめてキスをする。それはちゅっと軽く触れるだけのキスから徐々に深いものへと変わっていく。
「あ、ん、リチャード様…あ、」
「ルエ…ルエ…はぁ、可愛い。愛してる…ルエ、」
「えー、ちょっとよろしいですか?」
ごほんと咳払いをしたノーマンが思わず声をかけた。このままではもっと激しいことまでしそうだ。
「あっ!」
ルエはまだ居る使用人たちや医者に気付いて顔を赤くしてリチャードの胸に顔を埋めてしまった。
「何だ、まだ居たのか。私たちはもう大丈夫だから、各々の持ち場に戻ってくれ。ルエが恥ずかしがってるだろ。」
ルエ以外に興味がないリチャードにノーマンは呆れたような顔をして皆を促し部屋を出た。
「ルエ、よく顔を見せて。」
ルエはリチャードの胸から顔を上げる。蕩けたような顔のリチャードと目が合った。
「可愛い…。ずっとこうしたかった。二か月も我慢したんだよ?」
「はい。ごめんなさい。」
「ふふふ。ちゃんと責任は取ってもらうからね。」
ちゅうっとルエの唇に吸い付きながらシャツボタンに手をかけた。
「あっ、」
「はぁ、ダメだ。我慢できない…。」
「ダメですっ!リチャード様はケガしてるのに!」
「大丈夫だよ。はぁ、良い匂い…ルエ、大好きだ、愛してる。」
ルエのシャツの中に手を入れてするりと脱がすと感嘆の声を上げた。
「ああ…綺麗だ。夢にまで見たよ。」
「あっ、あぁん、はぁ…」
「我慢してた分までするからね。」
じゅるじゅると音を立ててピンクの突起を吸って可愛がる。
「もう食べちゃうよ…。」
そう言って固くなったそこを甘噛みした。
「あぁん!リチャード様っ!」
「ルエ、ルエ、ルエ…。好きだよ。可愛い…可愛すぎる。」
リチャードがルエをそっとソファーに押し倒した時だ。部屋の扉が勢いよく開いた。
「リチャード!ルエの記憶が戻ったって?」
「うわっ!」
驚いたリチャードがサッとルエを隠した。
「あ、悪い。」
「は、早く扉を閉めろ!」
「へいへい。」
慌てふためく二人と反してギルバートは飄々とした態度で扉を閉めた。
「勝手に開けるなといつも言ってるだろ。」
「だから悪かったって。ルエに記憶が戻ったって聞いて嬉しくなって。」
「全くおまえは…。」
「俺は何とも思わないよ。おまえらのアレはもう見慣れた。」
リチャードがギルバートをキッと睨むと寝室の扉がそーっと開いて身支度を整えたルエが出てきた。
「ルエ!」
ギルバートが立ち上がりルエを抱きしめようとするが、リチャードに横から阻止された。
「私の妻にやたらと触らないでもらいたい。」
「おまえは本当に…まあ、いいさ。ルエ良かったな。俺のことも分かるか?」
リチャードにぎゅーっと抱きしめられたルエは腕の隙間から顔を覗かせにこりと笑った、
「はい。ご心配とご迷惑とおかけしました。」
「さあ、ルエ。お茶にしよう。」
ルエを抱き抱えたままソファーに座り、そのまま膝の上に乗せた。
そのタイミングでノーマンがテーブルに紅茶とケーキを置く。
「ルエ、火傷しないようにね。」
「今日はレモンカートのケーキだ。ほら、あーんして。」
「ああ、こんな所にクリームを付けて…。」
リチャードは周りを全く気にせず、幸せそうにルエの世話を焼いている。
そのうちに口の端に着いたクリームをペロペロと舐め出した。
「甘い…美味しいよ。」
とっくにクリームは綺麗になっているのにリチャードは『まだ着いてる』とか何とか言ってルエの唇を美味しそうに吸ったり舐めたりしている。
そんなリチャードにギルバートとノーマンは顔を見合わせてため息をついた。
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