みにくいオメガの子

みこと

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俊之1

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「俊之、明日ちゃんと行くんだぞ?」

「分かってるよ。」

『早く良いオメガを見つけろ』
大学に入ってからずっと言われ続けていた。面倒なので適当に流していたら叔母が勝手にオメガを連れてきた。
全くタイプじゃなかったので断った。自分の番いくらい自分で見つけると宣言した。
一、二年生の頃はのらりくらりと交わしていたけど、父親の友人の子どもが高校生で番いを見つけたと聞いた。その頃から『早くオメガを見つけろ』とうるさいくらいに言ってくるようになった。
近年、オメガの数がぐっと減っている。相性の良いオメガは必ず優秀なアルファを産むと医学的に立証されている。親父はそれが目的だ。祐一の親父もそんなこと言ってたな。
親父は早くしないと良いオメガは他のアルファに取られると焦っている。
俺としてはどっちでも良い。
今、セフレも居るし困ってない。
一応、一生懸命探してるとアピールするために国営結婚相談所に登録した。今までそこで四人とお見合いしたがどれもピンと来ない。セフレぐらいにならしてやってもいいけど…。
明日もお見合いが組まれている。ちゃっちゃっと済ませてセフレ①にでも会うか。


♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎


結婚相談所のスタッフに指定されたホテルのティーラウンジで待っている。約束の時間を10分過ぎた。
もう帰るか。遅刻するヤツが悪い。

立ち上がろうとすると何とも言えない良い匂いがした。オメガのフェロモンだ。心臓が早鐘のように打つ。息も苦しい。
そのフェロモンの主は俺の前に立った。

「遅れてすいません。」

息を切らしたそのオメガを見る。
ヤバいだろ。キラキラして眩しいくらいだ。
俺はごくりと喉を鳴らし、深呼吸した。

「いや、大丈夫。俺も今来たところ。」

ほっとしたように微笑んだ彼は神々しいくらい可愛かった。
これが俺と真紘の出会いだ。



何度かデートを重ねて無事付き合うことになった。もちろん番いになる前提だ。
セフレは全員清算した。一人だけしつこいのがいたけど金を払って納得してもらった。
もう俺は真紘にメロメロだ。可愛すぎる。
早く番いになりたい。
デート中も他の男がチラチラ見るだけでそいつを殺してやりたくなる。真紘は『物騒なことはやめて』と笑っているが、笑いごとじゃないんだ。




「はぁはぁ、真紘…。可愛い。」

「ん、トシくん…。あっ、あっ、あぁん。」

「気持ちいいか?ん、あっ、真紘、真紘っ!」

「あっ、あっ、トシくんっ!だめっ!あぁーっ」

セックスもめちゃくちゃ良い。真紘が気持ち良くなれるように丁寧に抱く。
…可愛い。毎日毎日求めてしまう。
今日は我慢しようと思っていたけど真紘を見たら堪らなくなって押し倒してしまった。
身体中舐め回して何度も中に出した。
俺はアルファの避妊薬を飲んでいるから妊娠の心配はない。

親父は真紘を見て『でかした!』と喜んでいる。まだ高校生なのに早く孕ませろ、と急かしてくる。
当分子どもは作らない。俺の可愛い真紘を子どもに取られたくない。しばらくは二人っきりでイチャイチャして過ごしたいんだ。
親父にそれを言ったら呆れていた。
兄貴は俺の変わりように真紘は『運命の番』じゃないかと言っている。
そんなもの都市伝説だと思っていたけど、そうかもしれない。
それを聞いた親父はさらに喜んでいる。相性の良いアルファとオメガの子どもは優秀なアルファと決まっているからだ。
俺はそんなのどっちでも良い。真紘がいればいいんだ。
今日も真紘を迎えに行って俺のマンションに連れてきた。
部屋に入った途端、噛み付くようなキスをしてセックスしてしまった。
真紘の両親には既に挨拶は済んでいる。卒業したら番いになって結婚する。
早く番いになりたい。


真紘に出会ってから俺の人生は順風満帆だ。何も不満はない、と言いたいところだが、ひとつだけ気になることがある。
それは真紘の友達の由紀だ。真紘の親友だかアイツだけはダメだ。オメガなのにアルファみたいな匂いがする。俺に挑戦的なフェロモンだ。
真紘を狙っているんじゃないのか?真紘はそんなことないと笑っているが、とにかく気に入らない。
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