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番外編5
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「ヒロ、お腹どう?」
「うーん、変わらないかな。」
「そっか。後で一緒に散歩に行こうか。少し歩くと良いって書いてあったよ。」
「うん。」
予定日を二日過ぎたけどまだ産まれそうな感じはない。
ヒロはお腹が重いらしくソファーで横になっている。
俺はその大きな愛しいお腹を撫でながらもうすぐ来るであろうその時をドキドキしながら待っていた。
「そろそろお昼ごはん作るね。今日はビーフストロガノフだよ。」
「やったー!」
子どもみたいに喜ぶヒロの頭を撫でて夕飯の準幅に取り掛かった。
ビーフストロガノフを煮込みながらサラダの準備をしている。ヒロを見るとマタニティ雑誌を真剣に読んでいた。
真剣な顔も可愛いな…。
幸せな気持ちでふと窓の外に目をやるとポツポツと雨が降ってきていた。
「あ、雨だ。」
「え?あ、本当だ。」
俺の声が聞こえたようでヒロも窓の外を見る。
予報では降らないと言っていたのに。
「洗濯もの入れないと。お散歩無理だね。」
「うん。俺がやるよ。」
雑誌をテーブルに置いてヒロがよいしょと立ち上がる。
「ヒロ、危ないからいいよ。座ってて。」
「やるよ。お散歩行けないし、少し動かないと。」
「いいから。」
「俺がやる。」
そう言ってヒロがベランダに出た。
家事のほとんどを俺がやることを申し訳なく思っているみたいだ。大きなお腹なのにいろいろやろうとしてくれる。
心配だけど見守った方が良さそうだ。
俺はキッチンに戻り洗濯物をとりこんでいるヒロを見ながらトマトを洗っていた。
アイランドキッチンなのでバルコニーがよく見える。
大きなお腹のヒロが一生懸命家事をする姿に何故か感動して泣きそうになった。
「ヒロ、もういいよ。やっぱり俺がやる。」
「ふぅ、大丈夫。」
「ダメ。息が切れてるだろ?」
ヒロの手からタオルを取り上げて家の中に入れた。
残りの洗濯物をとりこんで中に入るとヒロがソファーの前に立っていて何とも言えない顔をしていた。
「ヒロ?どうしたの?」
「航、俺、破水したかも…。」
「は…すい…?」
状況が飲み込めるまで数秒、いや数分かかったかもしれない。
俺たちは無言で見つめ合っていた。
「はすいって、破水⁉︎」
「うん…。」
ヒロのスウェットが濡れている。
破水したんだ!ていうことは…。
「う、産まれる⁉︎」
「うん、あ、ちょっとお腹が痛いかも…。ぎゅーって…あ、」
「え?え?待って、いや、待てないよね?ちょっとだけ、えっと、えっと。」
落ち着け、俺。
予行練習と準備はしたはずだろ。
「ま、まずは病院に電話して、ヒロのお義母さん、うちの母さんと、あ!ビーフストロガノフ…はどうでも良くて…。」
「航、落ち着け。大丈夫だから。今は痛くないよ。」
「うん、うん、落ち着け、俺。」
大きく深呼吸して自分を落ち着かせる。
スマホに登録してあった病院に電話するとすぐに来るように言われた。
サラダとビーフストロガノフを鍋ごと冷蔵庫にしまって戸締まりと電気を確認する。
少しずつ頭がクリアになってきた。
ヒロも着替えを済ませて、用意してあった入院セットの旅行バッグを持った。
「ヒロ、大丈夫?」
「うん。」
ヒロの手をしっかり握って玄関を出た。
「番いさんですか?」
「は、はい。」
「じゃあ一緒に陣痛室にお願いします。何かあったらナースコールを鳴らして下さいね。」
入院手続きを終えた俺は一足早く陣痛室に入っていたヒロのところへ案内された。
中は八畳ほどの部屋でベッドとソファーとテーブルが置いてある。テーブルの上にはテニスボールとツボ押し棒、雑誌が何冊か用意されていた。ベッドの横の小さな冷蔵庫の中には水やお茶、ジュースが入っている。
ヒロはベッドに座って痛みに耐えていた。
「横にならなくて平気?」
「わ、分かんない。どの格好が良いか試してる…。あー、また来た…、航~、痛いよぉ。」
ヒロがベッドの上のクッションに寄りかかって顔を歪めた。俺はどうして良いか分からずとりあえず腰をさすった。
「航!もっと強くさすってよ!全然効かないよ。あー痛い、痛い…。」
「は、はいっ!」
何度か看護師や医者が来て診察して行った。
ヒロはうとうとしては痛みで目が覚めるのを繰り返している。窓の外が暗くなり、また明るくなってきた。一晩だったんだ。
俺は何度も睡魔に襲われたけど、ヒロの痛がる声で目が覚めた。
「もうダメ、航、死んじゃうよ~。」
「うん、ごめん。ヒロ、がんばって。ごめんね。」
診察されながらヒロが泣いている。
何もしてやれなくて俺も泣いていた。
「はい。泣いてないで、分娩台に上がりますよ~。」
「え?」
「はい、お父さんはそっちを支えて。」
「え?、は、はい。」
年配の看護師に言われるがままにヒロの身体を支えて隣の部屋に入る。
ヒロは踏み台を登って分娩台に横になった。
そこからのことはあまり覚えていない。とにかく必死でヒロを励ましたり身体をさすったり、時々ヒロや看護師に怒られたりを繰り返した。
「もう少しよ。もうイキまなくても良いからね。」
「航~、航~。」
「ヒロ、頑張れ!ヒロ!」
………。
「産まれましたよ!!」
看護師なのか先生なのか分からないけど今『産まれた』って言った?
「ふぎゃ~、ふぎゃ~!」
すぐに赤ちゃんの泣き声が聞こえてきた。
産まれたんだ…。俺とヒロの赤ちゃん…。
看護師がバスタオルに包んだ赤ちゃんをヒロの胸の上に寝かせた。
「おめでとうございます。元気な男の子ですよ。」
クシャクシャの顔で泣く俺とヒロの赤ちゃん。
ヒロはその顔を優しく覗き込んでいる。
優しい笑顔は神々しくてまるで聖母マリアだ。
「ヒロ、ありがとう…。ありがとう。」
「うん。俺の方こそありがとう…。」
俺はヒロの頭を抱きしめて何度もキスをした。
「うーん、変わらないかな。」
「そっか。後で一緒に散歩に行こうか。少し歩くと良いって書いてあったよ。」
「うん。」
予定日を二日過ぎたけどまだ産まれそうな感じはない。
ヒロはお腹が重いらしくソファーで横になっている。
俺はその大きな愛しいお腹を撫でながらもうすぐ来るであろうその時をドキドキしながら待っていた。
「そろそろお昼ごはん作るね。今日はビーフストロガノフだよ。」
「やったー!」
子どもみたいに喜ぶヒロの頭を撫でて夕飯の準幅に取り掛かった。
ビーフストロガノフを煮込みながらサラダの準備をしている。ヒロを見るとマタニティ雑誌を真剣に読んでいた。
真剣な顔も可愛いな…。
幸せな気持ちでふと窓の外に目をやるとポツポツと雨が降ってきていた。
「あ、雨だ。」
「え?あ、本当だ。」
俺の声が聞こえたようでヒロも窓の外を見る。
予報では降らないと言っていたのに。
「洗濯もの入れないと。お散歩無理だね。」
「うん。俺がやるよ。」
雑誌をテーブルに置いてヒロがよいしょと立ち上がる。
「ヒロ、危ないからいいよ。座ってて。」
「やるよ。お散歩行けないし、少し動かないと。」
「いいから。」
「俺がやる。」
そう言ってヒロがベランダに出た。
家事のほとんどを俺がやることを申し訳なく思っているみたいだ。大きなお腹なのにいろいろやろうとしてくれる。
心配だけど見守った方が良さそうだ。
俺はキッチンに戻り洗濯物をとりこんでいるヒロを見ながらトマトを洗っていた。
アイランドキッチンなのでバルコニーがよく見える。
大きなお腹のヒロが一生懸命家事をする姿に何故か感動して泣きそうになった。
「ヒロ、もういいよ。やっぱり俺がやる。」
「ふぅ、大丈夫。」
「ダメ。息が切れてるだろ?」
ヒロの手からタオルを取り上げて家の中に入れた。
残りの洗濯物をとりこんで中に入るとヒロがソファーの前に立っていて何とも言えない顔をしていた。
「ヒロ?どうしたの?」
「航、俺、破水したかも…。」
「は…すい…?」
状況が飲み込めるまで数秒、いや数分かかったかもしれない。
俺たちは無言で見つめ合っていた。
「はすいって、破水⁉︎」
「うん…。」
ヒロのスウェットが濡れている。
破水したんだ!ていうことは…。
「う、産まれる⁉︎」
「うん、あ、ちょっとお腹が痛いかも…。ぎゅーって…あ、」
「え?え?待って、いや、待てないよね?ちょっとだけ、えっと、えっと。」
落ち着け、俺。
予行練習と準備はしたはずだろ。
「ま、まずは病院に電話して、ヒロのお義母さん、うちの母さんと、あ!ビーフストロガノフ…はどうでも良くて…。」
「航、落ち着け。大丈夫だから。今は痛くないよ。」
「うん、うん、落ち着け、俺。」
大きく深呼吸して自分を落ち着かせる。
スマホに登録してあった病院に電話するとすぐに来るように言われた。
サラダとビーフストロガノフを鍋ごと冷蔵庫にしまって戸締まりと電気を確認する。
少しずつ頭がクリアになってきた。
ヒロも着替えを済ませて、用意してあった入院セットの旅行バッグを持った。
「ヒロ、大丈夫?」
「うん。」
ヒロの手をしっかり握って玄関を出た。
「番いさんですか?」
「は、はい。」
「じゃあ一緒に陣痛室にお願いします。何かあったらナースコールを鳴らして下さいね。」
入院手続きを終えた俺は一足早く陣痛室に入っていたヒロのところへ案内された。
中は八畳ほどの部屋でベッドとソファーとテーブルが置いてある。テーブルの上にはテニスボールとツボ押し棒、雑誌が何冊か用意されていた。ベッドの横の小さな冷蔵庫の中には水やお茶、ジュースが入っている。
ヒロはベッドに座って痛みに耐えていた。
「横にならなくて平気?」
「わ、分かんない。どの格好が良いか試してる…。あー、また来た…、航~、痛いよぉ。」
ヒロがベッドの上のクッションに寄りかかって顔を歪めた。俺はどうして良いか分からずとりあえず腰をさすった。
「航!もっと強くさすってよ!全然効かないよ。あー痛い、痛い…。」
「は、はいっ!」
何度か看護師や医者が来て診察して行った。
ヒロはうとうとしては痛みで目が覚めるのを繰り返している。窓の外が暗くなり、また明るくなってきた。一晩だったんだ。
俺は何度も睡魔に襲われたけど、ヒロの痛がる声で目が覚めた。
「もうダメ、航、死んじゃうよ~。」
「うん、ごめん。ヒロ、がんばって。ごめんね。」
診察されながらヒロが泣いている。
何もしてやれなくて俺も泣いていた。
「はい。泣いてないで、分娩台に上がりますよ~。」
「え?」
「はい、お父さんはそっちを支えて。」
「え?、は、はい。」
年配の看護師に言われるがままにヒロの身体を支えて隣の部屋に入る。
ヒロは踏み台を登って分娩台に横になった。
そこからのことはあまり覚えていない。とにかく必死でヒロを励ましたり身体をさすったり、時々ヒロや看護師に怒られたりを繰り返した。
「もう少しよ。もうイキまなくても良いからね。」
「航~、航~。」
「ヒロ、頑張れ!ヒロ!」
………。
「産まれましたよ!!」
看護師なのか先生なのか分からないけど今『産まれた』って言った?
「ふぎゃ~、ふぎゃ~!」
すぐに赤ちゃんの泣き声が聞こえてきた。
産まれたんだ…。俺とヒロの赤ちゃん…。
看護師がバスタオルに包んだ赤ちゃんをヒロの胸の上に寝かせた。
「おめでとうございます。元気な男の子ですよ。」
クシャクシャの顔で泣く俺とヒロの赤ちゃん。
ヒロはその顔を優しく覗き込んでいる。
優しい笑顔は神々しくてまるで聖母マリアだ。
「ヒロ、ありがとう…。ありがとう。」
「うん。俺の方こそありがとう…。」
俺はヒロの頭を抱きしめて何度もキスをした。
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