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俺たちはそれからも何度もデートを重ねた。
季節はあっという間に過ぎて冬になっていた。
京介さんはとてもマメで学校に迎えに来てくれることもあった。
「付き合ってんの?」
夏樹に聞かれた。
どうなんだろう。
あの日から半年近く経っている。
キスどころか手も繋いでいない。好きだと言われたこともない。
「うーん分からん。」
「ま、もうすぐクリスマスだからな。何かあるだろ。」
「そうかもね。」
ふと廊下を見ると航が歩いているのが見えた。
半年経ってやっと気持ちが落ち着いた。
凪のようだ。波が立たなくなった。
大人の男のプレゼントはどうしたら良いのだろう。スマホで検索してみた。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
「なぁ、クリスマス。京介さんちに誘われた。」
「おー。動き出したな。アルファにしては気が長いな。」
「うん。心の傷が癒えるのを待っててくれたのかも。」
「ステキ!大人の男!」
「キモいよ。」
優しくて穏やかで大人な京介さんが好きだ。
でも、また裏切られるかもしれないと言う恐怖もある。こればかりはどうしようも出来ない。
結局クリスマスは京介の家で過ごすことになった。
両親には夏樹の家に泊まるとウソをついた。
父さん、母さんごめん。
「うわーっ!すごい。これ手作り?」
「うーん、全部じゃないけど。」
京介さんがディナーとケーキの準備をしてくれた。すごく豪華で美味しかった。
そんでもって食事のあとはお約束のプレゼント交換だ。
「これ…。」
「開けていい?」
「そんなに高いものじゃないんだ。」
「比呂がくれるものなら何でも嬉しい。」
ありきたりだけどマフラーだ。ちょっと頑張ってブランド物だ。京介さんは首に巻いて喜んでくれた。
大事にするって。
「俺からはこれ。」
時計だった。いや、高いでしょ?
「こんな高い物もらえないよ。」
「比呂に持ってて欲しい。だめ?」
そんな風に言われたら断れない。これだから大人の男は…。
俺たちはその夜初めて結ばれた。
「あっ!待って…。」
「待てない。半年も我慢した。比呂、好きだよ。」
そうか、京介さんは俺が好きなのか。
その言葉を聞いて安心して身を委ねた。
「京介さん、やりすぎ。」
「ごめん、半年分を全てぶつけてしまった。身体辛い?」
「大丈夫。でも喉が痛い。」
「喘ぎ過ぎたな。」
ベッドの中でイチャイチャしている。京介さんのセックスはすごかった。何がって…とにかくすごかった。
やはり京介さんもアルファで、自分のものにしたオメガへの執着が半端ない。
今までは押さえてくれていたんだ。休みの日には必ず会いたがるし電話は毎日だ。時間があれば学校へも送り迎えをしてくれる。
「比呂、お迎え来てるぞ。」
夏樹が窓の外を見ていた。
俺も傍から覗く。京介さんの黒い車が見えた。
「本当だ。今日は早いな。」
「社長は時間が自由でいいね~。」
「専務だよ。」
「一緒だろ。」
鞄を持って京介さんが待っている正門まで急いで向かう。
ドンッ!
「ごめん!」
「こっちこそ。ごめ…あ。」
航だ。
「ごめん。急いでて。」
「いや、俺の方こそごめん。前見てなかった。」
「うん。じゃあ。」
「え?あぁ。」
そのまま別れた。あれ以来航とは話をしていない。噂も消えた。何人かに告られたみたいだけど付き合ったりはしていないみたいだ。
夏樹が逐一教えてくれる。
アイツはなぜが情報通だ。探偵には向いてないけどな。
「京介さん!」
「おかえり。」
車の窓が空いて手を振ってくれる。
俺は助手席に乗り込んでシートベルトを締めた。
「ありがと。仕事は良いの?」
「大丈夫、比呂が最優先だ。」
ちゅっ!
京介さんがキスをしてきた。
「学校じゃあダメって言ってるだろ…」
「ごめん、可愛くってつい。」
たぶん俺は顔が真っ赤だ。京介さんが笑いながらエンジンをかけて車が動き出した。
あ…航だ。たぶん見られた。もうとっくに別れてるし、何もも悪いことはしてない。
アイツは真っ青な顔をしていた。
「比呂?どうした?」
「え?ううん、何でもない。」
「ウチくる?」
「うん。」
もう来慣れた京介さんのマンションに行く。
俺はもう三年生。受験生だ。ありがたいとことに京介さんはたまに勉強を見てくれる。週三回の塾とスパルタの家庭教師。
早く大学生になりたい。
「京介さん、こんな問題は?」
「ん?これは…」
京介さんは本当に頭が良いんだなと思う。はっきり言って先生よりわかりやすい。京介さんに教えてもらうとすごく捗る。
「比呂、ちょっと休憩しよう?」
「んー。」
「ほら。」
振り返るとソファーの上で京介さんが手を広げて待っている。
「京介さんがイチャイチャしたいだけだろ?」
「あぁ。比呂は?」
俺はペンを置いて京介さんの膝の上に向かい合わせで座った。
そのまま抱きしめられてキスをする。
「…する。」
「可愛い。」
ちゅっちゅっと顔中にキスをされる。そのまま手がシャツの間に滑り込んできた。
「あ、あ、あぁん。」
「比呂は本当にここが好きだね。」
乳首をスリスリ撫でる。キスも深くなり京介さんの舌は俺の口の中を自由自在に這い回る。
「あ、ん…。あっ!はぁん。」
「可愛い…。」
そのままソファーに押し倒された。
季節はあっという間に過ぎて冬になっていた。
京介さんはとてもマメで学校に迎えに来てくれることもあった。
「付き合ってんの?」
夏樹に聞かれた。
どうなんだろう。
あの日から半年近く経っている。
キスどころか手も繋いでいない。好きだと言われたこともない。
「うーん分からん。」
「ま、もうすぐクリスマスだからな。何かあるだろ。」
「そうかもね。」
ふと廊下を見ると航が歩いているのが見えた。
半年経ってやっと気持ちが落ち着いた。
凪のようだ。波が立たなくなった。
大人の男のプレゼントはどうしたら良いのだろう。スマホで検索してみた。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
「なぁ、クリスマス。京介さんちに誘われた。」
「おー。動き出したな。アルファにしては気が長いな。」
「うん。心の傷が癒えるのを待っててくれたのかも。」
「ステキ!大人の男!」
「キモいよ。」
優しくて穏やかで大人な京介さんが好きだ。
でも、また裏切られるかもしれないと言う恐怖もある。こればかりはどうしようも出来ない。
結局クリスマスは京介の家で過ごすことになった。
両親には夏樹の家に泊まるとウソをついた。
父さん、母さんごめん。
「うわーっ!すごい。これ手作り?」
「うーん、全部じゃないけど。」
京介さんがディナーとケーキの準備をしてくれた。すごく豪華で美味しかった。
そんでもって食事のあとはお約束のプレゼント交換だ。
「これ…。」
「開けていい?」
「そんなに高いものじゃないんだ。」
「比呂がくれるものなら何でも嬉しい。」
ありきたりだけどマフラーだ。ちょっと頑張ってブランド物だ。京介さんは首に巻いて喜んでくれた。
大事にするって。
「俺からはこれ。」
時計だった。いや、高いでしょ?
「こんな高い物もらえないよ。」
「比呂に持ってて欲しい。だめ?」
そんな風に言われたら断れない。これだから大人の男は…。
俺たちはその夜初めて結ばれた。
「あっ!待って…。」
「待てない。半年も我慢した。比呂、好きだよ。」
そうか、京介さんは俺が好きなのか。
その言葉を聞いて安心して身を委ねた。
「京介さん、やりすぎ。」
「ごめん、半年分を全てぶつけてしまった。身体辛い?」
「大丈夫。でも喉が痛い。」
「喘ぎ過ぎたな。」
ベッドの中でイチャイチャしている。京介さんのセックスはすごかった。何がって…とにかくすごかった。
やはり京介さんもアルファで、自分のものにしたオメガへの執着が半端ない。
今までは押さえてくれていたんだ。休みの日には必ず会いたがるし電話は毎日だ。時間があれば学校へも送り迎えをしてくれる。
「比呂、お迎え来てるぞ。」
夏樹が窓の外を見ていた。
俺も傍から覗く。京介さんの黒い車が見えた。
「本当だ。今日は早いな。」
「社長は時間が自由でいいね~。」
「専務だよ。」
「一緒だろ。」
鞄を持って京介さんが待っている正門まで急いで向かう。
ドンッ!
「ごめん!」
「こっちこそ。ごめ…あ。」
航だ。
「ごめん。急いでて。」
「いや、俺の方こそごめん。前見てなかった。」
「うん。じゃあ。」
「え?あぁ。」
そのまま別れた。あれ以来航とは話をしていない。噂も消えた。何人かに告られたみたいだけど付き合ったりはしていないみたいだ。
夏樹が逐一教えてくれる。
アイツはなぜが情報通だ。探偵には向いてないけどな。
「京介さん!」
「おかえり。」
車の窓が空いて手を振ってくれる。
俺は助手席に乗り込んでシートベルトを締めた。
「ありがと。仕事は良いの?」
「大丈夫、比呂が最優先だ。」
ちゅっ!
京介さんがキスをしてきた。
「学校じゃあダメって言ってるだろ…」
「ごめん、可愛くってつい。」
たぶん俺は顔が真っ赤だ。京介さんが笑いながらエンジンをかけて車が動き出した。
あ…航だ。たぶん見られた。もうとっくに別れてるし、何もも悪いことはしてない。
アイツは真っ青な顔をしていた。
「比呂?どうした?」
「え?ううん、何でもない。」
「ウチくる?」
「うん。」
もう来慣れた京介さんのマンションに行く。
俺はもう三年生。受験生だ。ありがたいとことに京介さんはたまに勉強を見てくれる。週三回の塾とスパルタの家庭教師。
早く大学生になりたい。
「京介さん、こんな問題は?」
「ん?これは…」
京介さんは本当に頭が良いんだなと思う。はっきり言って先生よりわかりやすい。京介さんに教えてもらうとすごく捗る。
「比呂、ちょっと休憩しよう?」
「んー。」
「ほら。」
振り返るとソファーの上で京介さんが手を広げて待っている。
「京介さんがイチャイチャしたいだけだろ?」
「あぁ。比呂は?」
俺はペンを置いて京介さんの膝の上に向かい合わせで座った。
そのまま抱きしめられてキスをする。
「…する。」
「可愛い。」
ちゅっちゅっと顔中にキスをされる。そのまま手がシャツの間に滑り込んできた。
「あ、あ、あぁん。」
「比呂は本当にここが好きだね。」
乳首をスリスリ撫でる。キスも深くなり京介さんの舌は俺の口の中を自由自在に這い回る。
「あ、ん…。あっ!はぁん。」
「可愛い…。」
そのままソファーに押し倒された。
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