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「お母さん!」
「樹貴!おかえり。」
「はつじょーきはもういいの?」
「うん。大丈夫。ありがとね。」
樹里の発情期が終わって樹貴が帰ってきた。
俺と樹里は番いになったことを樹里のご両親に報告した。
ご両親は二人ともベータなのであまりよく分からないようだけど一応祝福してくれた。
「樹貴、良い子にしてたか?」
「当たり前。僕、おばあちゃんのお手伝いしたんだよ。」
「へぇ、偉いなぁ。」
「えへへ。」
再会の記念に三人で食事に行く。
樹貴は樹里にべったりだ。やはり寂しかったんだろう。今日は樹貴に樹里を譲ってやることにした。
「僕、弟でも妹でもどっちでもいいよ。僕が絵本を読んであげるんだ。」
「「え?」」
「あっ、僕のお子様ランチが来た~!」
注文していた料理が次々と運ばれてきて樹貴の面白いセリフは流していた。
「ほら、樹里もたくさん食べろ。少し痩せただろ。」
「うん。でもこんなに食べられないよ。」
「僕も食べる~!」
「ああ、樹貴も食べろ。デザートもう頼もうな。」
「うん!チョコレートパフェがいい!」
久しぶりに家族団欒を過ごした。
可愛い番いと息子。本当に幸せだ。
「樹貴は寝たか?」
「うん。でも興奮してなかなか寝なかった。やっぱり寂しかったんだね。」
寝かしつけを終えてリビングに戻ってきた樹里を隣に座らせて抱きつく。
「まだ四歳だからな。母親と離れるのも初めてだし。」
「そうだね。」
「樹貴は兄弟が欲しいのか?」
「ああ、何かそんな事言ってたね。お友達も兄弟がいる子が多いからかな。」
「そうか。じゃあその願いを叶えてやらないとな。」
樹里のTシャツの裾から手を入れて身体を弄る。
オメガの男は発情期以外は子どもは出来ない。でも子作りの練習ならいくらでもできる。
昨日まであんなにセックスしまくったのに全然飽きない。むしろまたムラムラしてくる。樹里の姿を見るだけでダメだ。
「するの?あんなにしたのに…。」
「全然足りない。樹里、愛してる。」
ソファーに押し倒してたっぷり樹里を堪能した。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
「樹里、大丈夫か?」
「うん。また発情期かな?」
樹里が怠くてソファーに横になっている。食欲もない。
「そうだな。この間から一ヶ月半経つし、そろそろ来るのかもな。」
「はぁ、僕、周期が短いタイプなのかな。」
「何だ。嫌なのか?」
「だって、面倒だろ?」
「面倒な訳ないだろ。樹里や樹貴には悪いけど楽しみだ。」
またあの蜜月を味わえるんだ。面倒な訳がない。
早く二人きりで愛し合いたい。
怠くて横になっている樹里の頬を撫でてキスをする。
可愛くて堪らない俺の番い。
もうすでに俺は勃起している。でも樹里が怠いから我慢だ。あと数日で…。はぁ、ヤバいな。
発情期前の怠さはいつまで続くんだろうか。毎回これじゃあ樹里がかわいそうだ。
戸波先生はいつか慣れるって言ってたけど…。
「あ、そうだ。戸波先生の所に行くのを忘れてたな。」
「あ、本当だ。今回の発情期が終わったら行かなきゃ。」
「そうだな。予約だけしとくか。今月末には行けるだろ。」
「うん。」
俺はメールで戸波先生に予約の連絡をした。すぐに行けなかったことも詫びておいた。
先生からはすぐに返信が来てまた診察に来てくれることになった。
「やあ、久しぶりだね。」
「こんにちは。度々すいません。」
「いや、大丈夫だよ。前回の発情期は平気だった?」
「はい。」
「また発情期が来そうだって?フェロモンが安定してきたのかな?」
戸波先生は診察してくれた。前回の時よりもいろいろ調べているようで長くかかっている。
「いつ頃来ますか?あと二、三日ですか?」
「いや、今回は来ないね。というかしばらくは来ないよ。」
「「え?」」
どういうことだ?発情期じゃないって。
この具合の悪さは何なんだ?樹里の身体に何かあるのか?
心配だ。何か悪い病気だったらどうしたらいいんだ。
血の気が引いて身体が震える。
そんな俺を尻目に戸波先生はにこりと笑った。
「樹里くん、君は妊娠してるよ。」
「「……。」」
「聞こえなかったかな?おめでただよ。」
「「えーーーっ!」」
俺と樹里は絶叫してしまった。
妊娠?樹里が?
「体調不良はつわりだね。この間の発情期は避妊した?」
「は、はい。俺が薬を飲みました。アルファ用のです。」
「そうか。樹里くんの身体が慎一郎くんの子どもを欲しがってるんだね。止まっていた発情期が来た途端妊娠するなんて。」
「えっ?そんな…。」
樹里は真っ赤な顔で俯いている。
そうか。樹里が俺の子どもを…。本当に可愛いやつだ。思わず抱きついて頭にキスをする。
「相性がいい番いにはあることだよ。避妊しても妊娠してしまう。薬は100%じゃないからね。それでも99.8%なんだけど。まぁ、九条君たちもそうだったからね。」
樹里が妊娠…。
マジかーーっ!やった!
「樹里!妊娠してるって!」
「うん…。どうしよう。」
「どうしようって、産んでくれるんだろ?」
「いいの?」
「当たり前だろ!」
「慎一郎…。」
「あー楽しみだ。すげー嬉しい。樹里、ありがとな。この怠さもつわりだって。ほら、寝てろ。」
樹里をベッドに寝かせてキスをしまくった。
「あー、えーと、盛り上がってる所ちょっと良いかな?」
戸波先生が咳払いをしている。
あ、居るのを忘れてた。
「オメガの男性専門の産科を紹介するから早めに受診してね。」
「はい。分かりました。ありがとうございます。」
樹里の妊娠!あー、本当に嬉しい!
「樹貴!おかえり。」
「はつじょーきはもういいの?」
「うん。大丈夫。ありがとね。」
樹里の発情期が終わって樹貴が帰ってきた。
俺と樹里は番いになったことを樹里のご両親に報告した。
ご両親は二人ともベータなのであまりよく分からないようだけど一応祝福してくれた。
「樹貴、良い子にしてたか?」
「当たり前。僕、おばあちゃんのお手伝いしたんだよ。」
「へぇ、偉いなぁ。」
「えへへ。」
再会の記念に三人で食事に行く。
樹貴は樹里にべったりだ。やはり寂しかったんだろう。今日は樹貴に樹里を譲ってやることにした。
「僕、弟でも妹でもどっちでもいいよ。僕が絵本を読んであげるんだ。」
「「え?」」
「あっ、僕のお子様ランチが来た~!」
注文していた料理が次々と運ばれてきて樹貴の面白いセリフは流していた。
「ほら、樹里もたくさん食べろ。少し痩せただろ。」
「うん。でもこんなに食べられないよ。」
「僕も食べる~!」
「ああ、樹貴も食べろ。デザートもう頼もうな。」
「うん!チョコレートパフェがいい!」
久しぶりに家族団欒を過ごした。
可愛い番いと息子。本当に幸せだ。
「樹貴は寝たか?」
「うん。でも興奮してなかなか寝なかった。やっぱり寂しかったんだね。」
寝かしつけを終えてリビングに戻ってきた樹里を隣に座らせて抱きつく。
「まだ四歳だからな。母親と離れるのも初めてだし。」
「そうだね。」
「樹貴は兄弟が欲しいのか?」
「ああ、何かそんな事言ってたね。お友達も兄弟がいる子が多いからかな。」
「そうか。じゃあその願いを叶えてやらないとな。」
樹里のTシャツの裾から手を入れて身体を弄る。
オメガの男は発情期以外は子どもは出来ない。でも子作りの練習ならいくらでもできる。
昨日まであんなにセックスしまくったのに全然飽きない。むしろまたムラムラしてくる。樹里の姿を見るだけでダメだ。
「するの?あんなにしたのに…。」
「全然足りない。樹里、愛してる。」
ソファーに押し倒してたっぷり樹里を堪能した。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
「樹里、大丈夫か?」
「うん。また発情期かな?」
樹里が怠くてソファーに横になっている。食欲もない。
「そうだな。この間から一ヶ月半経つし、そろそろ来るのかもな。」
「はぁ、僕、周期が短いタイプなのかな。」
「何だ。嫌なのか?」
「だって、面倒だろ?」
「面倒な訳ないだろ。樹里や樹貴には悪いけど楽しみだ。」
またあの蜜月を味わえるんだ。面倒な訳がない。
早く二人きりで愛し合いたい。
怠くて横になっている樹里の頬を撫でてキスをする。
可愛くて堪らない俺の番い。
もうすでに俺は勃起している。でも樹里が怠いから我慢だ。あと数日で…。はぁ、ヤバいな。
発情期前の怠さはいつまで続くんだろうか。毎回これじゃあ樹里がかわいそうだ。
戸波先生はいつか慣れるって言ってたけど…。
「あ、そうだ。戸波先生の所に行くのを忘れてたな。」
「あ、本当だ。今回の発情期が終わったら行かなきゃ。」
「そうだな。予約だけしとくか。今月末には行けるだろ。」
「うん。」
俺はメールで戸波先生に予約の連絡をした。すぐに行けなかったことも詫びておいた。
先生からはすぐに返信が来てまた診察に来てくれることになった。
「やあ、久しぶりだね。」
「こんにちは。度々すいません。」
「いや、大丈夫だよ。前回の発情期は平気だった?」
「はい。」
「また発情期が来そうだって?フェロモンが安定してきたのかな?」
戸波先生は診察してくれた。前回の時よりもいろいろ調べているようで長くかかっている。
「いつ頃来ますか?あと二、三日ですか?」
「いや、今回は来ないね。というかしばらくは来ないよ。」
「「え?」」
どういうことだ?発情期じゃないって。
この具合の悪さは何なんだ?樹里の身体に何かあるのか?
心配だ。何か悪い病気だったらどうしたらいいんだ。
血の気が引いて身体が震える。
そんな俺を尻目に戸波先生はにこりと笑った。
「樹里くん、君は妊娠してるよ。」
「「……。」」
「聞こえなかったかな?おめでただよ。」
「「えーーーっ!」」
俺と樹里は絶叫してしまった。
妊娠?樹里が?
「体調不良はつわりだね。この間の発情期は避妊した?」
「は、はい。俺が薬を飲みました。アルファ用のです。」
「そうか。樹里くんの身体が慎一郎くんの子どもを欲しがってるんだね。止まっていた発情期が来た途端妊娠するなんて。」
「えっ?そんな…。」
樹里は真っ赤な顔で俯いている。
そうか。樹里が俺の子どもを…。本当に可愛いやつだ。思わず抱きついて頭にキスをする。
「相性がいい番いにはあることだよ。避妊しても妊娠してしまう。薬は100%じゃないからね。それでも99.8%なんだけど。まぁ、九条君たちもそうだったからね。」
樹里が妊娠…。
マジかーーっ!やった!
「樹里!妊娠してるって!」
「うん…。どうしよう。」
「どうしようって、産んでくれるんだろ?」
「いいの?」
「当たり前だろ!」
「慎一郎…。」
「あー楽しみだ。すげー嬉しい。樹里、ありがとな。この怠さもつわりだって。ほら、寝てろ。」
樹里をベッドに寝かせてキスをしまくった。
「あー、えーと、盛り上がってる所ちょっと良いかな?」
戸波先生が咳払いをしている。
あ、居るのを忘れてた。
「オメガの男性専門の産科を紹介するから早めに受診してね。」
「はい。分かりました。ありがとうございます。」
樹里の妊娠!あー、本当に嬉しい!
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