君は"推し"で"元クラスメイト"でFPSゲームの"カップル枠で――"モブな僕が推しと甘々ラブコメする筈がない"

れれくん。

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第5話 りか。

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電車を乗り継ぐこと1時間弱。

集合場所である、桜木町駅へとやってきた。

聞き馴染みのない人は、桜木町?なにそれ?と思うかもしれない。

駅を出ると、大きな観覧車に、ランドマークタワー、半月型の横浜プリンスホテルを筆頭に、立ち並ぶ背の高いビルの数々が目に映り、行き交う人の数も尋常ではない。

桜木町駅とは、誰もが知っているであろう大都会"横浜"で1番人気のデートスポット。
 "みなとみらい" の最寄駅だ。

僕は、そんな自分には馴染みのない駅の改札を抜け、待ち人が来ていないことを確認する。

それもそのはず、時刻を確認すると "10時5分" 集合時間の1時間ほど前なのだから―― 

早すぎ。童貞乙。と思ったそこの君―― 
その通りだ。興奮のあまり起きたのは日が昇る前の朝4時。

始発でこなかっただけ褒めてくれないか?

なんて、誰に聞かせる訳でも言い訳をし、駅に入っているカフェへと足を向ける。

アイスのカフェオレを注文し、席へ着く。

すぐさまスマホを起動し、読みかけのライトノベルを読むことで時間を潰す。

便利になったモノだ。スマホ一つで何百もの小説を読む事ができるのだから。

この時代に産んでくれた両親に感謝しながら 僕が選んだ作品は電撃文庫様が出版し、アニメ化もされた作品『86』

祖国に人型の豚の烙印を押された少年少女が圧倒的不利な状況で無人機と戦う。
そんな人の醜さや、誇り高さを描いたこの作品が僕は好きだ。

この後起こる出来事には目を瞑り、僕は86の世界に入り込む。

時に笑い、時に胸が苦しくなり、時に憤る。

こうして僕は86の世界に入り込みすぎるあまり時を忘れ、集合時刻に5分ほど遅れてしまうのだった―― 

僕がそのことに気が付いたのは集合時間を少し経過した"11時2分"。
待ち人だった筈の彼女からDMが来た。

りか『私着いたけど、うみくんどこ?私は白のニットワンピにジージャンを羽織ってます』

メッセージを見ると、心臓が止まりかけた。

恋人(ゲーム内)を待たせる男に人権はあるのか?おそらく無い。
僕は急いでトレーを片付け、店外へと出る。

すると、改札の方を向いた少女が目に付く。

白のワンピースに、デニム生地のアウターを羽織っている女の子。先程のメッセージ通りの服装――"りか"が居た。

視認するや否や、小走りに彼女の元へ向かい声をかける。

『ごめん。遅くなった。うみです――』

申し訳の無さから俯いて声をかけた僕は愚か者だったと、この後理解する。

『そういうことか♡うみくん、こんにちわ』

相手が自分を待たせたと言うのに、嬉しそうな声音――ご機嫌な彼女は口を閉ざさない。

『遅れた理由は聞かないわ。緊張のあまり着いてしまい、カフェで愛読書と共に時間を潰した。けど、つい集中しすぎて時間を忘れ、私からのメッセージで気が付き今に至る。間違いがあるのなら訂正を受け付けるわ』

早口に、僕が顔を上げる隙も無く話し終える。

それを受けた僕は全身が茹で上がってしまった。

体温急上昇。推定39.7℃。"インフルエンザ"級
ですっ。

恥ずかしさのあまり、脳すらも茹で上がった僕の思考はおかしくなった。

彼女へ目を向けるために、落ち着かなければならない。

高校の時の悪友。僕と共にオタク三人衆と呼ばれていた友人の顔を思い出す。

体温急激に下がっています。35.1℃。下がりすぎですっ。

思考までもがクリアになる。
流石オタク三人衆の力だ。

僕は落ち着きを取り戻し?未だスラスラと僕の恥ずかしい話しを続けている彼女を食い止めるべく、顔を上げる――――

スラッと伸びる長い足と、ふくよかな双丘が作り出す身体のシルエットは、男なら誰もが夢に見る理想体型。
だが、鎖骨辺りで切り揃えられた髪で顔の輪郭を隠し、長く伸ばされた前髪で瞳を隠す。
そんな、見るからに内気そうな、アンバランスな女の子が目の前に立って居る。

『りか、その辺にしてくれないか――
え?君は―――――――――――――――』

僕は口を開いたまま、動かなくなる。

彼女...りかと会うのは初めてだ。
それでも僕は彼女を知っている。

毎月"たまたま"顔を合わせていたのだから――





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最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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次回 りかの秘密。  乞うご期待。





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