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どのくらい回り続けていただろう?
ぼくたちはいつの間にか、気を失っていて、目を覚ました時には二人して、その空き地にねころがっていた。
「あれ……ここは?」
同時に目を開けたぼくと真緒は顔を見合わせて、何があったかを思い出すと……二人して、顔が真っ青になった。
「そうだ。ぼくたち、タツマキにのまれたんだ……」
「ええ。でも私たち、何ともないわよね」
「うん。よかった……」
ぼくたちは、とりあえずほっと胸をなで下ろした。しかし、ぼくはあの三人の顔を思い出して、あわてて口を開いた。
「でも……みんなは?」
どういうわけか、ぼくたちは大丈夫だったみたいだけれど……空き地に集まっていたクラスメイトたちが出て行ってすぐに、あんなに大きなタツマキがおそってきたんだ。みんなが無事なのかどうか、ぼくと真緒は気になって仕方がなかった。
「確かめに行こう!」
「うん!」
さっきまで空き地にいたのは、飯田さんに羽村、川野だ。みんな、空き地から見て学校とは反対の方角に住んでいる。学校の方角からだれかが見ているような気がしたけれど、ぼくと真緒はそんなことは気にせずにかけ出した。
まずは、飯田さんの家。空き地からはちょっと遠いけど、三人の中では一番近い。ぼくと真緒はその道をひたすらに、全速力で走ったんだ。
「い……飯田さん!」
「無事だったんだ……」
息を切らしているぼくたちを見て、家に入ろうとしていた飯田さんは目を丸くした。
「金谷くんに今野さん? どうしたの、そんなに急いで……」
「良かったわ、本当に……」
「え、良かったって、何が?」
「あの後、空き地で大きなタツマキにおそわれてさ。ぼくと真緒、のまれてしまったんだ」
「え、うそ? タツマキに? 大丈夫だったの?」
飯田さんはさらに目を大きく見開いた。
「ええ、私たちはどうにか無事だったの。でもそのタツマキ、飯田さんの方に向かって行っていないかって、気になって……」
真緒がそう言うと、飯田さんは何かを思い出して青くなった。
「おじいちゃん……」
「えっ?」
「私のおじいちゃん、空き地の近くに住んでるの。まきこまれてたら、どうしよう……」
飯田さんは真っ青な顔で、空き地に向かって一目散にかけ出した。
ぼくと真緒は、そんな飯田さんのことが気がかりだったけど……それ以上に、羽村と川野が無事かどうかの方が気になった。だから、次は羽村の家へ向かったのだった。
「お前ら、どうしたんだ?」
羽村は家から出たところで、首をかしげた。
「良かった、無事だったのね」
「えっ、無事って?」
「ぼくと真緒、空き地でタツマキにのまれたんだ。どうにか、ぼくたちは大丈夫だったんだけど、すごく大きかったから羽村は無事かどうか、気になって……」
「うそ! タツマキ……見てみたかったぁ」
羽村は目をかがやかせる。
「いや、見てみたかったじゃなくて。本当に大きくて、危なかったんだって」
「タツマキが通った後って、どんなだろう? 見に行こう!」
そんなことを言って、羽村は空き地の方へ走って行ってしまった。
「まぁ、無事は無事だったんだし……それよりも、川野さんが気になるわ」
あきれ顔で羽村を見送りながら、真緒がつぶやいた。
「そうだな。残るは川野……会いに行ってみよう」
その三人の家は、空き地から見た方角がちょっとずつちがう。だから、三人ともに会ってみないと、無事かどうか確かめられなかったんだ。
川野には、家に向かうとちゅうで会った。
「あら、あなたたち。放課後に二人でいるなんてめずらしいわね」
「川野さん……」
「無事だったんだ」
ぼくと真緒は一気に力がぬけて、すわりこみそうになった。
「無事って?」
川野は、ふしぎそうに首をかしげた。
「私と要、空き地で大きなタツマキにのまれて……」
「どうにか二人とも無事だったんだけど、川野は大丈夫かなって。気になって、しかたがなかったんだ」
真緒とぼくがかわるがわる話すと、川野は目を丸くした。
「うそっ、そんなことが……? それで、周りの人とか、家は大丈夫だったの?」
「えっ、多分、大丈夫だと思うけど……」
「川野たち、三人が無事かどうかが気になって、あまり見てなかったな……」
ぼくと真緒が顔を見合わせていると、川野は「大変!」と言ってあわて始めた。
「空き地でそんなことがあったなら、その近くでも何か飛ばされたりとか、あったかも知れないじゃない」
「そっか……私と金谷、そこまで気が回らなかった」
「私、空き地見に行ってくる!」
とっても責任感の強い川野は、空き地へ向かってかけ出したのだった。
ぼくたちはいつの間にか、気を失っていて、目を覚ました時には二人して、その空き地にねころがっていた。
「あれ……ここは?」
同時に目を開けたぼくと真緒は顔を見合わせて、何があったかを思い出すと……二人して、顔が真っ青になった。
「そうだ。ぼくたち、タツマキにのまれたんだ……」
「ええ。でも私たち、何ともないわよね」
「うん。よかった……」
ぼくたちは、とりあえずほっと胸をなで下ろした。しかし、ぼくはあの三人の顔を思い出して、あわてて口を開いた。
「でも……みんなは?」
どういうわけか、ぼくたちは大丈夫だったみたいだけれど……空き地に集まっていたクラスメイトたちが出て行ってすぐに、あんなに大きなタツマキがおそってきたんだ。みんなが無事なのかどうか、ぼくと真緒は気になって仕方がなかった。
「確かめに行こう!」
「うん!」
さっきまで空き地にいたのは、飯田さんに羽村、川野だ。みんな、空き地から見て学校とは反対の方角に住んでいる。学校の方角からだれかが見ているような気がしたけれど、ぼくと真緒はそんなことは気にせずにかけ出した。
まずは、飯田さんの家。空き地からはちょっと遠いけど、三人の中では一番近い。ぼくと真緒はその道をひたすらに、全速力で走ったんだ。
「い……飯田さん!」
「無事だったんだ……」
息を切らしているぼくたちを見て、家に入ろうとしていた飯田さんは目を丸くした。
「金谷くんに今野さん? どうしたの、そんなに急いで……」
「良かったわ、本当に……」
「え、良かったって、何が?」
「あの後、空き地で大きなタツマキにおそわれてさ。ぼくと真緒、のまれてしまったんだ」
「え、うそ? タツマキに? 大丈夫だったの?」
飯田さんはさらに目を大きく見開いた。
「ええ、私たちはどうにか無事だったの。でもそのタツマキ、飯田さんの方に向かって行っていないかって、気になって……」
真緒がそう言うと、飯田さんは何かを思い出して青くなった。
「おじいちゃん……」
「えっ?」
「私のおじいちゃん、空き地の近くに住んでるの。まきこまれてたら、どうしよう……」
飯田さんは真っ青な顔で、空き地に向かって一目散にかけ出した。
ぼくと真緒は、そんな飯田さんのことが気がかりだったけど……それ以上に、羽村と川野が無事かどうかの方が気になった。だから、次は羽村の家へ向かったのだった。
「お前ら、どうしたんだ?」
羽村は家から出たところで、首をかしげた。
「良かった、無事だったのね」
「えっ、無事って?」
「ぼくと真緒、空き地でタツマキにのまれたんだ。どうにか、ぼくたちは大丈夫だったんだけど、すごく大きかったから羽村は無事かどうか、気になって……」
「うそ! タツマキ……見てみたかったぁ」
羽村は目をかがやかせる。
「いや、見てみたかったじゃなくて。本当に大きくて、危なかったんだって」
「タツマキが通った後って、どんなだろう? 見に行こう!」
そんなことを言って、羽村は空き地の方へ走って行ってしまった。
「まぁ、無事は無事だったんだし……それよりも、川野さんが気になるわ」
あきれ顔で羽村を見送りながら、真緒がつぶやいた。
「そうだな。残るは川野……会いに行ってみよう」
その三人の家は、空き地から見た方角がちょっとずつちがう。だから、三人ともに会ってみないと、無事かどうか確かめられなかったんだ。
川野には、家に向かうとちゅうで会った。
「あら、あなたたち。放課後に二人でいるなんてめずらしいわね」
「川野さん……」
「無事だったんだ」
ぼくと真緒は一気に力がぬけて、すわりこみそうになった。
「無事って?」
川野は、ふしぎそうに首をかしげた。
「私と要、空き地で大きなタツマキにのまれて……」
「どうにか二人とも無事だったんだけど、川野は大丈夫かなって。気になって、しかたがなかったんだ」
真緒とぼくがかわるがわる話すと、川野は目を丸くした。
「うそっ、そんなことが……? それで、周りの人とか、家は大丈夫だったの?」
「えっ、多分、大丈夫だと思うけど……」
「川野たち、三人が無事かどうかが気になって、あまり見てなかったな……」
ぼくと真緒が顔を見合わせていると、川野は「大変!」と言ってあわて始めた。
「空き地でそんなことがあったなら、その近くでも何か飛ばされたりとか、あったかも知れないじゃない」
「そっか……私と金谷、そこまで気が回らなかった」
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