つくりもののお花

いっき

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 そんな、ある日のことでした。

「あれ、マリー。顔色が悪いけど、だいじょうぶ?」

 ルイはマリーの元気がないことに気づきました。するとマリーは、むりやりにほほえみました。

「だいじょうぶよ。心配しないでね」

 マリーはそう言ったけれど、ルイはマリーが心配でたまりませんでした。

 よく考えると、ルイはマリーが何かを食べているところも、のんでいるところも見たことがありませんでした。だから、ルイはミルクを一さじ、さしだしました。

「マリー、のんで」

 すると、マリーはふしぎそうにミルクを見て一すくいのみ、とたんに笑顔になりました。

「おいしい」

 そんなマリーを見てルイはほっと安心し、うれしくなりました。

「よかった。たくさんのんで、はやく元気になってね」

「ありがとう」

 ルイのその言葉にマリーはにっこりと笑いました。

しかし、日がたつにつれて、マリーはどんどんやせていきました。ルイのあげるミルクはのむのですが、それ以外は食べることものむこともありませんでした。

「どうしよう……」

 どうやら、ミルクをあげるのでは足りないみたいです。ルイはなやみました。

「やっぱり、本物のお花がないといけないんだ」

 ルイが読む物語の中のお花のようせいは、本物のお花からエネルギーをもらっているようでした。ルイが作ったお花はとってもかわいらしいですが、やはりつくりものです。マリーがエネルギーをもらうことはできないのでした。

「マリー。本物のお花をさがしに行こう」

 ルイは、やはり顔色が悪く、ぐったりとしているマリーに言いました。

「えっ、でも……。そんなことしたら、ルイがろうやに閉じこめられてしまうんじゃ……」

「だいじょうぶよ、そんなこと。それよりも、わたしはマリーの元気がなくなる方がつらいの」

 ルイのその言葉に、マリーの目には温かいなみだがこみ上げてきました。

 自分のために、あぶない目に合うのも関係なくお花をさがしてくれる。ルイのそのやさしさと勇気に、ジーンと感動したのです。

「ルイ……ありがとう。わたしのために……」

「当たり前よ。お友達だもん」

 お友達……その言葉はマリーの心も、ルイ自身の心もあたたかくしました。

 本ばかり読んでいたルイは、お友達と外であそんだり、楽しくおしゃべりしたことがありませんでした。でも、マリーがあらわれて、毎日いっしょにおしゃべりをして。そんな日々は、マリーと会う前よりもずっとすてきで、キラキラとかがやいていたのでした。

だから、ルイはぜったいにお花を見つけてマリーを元気にする……そう、心に強くちかったのでした。
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