1 / 2
1
しおりを挟む
誕生したばかりのその国は、ゴミを周辺の国から譲り受けることで成り立っていた。
そのため、周辺諸国からは『ゴミ国』との異名で呼ばれていた。
ゴミ国は、飲食業の盛んな国から大量の残飯を譲り受けて、国民の食料とした。
そして畜産業の盛んな国からは、大量の畜糞を譲り受けて堆積して肥料とし、それを農業の盛んな国に売り渡した。
初期のゴミ国のゴミビジネスはこの二つのみであったが、小さなその国は徐々に財を蓄えた。
何しろ、食料は産み出さずとも手に入るし、畜糞を堆積するだけで金になるのだ。
財力は年々上がっていった。
ゴミ国は次には工業国と取引をするようになった。
まずは工業国に溢れていた大量のプラスチックゴミに目をつけた。
プラスチックゴミは環境面の問題から工業国も処理に困っていたものであったので、引取りは有償にすることができたのだ。
プラスチックゴミは、その国にあった火山の火口に廃棄された。
火口の灼熱によりプラスチックは跡形もなく消えるかに思え、さらに有償で引き取ることができるメリットから、その国は年を経るごとにより一層、大量のプラスチックゴミを周辺諸国から引き取り、廃棄した。
プラスチックを引き取る際に得た金はゴミ国の蓄財となり、積み重なる一方だった。
ある時、火山活動は停止した。
すると、どうだろう。
今までずっとプラスチックゴミを廃棄していたその火口は、大量の石油を蓄える油田となったのだ。
ゴミ国は石油を周辺諸国に売ることで、より一層の富を得ることができた。
そして、ゴミ国はその後もゴミビジネスの手を止めることもなく……空き缶や冷蔵庫、廃車。そういった金属や家財道具等の廃棄物を周辺諸国から受け取り、それをリサイクル品として輸出することで、最大の富を得ることができたのだ。
そのため、周辺諸国からは『ゴミ国』との異名で呼ばれていた。
ゴミ国は、飲食業の盛んな国から大量の残飯を譲り受けて、国民の食料とした。
そして畜産業の盛んな国からは、大量の畜糞を譲り受けて堆積して肥料とし、それを農業の盛んな国に売り渡した。
初期のゴミ国のゴミビジネスはこの二つのみであったが、小さなその国は徐々に財を蓄えた。
何しろ、食料は産み出さずとも手に入るし、畜糞を堆積するだけで金になるのだ。
財力は年々上がっていった。
ゴミ国は次には工業国と取引をするようになった。
まずは工業国に溢れていた大量のプラスチックゴミに目をつけた。
プラスチックゴミは環境面の問題から工業国も処理に困っていたものであったので、引取りは有償にすることができたのだ。
プラスチックゴミは、その国にあった火山の火口に廃棄された。
火口の灼熱によりプラスチックは跡形もなく消えるかに思え、さらに有償で引き取ることができるメリットから、その国は年を経るごとにより一層、大量のプラスチックゴミを周辺諸国から引き取り、廃棄した。
プラスチックを引き取る際に得た金はゴミ国の蓄財となり、積み重なる一方だった。
ある時、火山活動は停止した。
すると、どうだろう。
今までずっとプラスチックゴミを廃棄していたその火口は、大量の石油を蓄える油田となったのだ。
ゴミ国は石油を周辺諸国に売ることで、より一層の富を得ることができた。
そして、ゴミ国はその後もゴミビジネスの手を止めることもなく……空き缶や冷蔵庫、廃車。そういった金属や家財道具等の廃棄物を周辺諸国から受け取り、それをリサイクル品として輸出することで、最大の富を得ることができたのだ。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説



大学受験の為に好きなのに別れるって
まりぃべる
現代文学
大学の入試が始まる前の、付き合ってもうすぐ一年って時に、彼に距離を置こうって言われた。
どうして!?
嫌よ!
だけど、仕方ない…。試験、頑張ろう。
試験が終わり、結果が出た。
合格ではあったけど、心は晴れないまま。
でも、その日の夜…
☆★
短いです。ほっこりしてもらえたら嬉しいです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

「いいねの向こう側」
小川敦人
現代文学
「いいねの向こう側」は、デジタル社会に生きる現代人が抱える孤独と人間関係の本質を問いかける短編です。物語の主人公、田中翔太は都内のIT企業で働く30代の男性。日々、SNSの世界で「いいね」という評価を求め、自分の存在を確認し続けていました。しかし、プラットフォームの仕様変更で「いいね」が廃止されると、翔太の築き上げた自己承認の世界は一瞬で崩れ去ります。スマートフォンの青白い光に映るのは、彼自身の孤独な姿だけでした。
職場の同僚である山口由香の温かな声や、幼馴染の佐藤亮との再会は、翔太の心を少しずつ現実に引き戻します。そして、週末のアコースティックギターが奏でられるカフェで出会った店員の春香に惹かれることで、彼の中に新たな感情が芽生えます。デジタルの世界では得られなかった温もりや、人とのつながりの大切さを感じ始める翔太。しかし、春香には婚約者がいることを知り、彼は失恋の痛みを味わいます。
この苦い経験を通じて翔太は、デジタルの世界に逃げ込むのではなく、現実と向き合い、自分の感情と折り合いをつけながら生きる道を見つけていきます。最終的に彼は、人間関係の本当の価値や自分自身の成長を実感し、スマートフォンの冷たい光に頼ることなく、自分の足で未来へと歩み始めるのです。
この物語は、SNS時代における自己承認欲求の罠と、人間関係の本質を繊細に描き出しています。読者に現実の人とのつながりの大切さを再認識させ、デジタル依存の危うさを考えさせる一冊です。翔太の葛藤と成長を追いながら、読者はきっと自分自身の生き方を見つめ直すきっかけを得ることでしょう。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる