クリスマスの約束

１

クリスマスは嫌いだ。今年のクリスマスは特に。
だって、きっと……惨めな想いしかしないんだから。

街路樹は赤、黄、青……様々な色のイルミネーションで飾られていて、それらは不規則に点滅し、私の目をチカチカと眩ましてくる。街はすっかりクリスマス一色で染まり、所々でクリスマスソングが流れていた。

私は一人ぼっちでそんな道を歩いていた。
どうして、こんな道を歩いているんだろう……ただただ、惨めになるだけなのに。そんな疑問を、自分自身のこの行動に投げかける。

分かっている……私がこんな道を歩く理由。それは、あの日の約束。それを未練たらしく、覚えているからだ。

でも、その約束は守られるわけがない。だって、その相手は何処か、私の知らない遠くへ行ってしまっていて。約束の場所も、今は取り壊されてなくなっているんだから。

歩き回ってそのことを再確認した私は、ただ「はぁー」と白い溜息を吐いて誰も待っていない一人暮らしのアパートに帰ろうとした。
その時だった。

「わぁ、すごい！ すごく綺麗……ここ、何処？」
「本当だ！ でも、こんな所、あったかなぁ……」

小学校低学年……一年生か二年生くらいだろうか。小さな男の子と女の子が、街路樹のイルミネーションを見て目を輝かせていた。