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駅にはもう電車が到着しており、急いで乗り込む。
すぐにドアが閉まり、やれやれと思った。
しかし、その密室内で地獄が待っていた。
突如、大学生くらいの青年が大声を上げる。
「皆さん、注目して下さい。僕、バスガイドやります。電車の中だけど、バスガイドです。」
電車の中がざわつく。
しかし、青年は続ける。
「電車のバスガイドは、歌を歌います。皆さん、どうぞリクエストして下さい。」
当然、誰もリクエストなぞしない。
当然、僕の笑いのボルテージは最高潮に達している。
「皆さん、ノリが悪いですねぇ。そこのお姉さん、笑っていないでリクエストして下さいよ。」
お姉さんも笑っているのなら、僕も大爆笑していいのだろうか?
しかし、笑わないのが人前でのエチケットというものだ。
ぐっと堪える。
「分かりました。誰もリクエストしないようなので、『カエルの歌』を歌います。皆さんに聞いていただけるように、電車の端から端まで走りながら歌います。皆さん、聞いて下さい。」
何?
カエルの歌?
しかも、走りながら?
もう、完全にツボなのだが頬を必死に掻きむしって笑いを抑える。
すると、青年は電車の中を走りながら歌い始めた。
「カエルの歌がぁ、聞こえてくるよぉ、ゲロっ、ゲロ、ゲェェ、」
俄かに、青年はえづきはじめた。
「僕、バスガイドなんで、電車は苦手なんですよ。苦手だから、ゲェェって、気持ち悪くなってしまうんです。あれ?何か、僕の周り、空いてきてません?皆さん、どうしたんですか?」
電車が停車すると同時に、ドアの開くボタンを押して降りた。
降車駅ではないが、もう限界だ。
これ以上ここにいると、堰を切ったように大笑いしてしまう。
すぐにドアが閉まり、やれやれと思った。
しかし、その密室内で地獄が待っていた。
突如、大学生くらいの青年が大声を上げる。
「皆さん、注目して下さい。僕、バスガイドやります。電車の中だけど、バスガイドです。」
電車の中がざわつく。
しかし、青年は続ける。
「電車のバスガイドは、歌を歌います。皆さん、どうぞリクエストして下さい。」
当然、誰もリクエストなぞしない。
当然、僕の笑いのボルテージは最高潮に達している。
「皆さん、ノリが悪いですねぇ。そこのお姉さん、笑っていないでリクエストして下さいよ。」
お姉さんも笑っているのなら、僕も大爆笑していいのだろうか?
しかし、笑わないのが人前でのエチケットというものだ。
ぐっと堪える。
「分かりました。誰もリクエストしないようなので、『カエルの歌』を歌います。皆さんに聞いていただけるように、電車の端から端まで走りながら歌います。皆さん、聞いて下さい。」
何?
カエルの歌?
しかも、走りながら?
もう、完全にツボなのだが頬を必死に掻きむしって笑いを抑える。
すると、青年は電車の中を走りながら歌い始めた。
「カエルの歌がぁ、聞こえてくるよぉ、ゲロっ、ゲロ、ゲェェ、」
俄かに、青年はえづきはじめた。
「僕、バスガイドなんで、電車は苦手なんですよ。苦手だから、ゲェェって、気持ち悪くなってしまうんです。あれ?何か、僕の周り、空いてきてません?皆さん、どうしたんですか?」
電車が停車すると同時に、ドアの開くボタンを押して降りた。
降車駅ではないが、もう限界だ。
これ以上ここにいると、堰を切ったように大笑いしてしまう。
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