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プロローグ
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人生が終わるときってどんなのだろう?
そんなことを考えたってもうすぐ終わりが近い。
今現在寝たきりでもう体を動かすことができないのだから。
これまでの人生を目を瞑り思い返す。
今にして思えば人生ではなかったが結婚もして子供もできて苦労もあったがそれなりに楽しい人生だった。
全てが楽しいというわけではない。
苦しい事もあれば楽しいことも沢山あった。
これが人生のスパイスというものだ。
生きていると色々なことがあり沢山の年月が過ぎた。
永遠に続くのではないかと思えるほどに長く長く生きた。
そうして終わりはやがてやって来る。
長瀬直人74歳は今、長い生涯を終えようとしている。
数年前に生まれた時からの幼馴染の妻は僕よりも先に旅立ってしまった……。
始まりがあれば終わりもある。
わかってはいた。
人生とはそういうものだと……。
過去の感傷に浸っていると手に何かが触れた。
目を開けると、僕の近くで涙を流している数人が見える。
両隣には息子の顔と息子の嫁が、涙を流してこちらを見ている。
小さかったこいつが今では所帯を持ち子供までいるとは……。
手に握られている方を見ると小さな二人の子どもが僕の手を握っている……。
「―――――!」
「・・・・・・」
泣きながらこちらを見て僕に向かって必死に叫んでいる。
もう一度皆を見る……。
あぁ……こんなに人に囲まれて死ねるなんて幸せなことだ……。
目を閉じると、先に行ってしまった妻が浮かぶ。
会ってもう一度話したいな・・・…。
叶わないであろう事を思いながら、僕は最後の力を振り絞り、孫の方を向き手を頭にのせ撫でる。
元気でな……。
言おうとしたが、もう声が出なかった。
手は孫の頭からすり落ち、身体の力がどんどん抜け、やがて力が完全に入らなくなる…
視界は目を開けているのに、視界がどんどん遠くなっていく。
自分が死ぬのだと……理解する……。
次の人生でも、花と同じ世界に生まれ変わりたいな……。
異性でなくて同性でも構わない……。
彼女と来世でも生きれるのなら人間でなくてもいい……。
やがて、視界は完全に黒くなり、僕の意識はそこで途切れるのだった。
そんなことを考えたってもうすぐ終わりが近い。
今現在寝たきりでもう体を動かすことができないのだから。
これまでの人生を目を瞑り思い返す。
今にして思えば人生ではなかったが結婚もして子供もできて苦労もあったがそれなりに楽しい人生だった。
全てが楽しいというわけではない。
苦しい事もあれば楽しいことも沢山あった。
これが人生のスパイスというものだ。
生きていると色々なことがあり沢山の年月が過ぎた。
永遠に続くのではないかと思えるほどに長く長く生きた。
そうして終わりはやがてやって来る。
長瀬直人74歳は今、長い生涯を終えようとしている。
数年前に生まれた時からの幼馴染の妻は僕よりも先に旅立ってしまった……。
始まりがあれば終わりもある。
わかってはいた。
人生とはそういうものだと……。
過去の感傷に浸っていると手に何かが触れた。
目を開けると、僕の近くで涙を流している数人が見える。
両隣には息子の顔と息子の嫁が、涙を流してこちらを見ている。
小さかったこいつが今では所帯を持ち子供までいるとは……。
手に握られている方を見ると小さな二人の子どもが僕の手を握っている……。
「―――――!」
「・・・・・・」
泣きながらこちらを見て僕に向かって必死に叫んでいる。
もう一度皆を見る……。
あぁ……こんなに人に囲まれて死ねるなんて幸せなことだ……。
目を閉じると、先に行ってしまった妻が浮かぶ。
会ってもう一度話したいな・・・…。
叶わないであろう事を思いながら、僕は最後の力を振り絞り、孫の方を向き手を頭にのせ撫でる。
元気でな……。
言おうとしたが、もう声が出なかった。
手は孫の頭からすり落ち、身体の力がどんどん抜け、やがて力が完全に入らなくなる…
視界は目を開けているのに、視界がどんどん遠くなっていく。
自分が死ぬのだと……理解する……。
次の人生でも、花と同じ世界に生まれ変わりたいな……。
異性でなくて同性でも構わない……。
彼女と来世でも生きれるのなら人間でなくてもいい……。
やがて、視界は完全に黒くなり、僕の意識はそこで途切れるのだった。
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