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一年生編
幼馴染みのお疲れ様会
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「お待たせ~」
紅羽が制服に着替えてこっちにやってくる。
「いいのか? 部活仲間と帰らなくて」
「私が無理して誘ったんだもん、そんなことは出来ないよ」
グ~っと僕のお腹が鳴る。
紅羽と僕は顔を見合わせる。
「あはは、なんで試合していない誠一がお腹空いてるのよ」
「仕方ないだろう? 紅羽の弁当とおにぎりしか食ってないんだから」
「それじゃ、ご飯食べにいこっか……誠一のおごりで」
「……まぁ、いいけど」
冗談で言ったのだろう、彼女は鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしている。
「紅羽は今日、頑張ったしな」
「……ふ~ん、それじゃあお言葉に甘えますかな」
そう言って彼女と帰路に着く。
「誠一」
「うん?」
「今日は応援ありがと」
そう言って笑う彼女の顔はとっても可愛かった。
彼女の顔がまっすぐ見れない。
無意識に顔を背ける。
「どしたの?」
紅羽が、それを不思議に思ったのか僕の顔を覗き込んでくる。
僕は更に横に顔を背ける。
彼女が後ろ向きに歩きながら僕の顔を見てくる。
「前見ないと危ないぞ」
「それは、お互い様でしょ……もしかして、今日の私の試合を見てほれちゃった?」
彼女はニシシっと僕の顔を見て笑う。
なんというか、この笑顔は狡い。
そんな気がした。
「自意識も大概にしろ」
「ならなんでこっち見ないの?」
見たくても見れない。
何故と問われてもわからない。
彼女の顔を見ようとするが見ることが出来ないのだ。
「何でもない、それより何か食べたい物はあるか?」
「……う~ん、焼き肉食べたい!!」
……は?
あ、彼女の顔見れた。
先程の感覚は一瞬で覚めあがり、僕は普通に彼女の顔を見る。
「いいだろう、その代わり割り勘な」
「え~!!」
いやなんでバイトもしていない高校生に集る物じゃないだろう。
そう思ったが、彼女は不満そうに頬を膨らませながら非難の視線を向けてくる。
理不尽である。
「……それ以外なら奢ってやる」
「それ以外か~、特にないかな」
「いや、何かあるだろ……せっかく僕が奢りだぞ?」
「それじゃあ、今日の晩御飯の食材を奢ってもらいます」
それはつまり、食材の買い物に付き合えという事だった。
「言っとくが、僕の料理に期待はするなよ」
料理はある程度できるが、凝ったものを作れるほど器用じゃない。
「何が食べたい?」
「え?」
「ん?」
紅羽は僕の言葉にきょとんとしている。
まるで話がかみ合っていないと言わんばかりの顔だった。
「私が作るんだけど? 言っちゃあなんだけど、誠一のご飯は美味しいけど女子にとって大敵っていうか……」
あ~、カロリーか。
確かに僕の料理は高カロリーな料理が多い気がする。
「運動したから、大丈夫だろ」
「そういう油断が後々に響いてくるからヤダ」
「そういうもんかねぇ~」
「そういうもんなんです~」
そう言って彼女は自慢げに言い放つ。
女子とは大変なものである。
「何か食べたいものある?」
「今日は紅羽のお疲れ様会だし、紅羽の好きな料理でいいよ」
「う~ん、それじゃあお鍋にしよっか」
「お、いいな」
飯が決まったところで僕らは自分の最寄り駅のスーパーで食材を買いに行った。
紅羽が制服に着替えてこっちにやってくる。
「いいのか? 部活仲間と帰らなくて」
「私が無理して誘ったんだもん、そんなことは出来ないよ」
グ~っと僕のお腹が鳴る。
紅羽と僕は顔を見合わせる。
「あはは、なんで試合していない誠一がお腹空いてるのよ」
「仕方ないだろう? 紅羽の弁当とおにぎりしか食ってないんだから」
「それじゃ、ご飯食べにいこっか……誠一のおごりで」
「……まぁ、いいけど」
冗談で言ったのだろう、彼女は鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしている。
「紅羽は今日、頑張ったしな」
「……ふ~ん、それじゃあお言葉に甘えますかな」
そう言って彼女と帰路に着く。
「誠一」
「うん?」
「今日は応援ありがと」
そう言って笑う彼女の顔はとっても可愛かった。
彼女の顔がまっすぐ見れない。
無意識に顔を背ける。
「どしたの?」
紅羽が、それを不思議に思ったのか僕の顔を覗き込んでくる。
僕は更に横に顔を背ける。
彼女が後ろ向きに歩きながら僕の顔を見てくる。
「前見ないと危ないぞ」
「それは、お互い様でしょ……もしかして、今日の私の試合を見てほれちゃった?」
彼女はニシシっと僕の顔を見て笑う。
なんというか、この笑顔は狡い。
そんな気がした。
「自意識も大概にしろ」
「ならなんでこっち見ないの?」
見たくても見れない。
何故と問われてもわからない。
彼女の顔を見ようとするが見ることが出来ないのだ。
「何でもない、それより何か食べたい物はあるか?」
「……う~ん、焼き肉食べたい!!」
……は?
あ、彼女の顔見れた。
先程の感覚は一瞬で覚めあがり、僕は普通に彼女の顔を見る。
「いいだろう、その代わり割り勘な」
「え~!!」
いやなんでバイトもしていない高校生に集る物じゃないだろう。
そう思ったが、彼女は不満そうに頬を膨らませながら非難の視線を向けてくる。
理不尽である。
「……それ以外なら奢ってやる」
「それ以外か~、特にないかな」
「いや、何かあるだろ……せっかく僕が奢りだぞ?」
「それじゃあ、今日の晩御飯の食材を奢ってもらいます」
それはつまり、食材の買い物に付き合えという事だった。
「言っとくが、僕の料理に期待はするなよ」
料理はある程度できるが、凝ったものを作れるほど器用じゃない。
「何が食べたい?」
「え?」
「ん?」
紅羽は僕の言葉にきょとんとしている。
まるで話がかみ合っていないと言わんばかりの顔だった。
「私が作るんだけど? 言っちゃあなんだけど、誠一のご飯は美味しいけど女子にとって大敵っていうか……」
あ~、カロリーか。
確かに僕の料理は高カロリーな料理が多い気がする。
「運動したから、大丈夫だろ」
「そういう油断が後々に響いてくるからヤダ」
「そういうもんかねぇ~」
「そういうもんなんです~」
そう言って彼女は自慢げに言い放つ。
女子とは大変なものである。
「何か食べたいものある?」
「今日は紅羽のお疲れ様会だし、紅羽の好きな料理でいいよ」
「う~ん、それじゃあお鍋にしよっか」
「お、いいな」
飯が決まったところで僕らは自分の最寄り駅のスーパーで食材を買いに行った。
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