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一年生編

幼馴染みの好敵手

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 目覚ましが鳴る。
 今日は土曜日、紅羽の試合がある日だ。
 眠い。
 目覚ましのボタンを押してゆっくり起き上がる。
 僕が見た方向に、紅羽が制服姿で僕の椅子に座りこっちを見ていた。

「なんでお前がいる」
「起こしに来てあげたの」
「起こしにって」
「何よ、可愛い幼馴染みが起こしに来るなんて、君の好きなラノベによくあるシーンでしょ」

 自分で可愛いとか言うな、実際可愛いけれども。
 彼女は笑いながらそう言うと、彼女は立ち上がる。

「早く着替えなよ、下で待ってるから」
「へ~い」

 そう言うと、紅羽は部屋を出ていく。
 僕はゆっくり起き上がり、立ち上がる。
 風呂は、無理か。
 彼女が待っているので、朝風呂は諦め着替えて準備する。
 そして下に降りて顔を洗って歯を磨き、彼女の方へ向かう。
 
「準備できた?」
「あぁ、お待たせ」
「それじゃあ、いこっか」
「鞄、持つよ」
「いいよ、悪いし」

 そう言って彼女はテニスバッグを持つと僕らは家を出た。
 会場へ向かうと、まだ朝が早く鳥の鳴き声が響き渡っている。
 流石に八時からエントリーという事もあり、今は七時なのでまだ人が来ていない。
 一年生は場所を取るために早めに行くらしい、大変だな。
 他の一年生部員と合流すると、彼女はシートを引く。

「柊さん、いつもありがとう」
 黒い髪をサイドテールに束ねた女の子にそう言うと、柊さんはにこりと笑う。

「紅羽、ちょっと」

 そう言って彼女は三人に何かを言われている。
 あ、顔が真っ赤になった。
 きっと彼氏?とか言われているのだろう。

 他の女子部員はキャーキャー騒いでいる。

「はいはい、紅ちゃんを弄るのはそれまでにして、準備するよ」

 そう言うと、「は~い」っと言って五人とも着替えに行く。
 僕は荷物番をしていると、僕の前に誰か立っている。
 
「こんなところで何しとん?」

 黒髪ショートに勝気な瞳の小さい女の子が話しかけてきた。
 僕は彼女を知っている。
 中学時代、テニスで紅羽のライバル……綾辻 あやつじ かなでさんだ。

「久しぶりだな、綾辻さん」
「日程でも間違えたんか?」

 彼女はきっと男子の部が明日からなので、日程間違えたと思ったのだろう。

「いや、今日は紅羽の試合観戦」
「そうか、あいつも出とるんやな……」

 嬉しそうな表情で彼女は笑っている。

「ま、最後に勝つんは私や……ほな行くわ」

 そう言って彼女は立ち去って行き、しばらくして五人は戻ってきた。

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